全国紙から地方紙まで、
新聞の一面コラムが、
麻雀一色。
東京高検の黒川弘務検事長の、
新聞記者たちとの賭け麻雀事件。
黒川検事長は辞任し、
森まさこ法務大臣は、
進退伺を出した。
「4密」と皮肉ったのが、
福岡の西日本新聞。
「当欄も記者の端くれ、
ジャン卓をともに囲むような、
さばけた検事さんには、
親近感がないではない」
結構、新聞記者の本音を書いたのが、
宮城の河北新報。
「金品を賭けないでマージャンをする人が
世の中にそれほどいるとは思えないが、
一応は違法な賭博であるのは間違いない」
朝日新聞「天声人語」は、
まだこの話題を取り上げていないし、
産経新聞「産経抄」も、
「”記者の本懐”とは何か。
自らに問わなければならない、
深刻な事態である」と神妙だ。
当の黒川検事長と雀卓を囲んだのが、
産経記者2人と朝日社員1人だからだ。
阿佐田哲也著「麻雀放浪記」を使ったのが、
日経新聞「春秋」と毎日新聞「余禄」。
誰でも思いつく、ごく普通のコラムだ。
しかし、全体にぬるい書き方だ。
記者たちもほとんど例外なく、
麻雀を「嗜んだ」ことがあるからだろう。
私は学生時代の一時期は、
「朝だ、徹夜だ」でパイを握ったが、
社会人になってから、
ほとんどやらない。
だからチェーンストアトップとも、
この40数年間、一度も、
雀卓を囲んだことはない。
ギャンブルの是非は別にして、
検察庁法改正案が問題にされている今、
世間で最も注目を集めている当該が、
この賭け麻雀事件を起こしてしまった。
COVID-19感染拡大の今、
麻雀は確かに「4密」でもある。
一世一代のチョンボ。
正義感やら怒りやら、
軽蔑やらを通り越して、
嘲笑しかない。
その意味で私の評価も、
ぬるくなってしまう。
自業自得。
ゴルフ用語にあるのが、
「スクラッチパット」。
勝負を分ける一番大事なパットだ。
そのスクラッチパットのときに、
大チョンボしてしまった。
しかし一番痛手を被ったのは、
実は検察庁である。
安倍政権ではない。
さて、
ニーアル・ファーガソン。
スコットランド出身、
歴史学者、ジャーナリスト。
スタンフォード大学フーバー研究所シニアフェロー。
木曜日の日経新聞「コロナと世界」で、
インタビューに応じた。
タイトルは、
危機後,中国「勝者」ならず
「感染症の大流行のような危機下では、
『規模の不経済』が如実に表れる」
アメリカ合衆国や中華人民共和国、
そして欧州連合(EU)など、
超大国は機能不全をさらけ出した。
「うまく対処しているのは、
台湾や韓国、イスラエル、
アイスランドといった
比較的小さな国・地域だ」
「感染症のみならず、
あらゆる危機に対して
政府の防衛意識が高いからだ」
私は何でも、
商業やチェーンストアに喩えて、考える。
超大国は日本で言えば、
イオン、セブン&アイ。
台湾や韓国、イスラエルは、
ローカルチェーンだろうか。
「中国は感染収束後の世界で、
勝者にはなれない。
共産党の一党独裁体制の弱みが
全て露呈したからだ」
もともと武漢から発したCOVID-19。
中国は昨年12月31日にWHOに報告した。
が、1月に入って感染が拡大し始めても、
世界に事実を隠し続けた。
「旧ソ連が1986年、
チェルノブイリ原子力発電所事故の真実を
隠蔽したことを連想させる。
習近平国家主席の指導力には
疑問符がついている」
ファーガソン。
「中国は安いマスクと人工呼吸器を贈り、
世界を救うと宣伝しているが、
懐疑的に見られている」
「中国は経済的に
他の地域より早く回復するだろうが、
国際的な地位は高まらない」
巨大な規模の組織であっても、
隠蔽の体質があれば、
世間が許さない。
ファーガソンは、
アメリカの力を評価している。
「チャーチル元英首相はかつて、
“米国はあらゆる選択肢を
やり尽くしたあとに、
常に正しいことをする”と語った。
米国のシステムは過ちから学び、
徹底的に見直す能力を備える」
「2001年9月の米同時テロ以降、
優れた防御システムを構築し、
大きなテロに見舞われていない。
コロナ危機でも同じことが起きる」
「米国は検査体制の整備遅れなど
多くの失敗を犯しているが、
感染が収束した後は
欧州や中国よりも早く問題を克服する」
「経済活動再開に欠かせないワクチン開発に
最初に成功するのはどこか。
私なら米国企業に賭ける」
巨大企業であっても、
過ちから学び、
徹底的に見直す能力が必要だ。
ファーガソン著「スクエア・アンド・タワー」
担当編集者のメッセージ。
「過去500年にわたる世界の歴史を
“垂直に伸びる階層制”と、
“ヨコに広がる草の根のネットワーク”の、
緊張関係から読み解く」
タワーは国家や企業などで、
スクエアは革命運動やテロ組織など。
同じ組織でも、
タワー型とスクエア型はある。
私もこの見方で組織を捉えている。
さて今夜は8時から、
「まるます家同窓会inZoom」
二度目の参加だ。
中心人物は、
竹垣吉彦さんと佐々木泰行さん。
竹垣さんは現在、
㈱イオンファンタジー常勤監査役、
兼イオンエンターテインメント㈱監査役。
佐々木さんは、
野村證券をはじめとして、
外資系の証券会社で、
小売業のシニアアナリストを務め、
現在、早稲田大学主任研究員。
会のタイトルの「まるます家」は、
東京・赤羽のすっぽんの銘店。
かつて大手チェーンの財務担当者が、
アナリストを交えて、
情報交換会をやっていた。
そのメンバーを中心に、
今、毎週、Zoom飲み会をやっている。
今回のゲストスピーカーは、
田中雄策さんと富山浩樹さん。
田中さんは、
一般社団法人リテールAI研究会代表理事。
富山さんはサツドラホールディングス㈱社長。
イオン㈱執行役員の三宅香さんも、
今日の株主総会の大役を終えてから、
参加してくれた。
テーマは「リテールIT」で、
飲み会にはもったいないほどの、
実に有意義な2時間半だった。
私はまとめ役のような立場で語ったが、
自分でもいいことを言っている気がした。
お酒が入ったほうがいいのかもしれない。
すっかり飲み過ぎてしまったけれど。
その内容は、
このブログや月刊商人舎で書いてみよう。
イオンやセブン&アイの組織はタワー型で、
Zoom飲み会はスクエア型。
どちらも必要で、
どちらも有益だ。
片方だけではうまくない。
ただしそれでも「4密の賭け麻雀」を、
スクエア型に分類したくはない。
〈結城義晴〉