今夜はフラワームーン。
アメリカの農業暦では、
5月の満月を「花の月」という。
ネイティブアメリカンの「The Old Farmer’s Almanac」。
花々が咲き乱れる季節の満月。
雲が少しずつ、
フラワームーンを覆い始めた。
空にある雲は白いのに、
満月には真っ黒にかかる。
そしてフラワームーンは雲の影に隠れた。
新型コロナウイルス感染拡大のなかでも、
巨大な自然は泰然としている。
若松真平さん。
朝日新聞デジタル編集部記者。
毎日、ハッピーな話題を集めてくれる。
今日の記事は、
「花屋店員のつぶやき拡散」
大阪府内の花屋で働く木村咲さん(33歳)。
2月ごろ、新型コロナの影響が出始めた。
送別会、卒業式などが減って、
花束の注文のキャンセルが増えた。
外出自粛、緊急事態宣言で、
ほとんどのイベントが中止に。
ピアノ発表会などの注文はほぼゼロ、
飲食店向けに届けることもなくなった。
ギフト関連の花が減り、
客単価が下がり、売上げも激減。
そんな状況の中、
休校や外出自粛が本格的になって、
しばらく経った頃、変化が出始めた。
「自宅に癒やしが欲しい」と、
食料品などの買物ついでに、
花や小さな観葉植物、苗などを
購入する人が増え始めた。
4月22日、木村さんは、
ツイッターでつぶやいた。
「外出自粛、最低限の買い物のみ、
となると花屋なんて、
一番に不要とされる仕事だと思ってました。
でも…花や野菜の苗を買うお客さん、
休校中のお子さんと育てるとのこと。
家に飾る生花や観葉を買うお客さん、
家にずっといるから…と」
「花って不要じゃないんだ。
こんなときこそ
必要なのかもしれない」
この投稿に対して、反響が寄せられ、
「いいね」は12万を超えた。
「音楽と同じで不要じゃない」
「心を豊かにしてくれる生活必需品」
「花屋は花を売ってるんじゃなくて
心を売ってるんです」
「なんの工夫もしていない投稿だったので、
とても大きな反響があって驚きました」
と木村さん。
花は不要じゃない。
安易に「不要不急」を、
決めつけてはならない。
もう一つ若松記者の記事。
「コ+ロ+ナ=君」
こちらの主人公はタナカサダユキさん(56歳)。
大阪府内の京阪百貨店で宣伝や広報を担当。
似顔絵を中心としたイラストも描く。
4月1日に自身のFacebookに歌を投稿した。
しばらくは
離れて暮らす
「コ」と「ロ」と「ナ」
つぎ逢ふ時は
「君」といふ字に
この投稿に対して、
「すごい発見」「天才だ」
といった声が寄せられ、
まもなくリクエストが寄せられた。
「この句に何かイラスト
つけていただけませんか」
それから50分後、
タナカさんが投稿したのは、
この歌に大きく
「君」という文字を添えたイラスト。
君の字は3色に塗り分けられていて、
それぞれ「コ」「ロ」「ナ」と読むことができる。
〈田中貞之さんのfacebookより〉
君という文字の中に
「コ」「ロ」「ナ」を見つけたのは、
母の付き添いで行った病院の待合室。
母がMRI検査を受けている間、
新型コロナウイルスに関連する
貼り紙をぼんやり眺めていて、
ハッと気づいた。
「昔から文字遊びや回文が好きなんです。
帰りのタクシーの中で、
この気づきをもとに
川柳や短歌をつくれるんじゃないかと
考え始めました」
自宅に戻ってスケッチブックを広げ、
「コロナ」「君」と書き出して思案。
「自粛」「クラスター」「3密」といった
キーワードを思い浮かべながら、
大切な人に会えないつらさを、
歌うことに決めた。
五七五七七に合わせるべく、
コロナをコとロとナと分けた結果、
ソーシャルディスタンシングも
表現することができた。
友人からのリクエストに対して、
即興で描いたイラストが拡散し、
これがきっかけとなって、
友達リクエストが寄せられる事態に。
朝日新聞デジタルをはじめ、
日刊ゲンダイのラサール石井の連載など、
メジャーなマスメディアでも、
何度も取り上げられた。
イラストも短歌も、
そしてユーモアのセンスも達者な、
百貨店広報マンに拍手。
COVID-19感染拡大のもとでも、
悲観することなく生き抜くことはできる。
さて商人舎流通SuperNews。
ライフnews|
全275店舗で1日臨時休業し従業員をリフレッシュ
(株)ライフコーポレーションが、
5月18日(月)から21日(水)までの期間に、
全275店舗で1日間の臨時店休日を設ける。
従業員や店長の作業負荷や心理的負担を、
少しでも和らげるため。
エブリイnews|
従業員・学生・飲食店向けに地域密着型緊急支援
従業員にはヒーローボーナスと、
「報奨金2ランクアップ制度」。
学生向け支援は「給与前払い制度」と、
「奨学金制度創設」。
地域飲食店に仕入れを支援し、
10万円の支援金。
これもとてもいい話だ。
最後に、
ロピアnews|
ワタミと出向契約/休業中のワタミ従業員がロピアで業務
(株)ロピアとワタミ(株)が出向基本契約。
休業中のワタミの居酒屋従業員が、
ロピアのスーパーマーケットに出向して、
店頭で働いてくれる。
双方にとって、いい話。
フラワームーンも、
人々の行いを褒めているに違いない。
〈結城義晴〉