シルク ・ドゥ・ソレイユが破産。
ああ。
団員をはじめ従業員約3500人は、
全員が解雇される。
最大限受けとれるようにするためで、
ショーが再開したらすぐに復帰できる。
だから多分、団員は大丈夫だ。
1984年のカナダ・ケベック州で、
大道芸人のギー・ラリベルテが、
「ヌーヴォー・シルク」を立ち上げた。
ヌーヴォーはフランス語の「新しい」、
シルクは「サーカス」。
サーカスや大道芸をベースに、
物語性や思想性、芸術性を盛り込んで、
夢のようなな世界を描き出すショー。
そのために、
テーマに沿って舞台装置をつくり、
衣装に工夫を凝らし、
オペラやロックなど、
音楽をふんだんに使う。
秀逸なエンターテインメントが誕生した。
ラリベルテは「太陽のサーカス」と名づけた。
演目も1993年に、
Mystère(ミスティア)が大ヒット。
ラスベガスのホテル、
「トレジャー・アイランド」で公演された。
1998年のO(オー)によって、
シルク・ドゥ・ソレイユは不動の地位を築いた。
ホテルはベラージオ。
2003年にはZumanity(ズーマニティ)
2004年にはKà(カー)
さらに同年、Love(ラヴ)
2013年には、
Michael Jackson One(マイケル・ジャクソン ワン)。
私は幸いにして、
どれも観ることができた。
水をテーマにしたオー、
反対に火を題材にしたカー。
性を命題にしたズーマニティ、
ビートルズナンバーをちりばめたラブ、
そしてマイケルづくしのワン。
素晴らしい。
そのシルク・ドゥ・ソレイユが、
カナダの裁判所に破産手続きを申し立て、
アメリカの破産裁判所にも、
連邦破産法15条の適用を申請する。
新型コロナウイルスによって、
全公演が停止。
収入もほとんどなくなった。
ダニエル・ラマーCEO。
「過去36年にわたって、
われわれは大成功を収め、
利益も上げてきた」
しかし、
「売上げがゼロになったことで、
会社の将来を守るために
断固とした行動を取らねばならない」
連邦破産法は日本の民事再生法。
今後は債務整理と資本構成の見直しをして、
再起を目指す。
コロナはシルク・ドゥ・ソレイユまで、
追い込んでしまうのか。
なんとか復活してほしいものだ。
シルクがこの世から消えてしまうのは、
人類の損失である。
こんなとき、
国家の役割は何だろうと思う。
そしてノブレス・オブリージュによって、
救えないものかとも考える。
モニカ・グリュッタースさん。
ドイツの文化メディア担当大臣。
「私は彼らを
見棄(みす)てはしません」
「文化は時代が好調な時にだけ
許される贅沢(ぜいたく)品ではない。
それを欠く生活がいかに味気ないかを、
私たちは今、目のあたりにしている」
「しばし緊急の措置を
要請せざるをえないが、
芸術家や文化機関と十分に協議しつつ
この苦境への対応と補償に当たりたい」
私たちも芸術を見捨ててはならない。
さて、商人舎流通SuperNews。
またぞろ店舗にコロナ感染が出てきた。
今日は、
J.フロントnews|
大丸札幌店の取引先従業員が新型コロナ感染
昨日は2本の記事。
ライフnews|
大阪府の「ライフ高石店」従業員がコロナ感染
イトーヨーカ堂news|
「イトーヨーカドー甲府昭和店」従業員コロナ感染
危うい動的平衡の中で、
私たちはコロナと共生していく。
だから油断してはいけない。
慣れてはいけない。
「コロナ後」など、
ずっとずっと先の話だ。
いまはまだ、
コロナとの闘いの真っ只中にいる。
そのことを忘れてはならない。
したがって、
くれぐれも言っておきたいが、
自分の得のためにのみ、
商売をしてはいけない。
自分のためだけに、
仕事してはいけない。
いつも、
「世のため、人のため。」
もう何度も引用してきた。
パオロ・ジョルダーノ。
その著作は『コロナの時代の僕ら』
1982年生まれのイタリア人作家。
素粒子物理学を専攻したあと、
イタリア第一の人気小説家となった。
ジョルダーノは、
「僕」を主語にして、
「忘れたくない」ことを列挙する。
「僕は忘れたくない。
この自己中心的で愚鈍な自分を」
同感。
「僕は忘れたくない。
頼りなくて、支離滅裂で、
センセーショナルで、
感情的で、いい加減な情報が、
今回の流行の初期に
やたらと伝播されていたことを」
いまも、これからも。
「僕は忘れたくない。
今回の緊急事態があっという間に、
自分たちが、
望みも、
抱えている問題も、
それぞれ異なる
個人の混成集団であることを
僕らに忘れさせたことを」
だから「世のため、人のため。」を、
忘れてはならない。
「僕は忘れたくない。
今回のパンデミックのそもそもの原因が
秘密の軍事実験などではなく、
自然と環境に対する
人間の危うい接し方、
森林破壊、
僕らの軽率な消費行動にこそ、
あることを」
明日から今年の後半に入る。
そしてプラスチック製買物袋有料化が始まる。
それは根本的には、
「自然と環境に対する、
人間の危うい接し方」への、
反省を込めた行動である。
このことは忘れたくない。
〈結城義晴〉