42年前に、私は、
インフルエンザにかかった。
ソ連風邪と言われた。
2年か3年に1度くらい、
風邪をひくことはあるが、
40年前のインフルエンザ以来、
重篤な感染症にはかかっていない。
「風邪は万病のもと」と言われるが、
正式には「風邪症候群」である。
上気道の急性炎症の総称。
上気道は鼻やのどのこと。
風邪のウイルスが粘膜から感染して、
炎症を起こす。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、
咳、たん、発熱といった症状が起こる。
その風邪ウイルスは、
200種類以上もある。
私には私流の風邪の治し方があるが、
これは何度かブログに書いた。
一方、インフルエンザは、
風邪ウイルスとは別のものだし、
症状の重さも異なる。
つまり別の病気だ。
インフルエンザには、
まず、3類型がある。
A型インフルエンザは、
ヒト、鳥類、ウマ、ブタなどに感染し、
強烈な症状が出やすい型だ。
問題になるのはみなA型である。
B型インフルエンザは、
ヒトとアシカ亜目のみに感染し、
毎年流行している。
A型のように、大きな流行は起こさない。
そしてC型インフルエンザは、
ヒトとブタに感染し、
いったん免疫を獲得すると、
終生その免疫が持続する。
A型インフルエンザのヒトへの流行は、
6つの大きな「事件」があった。
①1900年のH3N8(旧香港風邪)、
②1918年のH1N1(スペイン風邪)、
③1957年のH2N2(アジア風邪)
④1968年のH3N2(香港風邪)、
⑤1977年のH1N1(ソ連風邪)、
⑥2009年のH1N1(豚由来新型インフルエンザ)
「風邪」と呼んだが、
「インフルエンザ」だった。
42年前の20代中ごろ、
私はそのインフルエンザの、
「ソ連風邪」にかかった。
1977年4月に㈱商業界に入社して、
翌年のことだった。
3日から4日ほど、
38度から39度の熱が出て、
会社を休んだ。
ソ連風邪は、
1977年から1978年にかけて、
当時のソビエト連邦で流行した。
インフルエンザのエピデミックだった。
パンデミックが「世界的流行」で、
エピデミックは「局地流行」。
ソ連で局地流行したから「ソ連風邪」。
しかしもともとは、
1977年5月に中国・天津で始まった。
インフルエンザはどうやら、
中国から発する事例がほとんどだ。
その年の11月、ソ連と香港で、
インフルエンザが大流行した。
そして1978年3月までに、
北半球のほとんどの国へ伝染した。
もちろん日本も襲われた。
しかし1978年から1979年にかけて、
ワクチンが製造された。
幸いに私はまだ若かったし、
長期化もせず、重篤化もしなかった。
風邪ともインフルエンザとも違うのが、
コロナウイルスである。
コロナウイルスは、
1933年に家禽で初めて発見された。
Msdマニュアルの「医学事典」によると、
「コロナウイルスは、
感冒から致死的な肺炎に至るまでの
様々な重症度の呼吸器疾患を引き起こす、
エンベロープを有するRNAウイルス」。
エンベロープは「膜状構造」のこと。
RNAウイルスとは、
ゲノム(遺伝情報)として、
リボ核酸(RNA)をもつウイルスのこと。
リボヌクレオチドという、
核酸が生まれる前の段階の物質が、
鎖状に繋がっている。
それがリボ核酸である。
その「核酸」とは生体内に存在する、
分子が大きな有機化合物のことだ。
コロナウイルスは、
このリボ核酸を持つという特徴がある。
ウィルスとは、
極微小な感染性の構造体で、
他生物の細胞を利用して、
自己を複製させる。
ウイルス核酸そのものに、
感染性があるのだ。
多くのコロナウイルスは、
動物の呼吸器、消化管、肝臓、
および神経系の疾患を引き起こす。
ヒトに疾患を引き起こすのは7種類。
7種類のコロナウイルスのうち、
3種類が重篤な呼吸器感染症を引き起こす。
⑴SARS、サーズ。
2002年のSARS-CoV。
「重症急性呼吸器症候群」。
中国南部の広東省を起源として、
37カ国で8096人が感染、774人が死亡。
⑵MERS、マーズ。
2012年からのMERS-CoV。
「中東呼吸器症候群」。
ヒトコブラクダが感染源動物で、
ラクダとの接触などが感染リスク。
中東地域をはじめとして、
2015年に韓国・中国に拡大し、
2019年11月までに、
確定患者2494人、死者858人。
そして⑶COVID-19。
2019年からのSARS-CoV2。
医学事典では、
「中国・武漢の生きた動物を売買する、
生鮮市場との関連が認められる」とする。
ドナルド・トランプ大統領は、
武漢のウイルス研究所から出たと主張する。
これら3種類のコロナウイルスは、
人獣共通感染の病原体で、
感染動物から始まって、
動物へ、そしてヒトへと伝播する。
一般的に、コロナウイルスは、
変異しやすいために、
ワクチンや治療薬が開発しにくい。
ゴールデンウィーク連休は、
ステイホーム週間に埋没した。
その最後の日に、
風邪とインフルエンザと、
コロナウイルスを整理してみた。
高校の授業を思い出した。
私は理科系科目は、
生物と化学で大学受験をした。
だからちょっとだけ詳しく書いた。
しかし人間は、
風邪やインフルエンザ、
そしてコロナウイルスなど、
様々な病原菌に囲まれて生きている。
生きているのは幸いなのだ。
軽症で終わるのは幸運だし、
病気にかからないのは、
極めてラッキーなことなのだ。
ありがとう、と言いたくなる
〈結城義晴〉