今日は二宮護さんが、
横浜まで来てくれた。
敏腕の編集者。
大学の後輩で、
誕生日も9月2日と同じ。
学生時代には、
2人でバンドを組んでいた。
2011年12月2日には、
そのデュオ復活。
今日は新しい単行本の打ち合わせ。
私の単行本発刊は、
ほとんど二宮さんの編集。
昨年の鈴木哲男著『流通RE戦略』も、
編集は二宮護。
私の本も楽しみにしてください。
さて、
山崎正和さん、ご逝去。
劇作家、評論家。
悪性中皮腫という癌。
まだ86歳。
もっともっと、
山崎さんの鋭い切り口や、
明快な文章を堪能したかった。
今の時代、これからの時代に必要な、
文明批評や社会評論は、
山崎さんにしかないものだった。
1934年3月26日、京都市生まれ。
5歳から戦時中の旧満州へ。
私の父と同じ時期に、
同じ中国東北部の空気を吸っていた。
終戦後、14歳で帰国して、
それから京都大学文学部・同大学院と、
哲学科美学美術史を専攻し、
それが専門となった。
1963年、29歳の時、
「世阿弥」で岸田戯曲賞を受賞。
若くして劇作家としての地歩を築いた。
その後、関西大学、大阪大学の教授、
山口県の東亜大学学長など歴任。
サントリー文化財団副理事長、
中央教育審議会会長。
2018年には文化勲章を受章。
私もときどき、このブログで、
引用させてもらった。
2001年の論文「ポピュリズム」の分析が秀逸。
「ポピュリストに共通した政治手法」
「第1に、
彼らは民衆の感情を刺激し、
理性よりも情念に訴えるという形をとり、
しかも、その情念は反感、
あるいは嫉妬という点に絞られ、
その対象として敵を必要とする」
ポピュリズムは、
反感、嫉妬の対象としての、
敵を必要とする。
「第2に、
ポピュリストが勝利をおさめていくと
ナンバーツーたたきという形をとる。
そして、ポピュリズムが
勝利をおさめたうえで、
法的、制度的な改編を行って、
勝利の結果を永久化すると
ファシズムになる」
ポピュリズムはファシズムにつながる。
「第3に、
ポピュリズムはその形成過程において、
その目的を実現するための
手続き、過程、制度というものを
無視するやり方をとり、
あらゆる制度、手続きというものを、
むしろ目的の敵として攻撃する」
ポピュリズムは、
制度や手続きを攻撃する。
ポピュリズムは政治だけでなく、
産業にも企業にも現れる。
それらの手法はこの3つに集約できる。
こういった鋭い分析、
やってみたいものだ。
心からご冥福を祈りつつ、合掌。
さて日経新聞の連載「決算ランキング」
その第4回。
「逆風下でも連続最高益」
新型コロナウイルスの逆風。
にもかかわらず来2021年3月期に、
最高の純利益を更新する企業を探る。
第1四半期までに、
最終損益の見通しを開示している企業は、
1100社で、上場企業全体の65%。
通期の業績予想を発表した企業の、
純利益合計は前期比で30%減。
しかし最高益更新を見込むのは、
132社もある。
前期は378社が最高益だった。
そこで連続更新年数をランキング。
輝かしき1位に、
㈱ヤオコー。
連続記録は27期。
2位のセリアの12期を大きく引き離す。
日経記事の表現。
「ヤオコーは時代の変化を取り込み、
成長を続けている」
「総菜やプライベートブランドを充実させ、
少子高齢化による”個食対応”を進めてきた」
「コロナ下で”巣ごもり”が広がる中で
高単価の総菜が伸び、
感染が広がった2月から7月までの
毎月の既存店売上高は
前年同月を10%以上上回っている」
2位は100円ショップのセリア。
「マスクやアルコール消毒製品のほか、
巣ごもりで自宅を快適に過ごしたい
という来店客が多く
清掃や収納用品などが売れている」
「5~7月の既存店売上高は
前年を上回って推移し、
12期連続で最高益を見込む」
一方、前期まで14期連続で
最高益を記録したカカクコムは
予想を開示していない。
2020年第1四半期の4~6月期は、
純利益67%減。
記録更新が危ぶまれる。
この記事は3月期決算企業の分析だが、
2月期決算企業では、
ニトリが34期連続最高益を見込む。
2月期決算企業でトップはニトリ。
3月期決算企業ではヤオコー。
どちらも樹木の年輪のように、
必ず外側に成長の輪を記してきた。
なんだか誇らしい気分になる。
ありがとう。
実績によって、
内外にその力量を示し続けるのは、
ポピュリズムとかけ離れた手法だ。
〈結城義晴〉