Harvard Business Review。
日本版は、
「Diamondハーバード・ビジネス・レビュー」
その最新8月号が届いた。
第1特集は「気候変動」
第2特集は「不安とともに生きる」
勝った~!!
しかし水前寺清子は歌う。
詞は星野哲郎。
勝った負けたと
騒ぐじゃないぜ♪
あとの態度が
大事だよ♪
Harvard Business Reviewが、
いつ新型コロナウイルスの特集をするか、
いつ気候問題を取り上げるか。
私にとっては、
密かな関心事だった。
Harvard Business Reviewは、
今年に入ってから7月号まで、
特集としては一切、
それらに触れなかった。
そっけないくらいだった。
一方、わが月刊商人舎は、
今年1月号特集で、
[極端気象]
5月号で、
コロナは時間を早める。
そして6月号で、
コロナ禍決算
さらに7月号で(?)
明後日発表するが、
三連弾で畳みかける。
極端気象も、
コロナパンデミックも、
21世紀の大命題だからである。
いくら考察しても、
充分ということはない。
しかもCOVID-19感染拡大の渦中に、
そのことを探求することに意味がある。
まあ、Harvard Business Reviewとは、
近年、特集テーマが重なることが多い。
昨年2月号は、
商人舎が「幸せの時間管理」、
Harvard Business9月号が、
「時間と幸福のマネジメント」。
昨年8月7日のブログに書いた。
問題意識が似ているというのは、
まんざらでもない。
だが、いつもわが方が早い。
もちろんパクリではない。
そのHarvard Businessの主張は、
「気候変動をイノベーションの機会に変える」
そして、
「CFOこそ気候変動問題を解決する切り札である」
CFOはChief Financial Officer。
つまり最高財務責任者。
私はCEOが直接担当し、
マネジメントボード全員が、
そして社員・従業員全員が、
私生活も含めて取り組む問題だと思うが、
どうだろうか。
ほぼ日刊イトイ新聞。
巻頭言は「今日のダーリン」
糸井重里さんのエッセイ。
「季節を味わうというのは、
季節の変化が、
暮らしも変えてくれるから
昔から、人は
それがうれしかったのだろうな」
「日本にいると、
季節によって食べるものも変わるし、
家のなかでの暑さ寒さへの対応も変わる。
こたつを出したり、
布団の厚さを変えたりもする」
日本には見事に四季がある。
「季節によって、
いろいろ変わる環境に、
いちいち反応したり
対処したりするというのは、
合理的な考え方からしたら、
コストが高すぎることだ」
その通り。
「環境も一定で、
室内の空調も一定だったら、
着ている服だって、
いつも同じようでいい。
冬もの夏もの、
春もの秋もの、
衣替えもめんどくさい」
「変化があるというのは、
高くつくものなのだ」
だからHarvard Businessでは、
CFOが切り札となる。
「しかも、風物詩とか
言ってられないこともたくさんある」
「冬は寒波も襲いかかるし、
豪雪だってある。
春には花粉が飛ぶし、
黄砂も飛んでくる。
そして、梅雨がくれば湿っぽいし、
活動もしにくい。
夏は猛暑、酷暑で
人死にさえも出る。
涼しくなったころには
台風がやってくる」
「さらに四季にも関係なく、
この島国は地震大国だ。
大きな津波の被害も
経験させられている」
「悲観的な人には、
この島国に住むのは勧められない」
私たちはそれでも、
この四季列島が大好きだ。
ちょっとマゾッホ的かもしれないが。
「これほどまでに
住みにくい環境条件が揃っているのに、
どうして、ぼくらは、
ここに暮らしているのだろうか。
そして、これまでも
この環境のなかで生きてきたのか、
それなりの文化や文明を
育ててこられたのか」
最後は笑い。
「外から見たら、
“あいつら、どんだけがまん強いの?”と
呆れられてしまうような
ことなのかもしれないね(笑)」
「文明とは、
人類の危機に対する
回答である」
あのアーノルド・J・トインビー。
名著『試練に立つ文明』から。
中日新聞「春秋」が取り上げた。
高校のときに読書感想文を書かされた。
普段はあまり、
勉強ができる方ではなかった級友が、
素晴らしい分析を書いて、
驚かされたのを覚えている。
そのトインビー。
「文明というものは……
間断なく襲いきたる挑戦に
対応することに成功することによって
誕生し、成長するもの」
私たちの文明は、
そうしてできあがった。
それをパオロ・ジョルダーノは指摘する。
「コロナは今、
僕らの文明を
レントゲンにかけている」
今こそ私たちの文明の真実を、
私たち自身の態度で証明するときだ。
CFOが切り札などではない。
最後に朝日新聞「折々のことば」
今日は第1869回。
子曰、徳不孤、必有鄰
(孔子『論語』より)
「子の曰(のたま)わく、
徳は孤ならず。
必らず鄰(となり)あり」
この言葉から「有隣堂」の書店名ができた。
中学のころも高校のころも、
伊勢佐木町の本店にはお世話になった。
この孔子の言葉に対する金谷治さんの訳注。
「誠実な生き方というのは、
他人の思惑など顧みることなく、
ひたすら孤独のうちで磨かれるもの。
だがそれがかならずや
他人のこころに響く」
「同時代のなかで孤立していても、
密(ひそ)かにその生き方に支えられた人、
救われた人がいるからだ。
そういう人の結びつきは
かんたんには崩れない」
この言葉の強さは、
「人」に限らない。
国にも、会社にも、
同じことが言える。
そして私たちの文明にも。
〈結城義晴〉