結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年08月31日(月曜日)

セブン&アイのコロナ感染一覧報告と「慣れが一番怖い!」

Everybody! Good Monday!
[2020vol㉟]

2020年第36週。
今日は8月最終日で、
明日の火曜日から9月第1週。

通常ならば大半の学校は、
今日で夏休みが終わり、
明日は始業式。

今年は例年とは違う。
それもまた、よし。

良く学び、良く遊べ。

通常と異なる経験は、
必ず良い影響を与えてくれる。

今日は朝から東横線、日比谷線、
そして京葉線と乗り継いで、
海浜幕張へ。

そう、イオン村というか、
イオンタウンというか。
イオン一色の街。

WAON1枚持っていれば、
何でも買えるし、生活できる。

その海浜幕張で、
イオンリテール㈱の皆さんに、
インタビュー。

左から中田真由子さん、
太田正道さん、上田啓介さん、
吉田和弘さん。
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太田さんがネットスーパー本部本部長、
上田さんは同本部マネージャー。
吉田さんは経営企画本部広報部部長、
中田さんは広報部部員。

いい話を聞くことができたし、
私自身、いろいろと考えさせられた。

感謝したい。

今週は月刊商人舎9月号の入稿の日々。
その間にビデオ撮りなどもある。

結構、忙しい。

夏は終わり、秋に入って、
台風9号が沖縄に接近。

気象庁によると、
今日8月31日22時現在、
那覇市の南南西の海上にあって、
毎時20kmの速さで北北西に進んでいる。

中心の気圧は950ヘクトパスカル、
中心付近の最大風速45m、
最大瞬間風速は60m。

日本は地震列島でもあるし、
台風列島でもある。

しかしCOVID-19感染は、
どうやら一時的に、
ピークを過ぎたようだ。

テレビなどのニュースでしか、
知ることはできないけれど。

しかし、ゆめゆめ油断はできない。

㈱セブン&アイ・ホールディングス
ウイルス感染の広報のやり方を、
8月に入ってから変えた。

7月までは傘下の個別企業ごとに、
それぞれ感染状況と対応報告をしていた。

それをセブン&アイ全体で、
一覧できる形で発表するようになった。

セブン&アイの感染報告の多い日を、
商人舎流通SuperNewsから、
抜き出して列挙してみよう。
(ちなみに、流通スーパーニュースの
右肩の検索欄に言葉を打ち込むとずらりと出てくる。
たとえば「セブン&アイ 感染 発表」)

8月7日(金)7件感染判明。
8月10日発表。

7日 7日デニーズ

8月14日(金)8件陽性判明。
17日発表。
20200817_7i_03 20200817_7i_03 - コピー
8月21日(金)6件判明。
24日発表。
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そして8月27日(木)5件陽性確認。
28日発表。
27日 27そごう
セブン&アイも、
思い切った発表をしてくれる。
おかげさまで小売業全体のトレンドは、
この報告で知ることができる。

セブン&アイの感染発表を見ると、
金曜日と木曜日が多い。
そして8月後半になっても、
それほど衰えはない。

だから小売業やサービス業の現場は、
「慣れが一番怖い!!」

厚生労働省も感染状況を毎日発表する。
地方自治体もそれぞれに発表する。

商人舎流通スーパーニュースは、
小売業の感染状況の情報を、
できるだけ広く集めて報道する。

店頭での感染が収まらない限り、
私たちに「慣れ」や「緩み」は許されない。

7月の商人舎標語。
命を守る。

今、いちばん大切なこと。

命を守ること。
今、死なないこと。
今、死なせないこと。

ウイルスに侵されないこと。
自分が患わないこと。
人にうつさないこと。

感染した人をいたわること。
医療する人を敬うこと。
看護する人をねぎらうこと。

今、いちばん大切なこと。

人々のために仕事すること。
社会にお役立ちすること。
天職を全うすること。

エッセンシャルワークすること。
店を開けること。
繰り返しに耐えること。

今、いちばん大切なこと。

偽らないこと。
傷つけないこと。
差別しないこと。

ささやかな幸せをつくること。
小さな喜びを分かち合うこと。
明日への希望をもつこと。

今、いちばん大切なこと。

自分を鍛えること。
己を投げ打つこと。
自ら変わること。

真実を求めること。
ひたすら真摯であること。
それに誇りをもつこと。

今、いちばん大切なこと。

命を育てること。
そのために死なないこと。
死なせないこと――。
202007_message

昨日も今日も変わらない。
明日ももちろん変わらない。

では、みなさん、
9月に入っても生活産業は、
国民の命を守る使命をもつ。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2020年08月30日(日曜日)

若山牧水と次の総理の「濁りのないもの」「合掌礼拝に似るもの」

8月の終わりの夕空。IMG_8501
もう、秋がやって来ている。

政局は自民党総裁選挙に向けて、
思った通りの方向に動く。

安倍晋三第25代総裁が突然の辞意を表明し、
菅義偉(すがよしひで)内閣官房長官が出馬する。

かつての自民党ならば、
63歳の石破茂元幹事長か。

岸田文雄政調会長も同じ63歳で、
意欲を見せる。

一気に若返るとすれば、
小泉進次郎環境相の目もないことはないが、
その39歳の小泉大臣は、
57歳の河野太郎防衛相を推した。

現下のCOVID-19禍中では、
「病欠」の首相退陣を後継できるのは、
内閣の主要なポジションを担う者しかいない。

とすれば、あるのは、
麻生太郎副総理か菅官房長官。

麻生副総理は首相経験者の79歳だが、
トランプ米国大統領の74歳、
バイデン候補の77歳よりも年上。

だから必然的に、
71歳の菅官房長官となる。

キャスティングボートを握るのは、
81歳の二階俊博自民党幹事長。

安倍+二階+菅のラインで、
すでに話は決まっているはず。

三方一両損などではなく、
三方百両得くらいか。

来年の総裁任期終了のときに、
日本の30年後までを展望できる総理を、
望みたいものだ。

朝日新聞「折々のことば」
今日の第1920回。

わがこころ
澄みゆく時に詠む歌か

詠みゆくほどに
澄めるこころか

(若山牧水「樹木とその葉」から)
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牧水は言う。
「歌は自分を知り、
守り育てたいために詠むものだ」

政治もまず、自分を知り、
守り育てるために為すべきことだ。
そのうえで世のため、人のため。

「自分を僅(わず)かなりとも
“濁りのないもの”にしたい。
その点で”合掌礼拝”に似る」

真の政治も、
濁りのないものであるし、
合掌礼拝に似る。

そう考えると、
石破茂も岸田文雄も、
河野太郎も小泉進次郎も、
「濁りのないもの」を、
求めていないわけではない。

だから救われる。

編著者の鷲田清一さん。
「言葉は何か知れない自分というものを
たぐり寄せ、劈(つんざ)いてくれるもの」

政治家も言葉を使う仕事だ。

「だが一つ間違うと自分を閉じ込めもする」

政治家も一つ間違うと、
自分を閉じ込める。

「だからこそ言葉に距離をとり、
注意深く吟味することが大切になる」

安倍晋三は最後の最後に、
持病について語る瞬間に、
少しだけ言葉に距離をとって、
注意深く吟味した。

初めからとは望まない。

そのときに安倍は「美しい国」など、
言葉に距離を置かない標語を口にした。

二度目の総理就任のときくらいには、
それがあってほしかったが、
最後の最後にしか、
その域に達することができなかった。

歌人・若山牧水は44歳で亡くなって、
小泉進次郎にいちばん近いが、
歌を極めることで、
「こころの澄みゆく」境地を拓いた。

歌人・俵万智が一昨年の夏の終わりに、
「牧水の恋」という評伝を書いた。
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万智さんの牧水論、
なかなかに鋭いし、
とてもいい。

今日のテーマにまったく関係ないが、
最後に、家の前の坂道で、
Go! Go!ポーズ。
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濁りのないGo! Go!ポーズ。
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いまや、結城義晴にとって、
自然体。
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合掌礼拝にも似たGo! Go!ポーズ。
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30年くらい先まで走りたい。

白鳥は哀しからずや
空の青海のあをにも
染まずただよふ

いい歌だ。

〈結城義晴〉

2020年08月29日(土曜日)

「八月の終わり」の妙な切なさと「浮世のこともみな〆切主義」

8月29日。

物心ついてからずっと、
8月の終わりには、
妙な切なさを感じる。   IMG_84780

退任表明した安倍晋三さんも、
この切なさを感じているに違いない。

小学校から中学・高校まで、
8月の終わりごろは必ず、
夏休みの宿題に追い詰められた。

そのころから私の信条は、
「追い詰められること」

深夜まで宿題に取り組んでいると、
本題の宿題よりも、
詩集をめくったり、
小説を読みふけったり、
時には哲学書を紐解いたりした。

そこで「妙な切なさ」の中にたゆたう。
それが習慣になった。

高校一年から友達に誘われて、
同人誌に入会した。
名称は『ひこばえ』といった。

1年に何度か、作品を発表する。
その手書き原稿が、
一冊の同人誌として製本される。
それを回覧して、
仲間の同人の詩や小説を読む。

大学生になってからは、
早稲田大学童謡研究会に入って、
西條八十や北原白秋、野口雨情を、
研究したりしながら、創作に励んだ。

西條八十先生は、
この童謡研究会の創立者だ。

日本のわらべ歌にも、
イギリスのマザーグースにも、
興味をそそられた。
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まど・みちおや阪田寛夫、
サトウハチローや谷川俊太郎、
そして井上ひさしを目指した。

私は作詩と作曲をした。
だから吉田拓郎の「夏休み」、
井上陽水の「少年時代」、
荒井由美(当時)の「ヒコーキ雲」などにも、
大いに刺激された。

毎週、「さぶるこ」という合評誌を、
ガリ版印刷して全員に配った。
誰かは知らないが、
先輩が命名した習作誌は、
「遊女(さぶるこ)」と呼ばれた。

それをまとめて、
作品集「遊創」を編集した。
さらに作品を厳選して、
「早稲田童謡」を発表した。

㈱商業界に入社して、
社会人になってからは、
一転、ビジネス誌の編集に携わった。

以来、43年間、
原稿を書き続けている。

原稿はどんどん長くなってきた。
二番目の上司の高橋栄松編集長は、
「長いものを書け」と叱咤激励してくれた。

編集長になってからは、
特集の巻頭論文やルポ記事などのほかに、
月刊誌の巻頭言を書き始めた。

若いころの手習いによって、
私の巻頭言は詩のようになる。

「私の好きな人」

笑顔の人。
はっきりとした人。
晴れやかな人。

機敏な人。
元気な人。
清潔な人。

素直な人。
明るい人。
意欲ある人。

勇気ある人。
正義の人。
まっ正直な人。

優しい人。
耐える人。
辛抱強い人。

太っていても、やせていても。
大きくても、小さくても。
若くても、老いていても。

男でも、女でも。
日本人でも、外国人でも。
豊かでも、貧しくても。

心の力を持つ人。
頭の力のある人。
言葉の力を有する人。

私の好きな人。
ほんものの商人。
素晴らしい人間。
〈拙著『Message』から〉

指折り数えてみると、
私が何かを書き続けて51年間。
この間、一貫しているのは、
「〆切主義」

つまり締め切り間際に、
集中力を高めて書き上げる。

そして書き終わると、
どこかに切なさを感じる。

コラムニストの故山本夏彦さんの名言。
「まことに世は〆切」
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山本さんは月刊誌「木工界」の創刊者で、
商業界と同じ印刷所を使っていた。

山本さん曰く。
「何も原稿のことばかりではない。
浮世のことはすべてそうだ」

ブログを書き始めてから、
私には毎日、毎週、毎月、
〆切だらけ。

自らに〆切を課す。
その〆切の頻度が高まれば、
大量に書ける。

大量に書いていると、
文章の質も高くなる。

「締め切りに焦ってこしらえた原稿は、
不出来なことがある」

作家の村上春樹さんは、
「〆切主義」を否定する。

村上さんはマラソンランナー型だ。
毎日、コツコツと書き続ける。
「一日、十枚書くとそこでやめる」

私には、それはない。
夏休みの宿題と同じ「〆切主義」

そして締め切りに追われて書くと、
私には良いものが創作できる。
もちろんあとからの推敲は必須だ。

ただし時間が迫っても、
絶対に手を抜かない。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも、
同じようなことを言っている。
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「なんでもギリギリにすると、
一番スピードが上がって効率がいい」

これを知って、
私はちょっと安心した。

作家の故井上ひさしさんは、
自ら「遅筆堂」を任じた。
「筆が遅い人」である。
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その井上ひさしさんの挽回策の一つ。
「良い本を書き上げ、
内容のよさで遅れを勘弁してもらう」

私も全くの同感。

そして、書き終わると、
「妙な切なさ」を感じる。

八月の終りのながきてがみかな
〈星野麥丘人『雨滴集』より〉
星野麥丘人(ほしの ばくきゅうじん)は、
1925年~2013年の俳人。
俳句誌『鶴』の主宰者。

八月の終わりの長い手紙にも、
妙な切なさは感じられたに違いない。

〈結城義晴〉

2020年08月28日(金曜日)

安倍晋三内閣総理大臣の辞意表明に思う。

安倍晋三第98代内閣総理大臣。
1954年9月21日生まれの65歳。
辞任の意向を表明した。
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今年6月13日に慶応義塾大学病院で、
半年に一度の恒例の人間ドックを受診。

今日の記者会見の発言では、
「7月中ごろから体調に異変が生じ、
体力をかなり消耗する状況となった」

持病は潰瘍(かいよう)性大腸炎。

2006年9月26日、
第一次安倍内閣がスタートした。
小泉純一郎首相の勢いを継いで、
「美しい国」を掲げた。

しかし翌2007年7月29日の参議院選挙で、
与党自民党は惨敗して、
過半数割れとなった。

52歳だった安倍首相は続投を判断して、
8月27日に内閣改造を行った。

顔ぶれはすごい陣容だった。
鳩山邦夫法務大臣、
町村信孝外務大臣 、
額賀福志郎財務大臣、
伊吹文明文部科学大臣、
舛添要一厚生労働大臣、
甘利明経済産業大臣、
高村正彦防衛大臣、
与謝野馨内閣官房長官。

この時、初入閣したのが、
岸田文雄内閣府特命担当大臣。

9月10日召集の臨時国会冒頭、
安倍総理は所信表明演説で、
「職責を果たし全力を尽くす」と力を込めた。

しかし、9月12日、突然、
首相辞任を表明した。

懸案のテロ対策特措法は、
延長が困難になっていたが、
この時も潰瘍性大腸炎が悪化していた。

「政権投げ出し」などの批判を受けた。

私も同じ2007年の8月31日に、
㈱商業界代表取締役社長を辞任していた。

私の場合は任期満了での退任だったが、
同じ時期の安倍首相の気持ちは、
わからないでもなかった。

その後、自民党総裁には、
福田康夫前内閣官房長官が就任した。

2007年にはサブプライムローンが破綻し、
2008年9月にはリーマンショック。

自民党は福田内閣、
麻生太郎内閣と政権を維持したが、
世界経済は揺れに揺れた。

福田・麻生政権は、
いずれも約1年の短命内閣で、
2009年8月30日の総選挙では、
民主党に政権を奪われてしまった。

その民主党も、
鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦と、
短命内閣が続いた。

2011年3月11日には、
東日本大震災が勃発していた。

自民党総裁に復帰していた安倍晋三は、
2012年12月の総選挙で、
民主党から政権を奪取して、
第96代内閣総理大臣に就任。
第2次安倍政権を発足させた。

以来、今日まで、
第1次政権を含めた通算在任日数は、
桂太郎第13・15代総理を超えて、
史上最長を記録した。

連続在任日数でもこの8月24日に、
第61・62・63代の佐藤栄作首相を抜いて、
歴代トップの2799日に達した。

その佐藤栄作氏は、
日本で唯一のノーベル平和賞を受賞した。

安倍晋三総理は第二次組閣とともに、
「アベノミクス3本の矢」を打ち出した。
⑴大胆な金融緩和政策
⑵機動的な財政政策
⑶民間投資を喚起する成長戦略

ただし振り返ってみるとこれも、
黒田東彦日銀総裁による、
「大金融緩和政策」一本槍の観は免れない。

民主党政権での円高・株安は是正されたが、
財政政策の成果も健全化も見えず、
成長戦略も実のないものだった。

それでもこの間、安倍政権は、
安全保障政策に注力した。
全面賛同はできないものの、
安全保障関連法を成立させて、
集団的自衛権の限定行使を可能にした。

外交ではトランプ米大統領と、
やや滑稽な蜜月関係を築いた。

そしてCOVID-19パンデミック。
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唐突な一斉休校や、
揶揄された「アベノマスク」。
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これらの陳腐な判断など、
すでに体調は悪化していたのかもしれない。

それでも長期安定政権はそれ自体、
高く評価されるものだ。

野党の自滅もあるが、
与党内のバランスを取って、
政権を安定させる。

それが国際的に高い価値をもつ。

国内的にも本来、
大きな機能を果たすはずだが、
こちらは行政組織の陳腐化現象が起こる。

それが「忖度政治」となり、
意思決定がまともに、
実施されない体制となった。

しかし安倍さんも昨年9月21日に、
前期高齢者となった。

そろそろ、いい時期かもしれない。

記者会見での発言。
「病気と治療を抱えて体力が万全でない中、
政治判断を誤ることがあってはならない」

自民党総裁選は9月中に実施される。
新総裁が決まり次第、内閣は総辞職する。

そして第99代内閣総理大臣が決定する。

石破茂元幹事長と岸田文雄政調会長が、
有力な候補とされる。

菅義偉官房長官を推す動きも出ているし、
河野太郎防衛相も取り沙汰されている。

いずれにしてもすみやかに、
次の内閣総理大臣を決めて、
COVID-19対策は、
継続、刷新されなければならない。

安倍晋三さん。
「お疲れ様」とねぎらいつつ、
「ご自愛を」と言っておこう。

敗者復活の内閣総理大臣。
それがあなたのユニークな強みだった。

これまでの非礼の段、
お許しいただきたい。

「世のため、人のため。」を、
思っての発言であるし、
あなたも、
「世のため、人のため。」では、
同志だと信じるものだ。

〈結城義晴〉

2020年08月27日(木曜日)

「おうい価格よ どこまでいくんか」デフレ懸念と体力勝負

真っ白な入道雲と青い空。
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それでも荒れ模様の空。
もう秋の気配がある。
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おうい雲よ
ゆうゆうと
馬鹿に
のんきさうぢやないか
どこまでいくんか
〈山村暮鳥〉
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フィリピンの東で、
新たに熱帯低気圧が発生。
台風になる可能性がある。IMG_84490

日経新聞に7月22日・23日掲載の記事。
保存しておいたが、1カ月経過して、
追加のインタビュー記事が出た。

「コロナが変えた値段」
(上)「少し高くてもよい」

「新型コロナウイルスの影響で
モノやサービスの値段に変化が出ている」

スーツやホテルなど
外出に関連した消費の価格は下落した。
巣ごもりに焦点を当てた新たなサービスは
価格が高くても人気を集める。

記事は人気の商品やサービスを列挙する。

⑴マンガアプリ
Amaziaが提供する「マンガBANG!」
ダウンロード数は前年同期の約2倍。

紙の単行本が値上がりしているから、
このアプリも単価を値上げした。
それでも利用者数や売上高は増えている。

6月の消費者物価指数で、
「ウェブコンテンツ利用料」は
前年同月比2.7%上昇。

⑵宅配代行サービス
ウーバーイーツの1日の平均利用者数は、
4月下旬~5月上旬はほぼ倍増。

宅配サービスの価格には、
手数料や配送料が含まれる。
店内で食べるより高い。

ハンバーガーは店内価格が110円なら、
宅配は130円、
牛丼は350円が570円。

⑶ネット通販
楽天市場の利用者数は10%増、
アマゾンも6%増。

日銀の指摘。
「アマゾン効果により、
消費者物価の総合指数が、
0.1~0.2%程度押し下げられている」

少し高くても、
ウーバーイーツやネットスーパーの、
宅配は売れる。

それでも物価指数は下がっている。

23日の記事は、
(下)「一番売れる時期逃した」

紳士服チェーンは、
緊急事態宣言の4月上旬から1カ月休業。
卒業式や入社式で1年の書き入れ時。
販売は激減し在庫が膨張。

そこで「緊急処分」と銘打って、
スーツの全品半額セールに踏み切った。

カジュアル衣料のライトオンも、
春物を大幅に値下げした。

6月の消費者物価指数。
男子用ズボンが前年同月比3.4%下落。
婦人用スーツも5.1%の大幅下落。

率先して値下げに動く企業に、
㈱イズミ(山西泰明社長)が挙げられている。
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6月から1000品目で平均1割の値下げ。
昨年10月の消費増税時に、
350品目の値下げをしたが、それ以上。
「値下げした商品の売れ行きは好調」。

ロイヤルホールディングスの「てんや」。
5月中旬に天丼を値下げ。
540円から500円に。

黒須康宏社長の見方。
「消費マインドが減退し、
低価格商品の売れ行きが伸びる」
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コロナウイルス不安は、
消費マインドを減退させ、
価格コンシャスは高まる。

みずほ総合研究所の調査。
今夏の1人あたり賞与額は、
前年比9.2%減。
リーマン危機後の2009年に次ぐ大幅減少。
この時は9.8%減。

日本経済団体連合会の発表。
「2020年夏季賞与・一時金」では、
大手企業の夏ボーナス平均は、
92万5947円で前年比6%減。

この夏、消費は伸びることもなく、
ゆえに価格は下がった。

この「コロナが変えた値段」シリーズ。
1カ月後の8月20日。
野村総合研究所の木内登英氏登場。
エグゼクティブエコノミスト。
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日本経済4~6月期の実質国内総生産は、
前期比年率27.8%減。

戦後最悪の落ち込み。

木内さん。
「長期にわたって
強い下押し圧力が
かかり続けるだろう」

「外出を控える動きなどで需要が急減し、
企業収益の悪化は避けられない。
設備投資や雇用の調整も進み、
需要は一段と抑制される」

「需要と供給力の差である需給ギャップは
2025年まで年平均で4.5%悪化し、
物価上昇率は同1.1%下振れる計算だ」

「コロナ以前から物価上昇率は0%台で、
当面はマイナス圏に沈む可能性が高い」

だからイズミの政策は、
競争する小売業として正しい。

「感染再拡大の懸念がくすぶるなか
需要は元に戻らない」

「家計や企業への支援は必要だが、
問題は財源の議論がないことだ」

国債の増発は、
企業や国民の税負担につながる。
企業の成長期待を押し下げる。

「投資や雇用が抑制されると、
物価の下げ要因となる」

ところが「政府・日銀はいまだ
物価目標2%の旗印を降ろしておらず、
コロナ禍が過ぎ去った後に
再び”デフレ脱却”を目指す可能性がある」

安倍晋三首相の進退いかんでは、
それどころではないかもしれない。
政局となると、
「物価は二の次・日銀任せ」となる。

「その際、危機対応の延長で
財政規律が緩んだまま
野放図な財政出動に走れば、
企業の成長期待が押し下げられ
デフレが再燃する懸念がある」

木内エコノミストは、
「デフレ再燃」を懸念する。
つまり価格は下がり続け、
顧客の価格マインドは高まり、
低価格消耗戦は続く。

スーパーマーケットをはじめとした、
コロナ特需は弱まりつつ継続されるものの
ヤオコー川野幸夫会長が指摘した
「体力勝負」だけは続くことになる。

おうい価格よ
ゆうゆうと
馬鹿に
のんきさうぢやないか
どこまでいくんか

〈結城義晴〉

2020年08月26日(水曜日)

ポストコロナの「ロイヤルカスタマー時代」とロピア研修会最終日

経済はもとより、商売に関しても、
今、日本経済新聞が圧倒的な情報力をもつ。

私が駆け出しのころには、
讀賣新聞に麻生さん、国政さんといった、
名物記者がいた。
もちろん渥美俊一先生も、
讀賣出身だから、その同僚や後輩に、
著名な記者が育っていた。

朝日にも毎日にも、
流通記者として名の通った人がいた。

日経には長谷川、桐山、矢作と、
凄い三羽ガラスの記者がいた。

今も編集委員の田中陽さんをはじめとして、
力のある流通専門記者が目白押しだ。

そして他の一般紙を圧倒する。

私が商業界に入社したころ、
上司も先輩も日経には負けまいと励んでいた。
編集長になって、取締役や社長に就任して、
自分自身に対しても後輩たちに対しても、
日経に負けるなと叱咤した。

もともとの知見と人脈と行動力、
取材力、構成力、文章力、
そして何よりも「商売への愛」。

その商業界も、今はない。
残念だが、終わりごろには、
負けじ魂もなくなったように感じた。

その日経新聞の昨日の記事。
「外食の客足 復活の3条件」

結論だけ引用すると、
全体に客数が激減したフードサービス業で、
その減少幅が少なくなっている店の条件。

⑴客足がランチ帯にシフトしている
⑵立地はオフィス街よりも住宅周辺
⑶人数は1~2人の少人数での来店

小売業にも同様のトレンドが現れている。
「人間のニーズ」の変化こそが、
マーケティングで最重視されねばならない。

時間帯、立地、客数の変化である。

「常連の大事さも浮かび上がってくる。
8月10~16日の客層を分析すると、
その店を訪れるのが
3回目以上のリピート客の数は
前年同期比18%減にとどまった。
逆に初めて訪れるいちげん客は
40%減となっている」

藤村広平記者の結論。

「苦境にあるときこそ、
なじみの店を支えたくなるのが
消費者心理だ」

「今後は広告宣伝を投じて
新規顧客を開拓するより、
つながりを深めて
常連になってもらう努力が重要になる」

ポストCOVID-19の時代になっても、
常連を増やす商売は、
ますます重要になる。

全国の美容院や理容院。
徹底的なディスカウンター以外は、
ほとんど固定客だけのビジネスとなった。
それも美容師、理容師に、
顧客がついている。

百貨店も総合スーパーも、
スーパーマーケットもコンビニも、
ドラッグストアもホームセンターも、
やがて美容院のようになる。

私の観察だ。

つまりポストコロナは、
ロイヤルカスタマー時代である。

さて今日もロピア研修会。
3日目の最終日。
DSCN94120
朝10時から夕方6時まで。

最初の講義は菊池孝利講師。
ロピア神奈川店舗運営部部長兼システム室室長。
テーマは「ロピアの計数」DSCN94300

ロピアの経営理念を丁寧に語り、
「ロピアライン」は経営戦略。
そしてロピアの計数のルール。
高木秀雄会長が始めた「日の丸管理」。DSCN94490
菊池さんのような幹部がいる企業は、
底力があって、強い。

実にいい講義だった。

ありがとうございます。DSCN94540

続いて浜野仁志講師。
利恵産業㈱社長兼㈱丸越醸造社長。
どちらもロピアの子会社の製造業。
そして浜野さんのテーマは、
「クイズで読み解く決算書」DSCN94560

パワーポイントを駆使して、
損益計算書と貸借対照表の原理を、
本当にわかりやすく講義してくれた。DSCN94570

手振り身振りも交えて、大奮闘。
DSCN94650
クイズ形式で受講生たちに設問を出し、
回答を答えさせた。

ありがとうございました。DSCN94730
社内講師がいい講義をしてくれる。
これが実は一番いい。

昼食休憩の後、夕方までの3時間は、
結城義晴講師。
DSCN94740

昨日の理解度テストの解答を確認し、
そのあと菊池・浜野両講師の講義に、
私なりの補足をしつつ、
簿記や会計の重要さを強調した。

それからケン・ブランチャードづくし。
リーダーシップの手法から、
チームワークの手法。

リーダーシップに関しては、
自分がどのタイプのリーダーかを、
答えてもらった。
DSCN94770

最後はロピアのミドルマネジメントが、
どうしても理解しておかねばならない、
経営戦略のガイダンス。DSCN94800
実はシンプルなチェーンストアの原則、
そしてマクネアの小売りの輪仮説、
業態&フォーマット論。

最後の総括講義は「自ら、変われ」DSCN94820

3日間の清聴を感謝したら、
会場から拍手が沸いた。DSCN94880

そして最後に事務局で写真。
右からロピア人事部の源田百合子さん、
取締役管理本部長の内田貴之さん。
私の隣は浜野仁志さん、亀谷しづえさん。IMG_84400

ロピアは、理念やビジョンや経営戦略が、
コーポレートアイデンティティの刷新と、
フォーマットの確立とに結びついて、
急成長を果たしている。

それはフォーマットに、
ロイヤルカスタマーがついているからだ。

講義をしながら、
私自身もそれを再確認した。

〈結城義晴〉

2020年08月25日(火曜日)

「悪い組織の兆候」とファヨールvsドラッカーのエッセンス

少しずつ少しずつ、
秋めいてくる。

毎年のことだけれど、
今年はとくにそれを感じる。

朝日新聞「折々のことば」
第1915回。

心とは揺れ動くもの萩芒(はぎすすき)
〈内山章子(あやこ)『看取りの人生』から。〉
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内山章子さんは、
明治生まれの政治家・鶴見祐輔の次女。
夫は法学者の内山尚三さんだが、
その夫が病に伏した時をふり返って、
その動揺を詠んだ。

「どれほど激しく風に煽(あお)られても、
止(や)めばすぐ元の姿に戻る萩や芒」

その萩や芒やとわが身を比べて、
「心とは揺れ動くもの」と表現した。

この句を詠んだ4年後、
75歳にして大学に入学する。

凄い人だ。

今日はロピア研修会2日目。
商人舎主催。

今回も私は、
大学院レベルの内容を盛り込む。
立教大学大学院や、
コーネル大学RMPジャパンで、
教材に使い、教授した講義を、
ロピアのチーフ以上の人材仕様にして、
3日間、語り続ける。

朝一番の講義は、
昨夕の理解度テストの解答の解説。DSCN93290
解説しながらそれは講義につながる。

その後、「悪い組織の兆候」。
一言で言えば、
会社が大企業病にかかってしまう理由。
そしてそれへの処方箋。

午前中の2時間を使って、
ピーター・ドラッカーのマネジメント、
そのエッセンスを講義する。DSCN93460

「管理原則の父」といわれた、
アンリ・ファヨール。
その5つの「管理原則」。
「管理とは
⑴計画し、
⑵組織し、
⑶指揮命令し、
⑷調整し、
⑸統制する
プロセスである」

これに対してドラッカーは、
マネジャーに共通する仕事を五つ上げる。
①目標を設定する
②組織する
③動機づけとコミュニケーションを図る
④評価測定する
⑤人材を開発する
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指揮命令、調整、統制に対して、
モチベートとコミュニケート。

この違いがカギを握る。DSCN93429

午後からは高野保男講師。
作業システムとLSP。
レイバースケジューリングプログラム。DSCN93690

最も重要な作業改善のエッセンスを、
豊富な経験をもとに、
実践的に講義する。DSCN93730

動画もふんだんに使って、
高いレベルのオペレーションを提示。IMG_84360

そして最後に質疑応答。
活発な議論が展開された。DSCN93920
高野先生に感謝したい。

そして夕方からはまた結城義晴の講義。
今日は3時間30分。

初めにホワイトボードに書いた。DSCN94030

「商人の本籍地と現住所」。
ロピアには転職者が多い。
その一人ひとりに、
商人としての本籍地がある。
そしてロピアという会社が現住所だ。DSCN94040
本籍地の強みを活かして、
現住所に適応する。

私はアメリカに多くの友人をもつ。
その日本人であり米国人である人たちは、
本籍地の日本人であることを「強み」に、
アメリカで働き、生活している。

本籍地の強みと、
現住所での躍動。

これからM&Aも増える。
雇用流動性も高まる。

そのなかでの商人の考え方。
それが「本籍地と現住所」だ。

そのあと、
ドラッカーの「責任の組織化」、
そして「コミュニケーション」DSCN94090
講義はあっという間に終わって、
各自の復習タイム。

そして最後に理解度テスト。
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理解度テストが待っていることもあって、
実に真剣に講義を聴講してくれる。

冒頭の句を詠んだ内山章子さんは、
75歳にして大学に入学した。

ロピアの研修生たちも、
それぞれに真摯に学んだ。

(わか)くして学べば、
すなわち、
壮にして為すこと有り。

壮にして学べば、
すなわち老いて衰えず。
老いて学べば、
すなわち死して朽ちず。

江戸の儒学者・佐藤一斉。
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COVID-19パンデミックの今、
学ぶことこそが尊重されねばならない。

一喜一憂していては、
「コロナは時間を早める」に、
追いついていけない。

〈結城義晴〉

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コロナは時間を早める

結城義晴・著


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