アメリカに来ている間にも、
商人舎流通スーパーニュースは、
着々と公開される。
ファーストリテイリングnews|
ファッション業界気候行動憲章に署名
月刊商人舎の最新1月号特集は、
[極端気象]
柳井正さんの考え方と同期した。
ファーストリテイリングが、
「ファッション業界気候行動憲章」に署名。
「Fashion Industry Charter for Climate Action」
この憲章はパリ協定の目標を支持する。
2030年までに、
温室効果ガス排出量の合計30%を、
削減することなどを目標設定する。
ファッション業界全体で連携推進する。
これがいい。
月刊商人舎1月号は、
産業全体で取り組むべきだと主張した。
もう一つの商人舎流通スーパーニュース。
フジnews|
広島県の食品スーパー「ニチエー」を買収・完全子会社へ
ニチエーは11店舗で年商90億1900万円。
1店平均8億円超。
このところ政策がぶれていて、
それによって無駄なコストをかけた。
私の見方の通りになってきた。
昨日もサクラメントのレイリーズのことを書いた。
129店舗で3300億円。
それでもセオリーと矛盾すると、
完全な負け組になる。
ニチエーの場合、
親会社となるフジはご存知のように、
イオン㈱と資本業務提携している。
つまりはニチエーも、
イオンの系列に入ることになる。
こうしてアメリカのように、
クローガー系かアルバートソン系かに、
分かれてくる。
消費増税や軽減税率、
キャッシュレスのポイント還元は、
優遇の恩恵を受ける側が厳しい。
ニチエーも8000万円だった資本金を、
5000万円に減資して優遇措置を受けた。
優遇される企業のほうが危ない。
私はずっと言っている。
ニチエーは、
ニチリウに加盟しているにも関わらず、
この時期にフジの完全子会社となる。
従来から仲良くしているはずなのに、
グループの企業と統合するのではなくて、
他の企業の子会社となる。
こういうものです。
それが競争の本質です。
しかし社員や幹部は、
「商人の本籍地と現住所」を、
よく理解し、納得して、
将来に希望をもって、
仕事してもらいたいものだ。
さて日本よりもずっと、
競争が厳しいアメリカ。
サンフランシスコ。
空港の近くのヒルトンホテル。
窓からサンフランシスコ湾が見える。
航空機が発着している。
内庭にイートインスペースがある。
そしてヒルトンホテルは昨年、
Fortuneの「働きがいのある企業100」で、
トップとなった。
朝から2時間の総括講義。
㈱マルイチ、㈱マツヤスーパー、
そして㈱エレナ。
その取引先。
わかりやすく、丁寧に講義する。
アメリカのスーパーマーケットの、
現在の5つのトレンド。
FLONH。
Fresh、Local、Organic、
Natural、そしてHealth。
トレンドを追いかけるだけでなく、
その下にある潮流こそ大事だ。
講義が終わって最後の視察。
まず10.6%の成長率を誇る企業。
スプラウツ・ファーマーズマーケット。
2018年12月決算で52億0700万ドル。
年商は1ドル100円換算で5207億円。
11.6%の増加だ。
ただしこのところ、
やや減益基調だ。
大型八百屋の斬新なフォーマット。
今日のオーガニックは196アイテム。
右手にベーカリー。
サラダバーが広がってきた。
品揃えも鮮度も良くて、
1ポンド7ドル99セント。
ホールフーズより1ドル安い。
これは昨日のレイリーズと違う政策。
デリカテッセンは、
ボアーズヘッドを中心に据える。
スープバーもある。
そしてど真ん中にバルク売場。
入口から見通すことができる店内。
米国スーパーマーケット業界で、
ナンバー1の成長性を持つスプラウツ。
ただしちょっと陰りが見えてきた。
同じショッピングセンターに、
トータルワイン。
圧倒的なワインの品揃え、
ネットに勝つためには、
第1に、
極めて深くて豊富なカテゴリーで、
商売すること。
第2に、
その広くて深い中から、
わが社独自の主張と提案をすること。
ワインテイスティングコーナーが、
店のど真ん中にある。
クラフトビールもテイスティング。
徹底的に体験型の店にする。
今月のビールは、
ニューベルギー。
次に全米第2位のスーパーマーケット企業。
アルバートソン傘下、
セーフウェイ。
特徴は青果部門。
オーガニックは充実。
しかしホールフーズやスプラウツ、
クローガーにはかなわない。
この美しい陳列。
しかしナゲットには、
足元にも及ばない。
青果部門の商品が薄くなった。
青果とバルクは切っても切れない関係だ。
コンコースの平ケースで冷食を売る。
常套手段。
店舗奥コンコースの中央に、
ミートとシーフードの対面コーナー。
店舗右翼にはベーカリー。
そして入口付近にデリ売場。
ここでもボアーズヘッドが中核となる。
セーフウェイの強みは、
もっと強みにしている企業があって、
ふつうの強みでしかない。
だからポジショニングがない。
そこがこの第2位の企業の致命的な弱点だ。
同じウェストレイクショッピングセンター。
トレーダー・ジョー。
この店は青果部門が広い。
つまり強い。
第1エンドも見事。
すべてプライベートブランド。
リカーショップは、
ワインがどこよりも安くてうまい。
店内はウェストコーストスタイルで、
カジュアルで楽しい。
トレーダー・ジョーにしかない雰囲気。
何時も素晴らしい。
最後の最後はダウンタウン。
1万5000平方(420坪)フィートの小型店。
ホールフーズ。
最大は7万平方フィート(1960坪)もある。
それを4分の1にコンパクト化して、
大成功を収めている。
青果部門もコンパクト。
必需の商品、しかも即食を中心に、
これも見事な品ぞろえ。
そして美しい壁面。
それでも主役は商品だ。
バルクコーナーもカットせずに、
売れ筋だけに絞って展開。
セルフデリもコンパクトだが、
厳選して売場づくり。
ワインも欠かせない。
チーズ売場と連携して、
スペシャルティ部門を構成。
チーズの王様パルミジャーノレッジャーノ。
チーズは「即食」だから充実。
精肉と鮮魚は調理品だから絞り込む。
奥主通路は乳製品のリーチインケース。
グロサリーゴンドラは、
高くして陳列量を確保した。
小さな店だがレジは広い。
客が並ぶので銀行方式のチェックスタンド。
今日はスプラウツから始まって、
トレーダー・ジョーとホールフーズ。
今やオーガニック御三家。
セーフウェイの特徴のなさが、
申し訳ないけれど際立った。
企業規模は6兆535億円のアルバートソン。
しかし店のレベルは、
オーガニック御三家がはるかに高い。
これにて、
スーパーマーケット勉強会。
すべての視察スケジュールを終了。
ランチはインナウトバーガー。
現在6州に340店舗。
フランチャイズはやらない直営主義。
メニューは3つしかない。
だからオペレーションが見事。
作業の種類が少ないから、
作業システムがシンプルで、
崩れにくい。
勉強の後は観光。
これも実は勉強。
ツインピークスへ。
サンフランシスコの双子山。
頂上で写真。
サンフランシスコ市街が一望できる。
ゴールデンゲートブリッジも見える。
そのゴールデンゲートブリッジへ。
設計者のジョゼフ・シュトラウス像。
1933年に着工して、
1937年に完成した。
そのプロセスがイラストで描かれている。
これが金門橋。
アルカトラズ島も見える。
ショップに入ると、
橋が開通した日の写真がある。
凄い車だ。
㈱マルイチ社長の高木大さんと写真。
最後の最後は、
フィッシャーマンズワーフ。
マルイチ会長の高木亮輔さんと、
ヤマエ久野㈱宮崎支店の藤原奈緒さん。
その後、ピア39。
フェスティバルセンターという、
新しいショッピングセンター分類に入る。
そのなかのピアマーケット。
ここでサヨナラパーティー。
もちろんダンジネスクラブ。
これを一人でいただく。
「蟹を食う時、人は静かになる」
楽しい夜があっという間に明けて、
もう帰国の時を迎えた。
ホテルロビーで、
朝日を浴びながら全員写真。
サンフランシスコ国際空港で、
ちょっとだけ最後の講義。
ラインホールド・ニーバーの祈り。
変わるものを変えられる勇気を、
変わらぬものを受け入れる心の静けさを、
それらを見分ける英知をお与えください。
(つづきます)
〈結城義晴〉