結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年07月15日(水曜日)

故宇沢弘文の「経済理論よりも経済思想」と市場原理主義との決別

COVID-19新規感染者数。

今日は東京都が165人だったが、
大阪府が61人で、
4月20日に84人が確認されたが、
それ以来のこと。

わが神奈川県も42人で、
これも4月18日の44人以来のこと。

埼玉県は38人で、千葉県が29人。

全国合計で449人。
N
少しずつ感染が広がっている。
油断してはならない。

アメリカでもブラジルでも、
地球レベルで感染拡大が止まらない。

[商人舎流通SuperNews]でも、
小売業の店舗での感染報道が続々。

J.フロントnews|
GINZA SIXに勤務する従業員1名が感染

三越伊勢丹news|
伊勢丹新宿店本館の勤務者1名がコロナ感染

そごう・西武news|
西武東戸塚SC勤務の従業員が感染

ヨークnews|
「ヨークプライス西新井店」の従業員が感染

セブン-イレブンnews|
「清瀬梅園2丁目店」従業員がコロナ感染

デイリーヤマザキnews |
「和歌山中之島店」の従業員が感染

その一方で、
イオンリテールnews|
近畿圏275店で「イオン絆市」開催/コロナ禍生産者支援

近畿地区の275店舗で、
生産者支援の「イオン絆市」を開催する。

感染リスクの中で店を運営する。
それでも感染者は出る。

一方でコロナ禍で需要が減った生産者を、
支援するために市を開く。

そうするとまた顧客が押し寄せ、
感染リスクも高まる。

マスク、手洗い、
フィジカルディスタンシング、
三密を避ける。

それらを徹底する。
こまかく、
きびしく、
しつこく。

それしかない。

日経新聞「大機小機」
コラムニストの万年青さんが取り上げた。
宇澤弘文先生
index

コラムのタイトルは、
「経済理論より経済思想を」

「新型コロナ対策と経済活動再開という
二律背反する難題への解が
求められている」

感染リスクと生産者支援も、
二律背反の難題だ。

「その議論に役立つ経済理論とは、
どのようなものであろうか」

ある経済学者は断ずる。
「これまでの経済学では
新型コロナの状況には応えられない」

そこで故宇沢弘文教授の最後の著書、
「人間の経済」(新潮新書)を引く。
名著です。
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日本の学者で唯一、
ノーベル経済学賞の候補に挙がったし、
実際の受賞寸前までいっていた。
数理経済学者で東京大学名誉教授。
社会的共通資本論の提唱者。

以前に何度も、
このブログに書いた。

私は宇沢先生の弟さんと知見がある。
医者の宇沢充圭先生で、
特定医療法人慶友会の理事長。
宇沢
㈱とりせん会長の前原章宏さんや、
元サミット㈱会長の荒井伸也さんと、
宇沢先生を交えてゴルフを楽しんだ。

その宇沢先生の兄上が、
あの宇沢弘文名誉教授。

宇沢教授は、
2008年のリーマン・ショックを分析する。
「パックス・アメリカーナという
大きな時代の、終わりの始まり」

米国中心の世界が終わろうとしている。

そして実にストレートな見解を披露する。
「ミルトン・フリードマンを指導者とする
市場原理主義について
“市場で利益をあげるためならば
法も制度も変えられる、
要するに儲けるためならば
何をしてもいい”という
“まともな人間の理解の度を
はるかに超えた”理論だ」

コラムニスト。
「しかし、この主義は、
これまで我が国の経済政策にも
少なからぬ影響を与えてきた」

市場原理主義。

これに対し、宇沢教授は主張する。
「社会的共通資本としての
核心部分である医療に対しては、
市場メカニズムを使うのではなく、
もっと人間的な立場から
その営みを守るために
協力していかなければなりません」

心から敬意を表しつつ、賛同したい。

「そして、一人の患者が
死に至るまでの医療費を
できるだけ安く抑えようという、
近代経済学の効率性の考え方に基づく
日本の後期高齢者医療制度に関しても、
もっと人間的な立場から、
という視点から厳しく批判する」

Go To キャンペーンや政府・行政の政策は、
後期高齢者たちを見殺しにしても、
経済を優先させようという意図が、
まったくないといえるか。

「いま、我が国の医療体制は
“職能集団としての医師たちの
士気、モラル、志という
人間の心に関わるところ”で
辛うじて持ちこたえている」

コラムニストに同感。

「こうした実情下で必要なのは、
1人当たり10万円配布すれば
どれだけ国内総生産(GDP)に影響するか
といった”経済理論”ではなく、
“豊かな経済生活を営み、
優れた文化を展開し、
人間的に魅力ある社会を
安定的に維持することを可能にする”
といった”経済思想”である」

経済理論でなく、
経済思想である。

「この考え方に基づけば、
補正予算に組み込まれた予備費から
医療機関への経営支援などは
直ちに実行されるに違いない」

Go To キャンペーンの事業総額は、
1兆6794億円。

それを医療機関の支援や、
PCR検査の拡張に使えないのか。

「それは長年我が国の経済政策に
影響を与えてきた市場原理主義からの
決別も意味することになる」

ハードな内容のコラムだ。
が、実に本質を突いている。

宇沢弘文の思想こそ、
コロナ禍の今、輝きを放っている。

さて今日は㈱紀文食品のお二人が、
横浜までやって来てくれた。
堀内慎也さん(中)と林直人さん。IMG_76160
堀内さんは事業企画室正月ユニット部長、
林さんは営業企画本部営業企画部部長。

年末年始商戦に向けて、
紀文はもう動き始めている。

私は朝から横浜で、
商人舎主催のロピア研修会。
午前中に2時間の講演。DSCN97840

午後からは高野保男先生が講演。
事前にロピアの店舗を視察して、
提案を含めた、意義のある講義だった。 DSCN98110

そして夕方、私が1時間半の講義。DSCN98020

今日も内田貴之さんを交えて、3人で写真。
内田さんはロピアの取締役管理本部長。  IMG_76190
経済理論よりも経済思想。

私の講義も理論と思想を語りつつ、
思想に傾斜している。

COVID-19の所為だけではない。

〈結城義晴〉

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