結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年04月17日(金曜日)

全国緊急事態宣言の非「論理性・科学性・合理性」と観察・分析・判断

河津桜。
季節は論理的・科学的に、
移り変わっていく。IMG_61450

COVID-19も。
202003_message

安倍晋三首相。
全国に緊急事態宣言。
20200601sei_yoto01abe
緊急事態宣言は、
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく。

総理は首相官邸で記者団に語った。
「最低でも7割、極力8割、
人との接触を減らしてもらいたい」

この言い方は、
極めて曖昧模糊としている。
無責任な発言だ。

「最低7割、極力8割」

このブログにT.Mさんからの投稿があった。
「たった一人の朝礼」のT.Mさんだと思う。

「コロナ感染の終わりが見通せない今こそ
『観察』『分析』『判断』の
原理原則に立ち返ってこれを
徹底するべきではないでしょうか」

「とりわけ
『判断』の第一段階である応急措置、
つまり感染拡大の食い止め対策で
総理大臣はつまずいている気がしてなりません。
コントロールできていないのです」

「感染拡大を食い止めない限り
『判断』の第二段階すなわち
再発防止策の実施に行き着きません」

「どこの都道府県を
緊急事態宣言の対象にするとかしないとか、
対人接触を何割~何割減らすとか
曖昧なコメントを発している場合では
ないと思うのです」

「数値と状態とについて明確な目標を掲げ、
どのようにしてそこに辿り着くかを
私たちに熱く真摯に語り掛け、
全国民を一つにして解決に導くことは
総理はじめ行政トップにしかできない
大事な仕事でしょう」

「チェーンストアのことは
さて置くとしても、
問題解決のための原理原則、
けん引する人の役割、
言葉が持つ意味の統一など、
私たちは数えきれないほどの事柄を
故渥美先生から学びました」

「私たち商業や飲食業に携わる者は勿論、
交通機関や食品製造に関わる人々など
今まさに自らの命を賭して
働いているのです。
総理、どうかそのことを
お忘れなきようにお願いします」

私は返信した。

「T.Mさん、同感です。
観察・分析・判断も、
仮説と検証も、
Plan-Do-Check-Actも、
現在の安倍政権には必要です。

仕事の原理原則です。

COVID-19はあくまで、
私たちに科学的に襲い掛かってきます。
だから私たちもあくまで
科学的に対処しなければなりません」

渥美俊一先生の最後の本と言っていい。
「チェーンストア組織の基本」
41n4I+LzdQL._SX331_BO1,204,203,200_
その第3章は「組織の動かし方原則」
1 命令の与え方
2 マニュアルづくり
3 責任と義務
4 責任制度
5 観察・分析・判断
6 責任の評価方法

「命令の与え方」や「責任と義務」、
「責任制度」「責任の評価方法」などは、
アンリ・ファヨールを模して、
時代錯誤だが、
「観察・分析・判断」の考え方は正しい。

鈴木敏文さんの「仮説と検証」は、
PDCAそのものである。

そしてPDCAの「Check」は、
「観察・分析・判断」の「観察・分析」であるし、
「判断」は最初の「Plan」と、
最後の「Act」のためのものだ。

Checkや検証を「観察・分析」とした。

あくまで論理的に考えるならば、
安倍首相の全国への緊急事態宣言は、
不徹底であるし、遅い。

COVID-19の感染拡大で、
東京都をはじめとする7都府県に、
緊急事態を宣言した。
4月7日のことだった。

論理的に考えるならばその時点で、
国民の他地域への移動を完全に止めるか、
あるいは全国に緊急事態を宣言するか。
どちらかの施策を講じなければならない。

日本は全国的に県が隣接しているからだ。

結局、全国に、
緊急事態宣言を発令することになった。

COVID-19はウイルスだから、
あくまで科学的・論理的に広がる。

それを止めるのは、
あくまで科学的・論理的な人間の態度だ。

「最低7割、極力8割」

これは気分の発言だ。
たとえ気分の問題だとしても、
「最低7割、極力8割」と言ってはいけない。

「絶対に8割」だ。

政府の専門家会議の学者たちは、
サイエンティストのはずである。

だから「8割」の意味は「絶対8割」だし、
論理的に捉えるとしたら、
「人との接触を10割なくせば広がらない」。

確率の問題もあるし、
政治として国民を動かすのだから、
10割は不可能だが、
「絶対8割」の発言は必要だ。

アベノマスクも配られ始めたし、
「国民1人あたり10万円」も給付するようだ。

はじめは減収世帯に30万円支給だったが、
この措置は撤回された。

10万円支給に対しても、
麻生太郎財務相は、
「要望される方、手を挙げる方に配る」

開いた口が塞がらない。
無責任極まりない。

「奥さんと子どもが二人いれば40万円」
布マスクは1住所当たり2枚配給なのに、
一律10万円には世帯発想はないのか。

そのために、
2020年度補正予算案を組み替え、
4月20日の閣議決定をめざす。

一律10万円給付を単純計算すれば、
12兆6167億円の財源が必要になる。

今年度の国家予算。
一般会計の歳出総額は102兆6580億円。
昨年度より1.2%増。
2年連続で100兆円を突破。

それを3月27日に成立させたばかりだ。
新型コロナ対策予算は、
盛り込まれていなかった。

一律10万円支給総額は、
国家予算と比べると8%に当たる。
その金を国民一人ひとりに、
それこそ「ばら撒く」ことになる。

たとえば7都府県に対して、
集中的にロックダウンのような形をとる。
いわゆる「不要不急」の業種業態に、
営業休止を半ば強制して、
完全な「補償」を「保証」する。
そのための財源とする。

それが安全の「保障」である。

論理性不在、
科学性皆無。
合理性絶無。

観察・分析・判断はない。
仮説と検証も、
Plan-Do-Check-Actもない。

残念至極。

糸井重里さんが命名した「コロナ軍」は、
高笑いしているに違いない。
202003_cover

翻って、私たちの仕事、
私たちの生活だけは、
観察・分析・判断やPDCAサイクルを、
徹底したい。

徹底とは、
詳細に、
厳密に、
継続すること。

こまかく、
きびしく、
しつこく。

そこんとこ、よろしく。

〈結城義晴〉

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.