日経新聞電子版。
経営者ブログ。
鈴木幸一さん。
㈱インターネットイニシアティブ会長。
略してIIJ。
1992年12月創業。
その当時は世界的にも、
インターネット接続サービスが、
開始されたばかりだった。
「やらなければいけない仕事、
新しいサービス開発等々、
いくら時間があっても、
足りない時代」
社員たちが要望した働き方の基本は、
「好きな時間に、
必要だと思っただけ、
オフィスで仕事を
させてほしい」
ん~。
わかる。
私が入社したばかりの販売革新編集部。
1977年、故緒方知行さんが編集長だった。
何としても「流通革命」を仕上げる。
それを支え続ける。
そんな気概があった。
商業界史上最高部数の食品商業編集部。
お陰様で結城義晴が編集長。
スーパーマーケットとコンビニを、
2つの核にして雑誌をつくった。
両業態の抜きつ抜かれつが、
実にスリリングで面白かった。
食品産業の地位向上を、
リードするという意気込みもあった。
読者もそれに応えてくれた。
そんなときは、
IIJ創業期と似ている。
思い切った実験的な企画も実行した。
鈴木さん。
「一般の事業者に定着していた
“働き方”を踏襲していたのでは、
米国や欧州の進んだ国に対し、
遅れるばかりであり、
しかもコミュニケーションの相手は、
初めからグローバルであり、
“日本だけができない”という
接続サービスを提供するのでは、
世界と肩を並べていくことはできない」
そんな危機感を
ほとんどの社員が共有していた。
鈴木さんは述懐する。
「シリコンバレーでは、
“普通の勤務形態”を貫いて
成功した会社も起業家もいない」
コロナウイルス禍によって、
「IT時代の働き方改革」が、
国の施策となっているかのようだ。
鈴木さん。
「新しい技術分野において、
わが国の劣勢が報じられるたびに、
誰もが、余裕をもてる”働き方改革”の
実践を目指したら、この国の産業の
将来はどうなるのだろう」
最後に、
「在宅でもなんでも、
働く場所はどこでもいいけれど、
少なくとも、
徹底して
鍛えられる場にいないと
若い人が育つのは
難しいのではないかと
じいさんの心配である」
同感だ。
だからといって、
サービス残業が許されるというのでは、
まったく、ない。
上司は部下に、
サービス残業を強要してはいけない。
経営者はそれを前提に、
マネジメントしてはならない。
しかし自分を徹底して鍛える。
そんな時期はだれにも必要だ。
その自分を鍛える時期が、
「売れる経験」と同期したり、
「良いものづくりの体験」と重なると、
人間は信じられないほど育つ。
競争も同じだ。
だから今、
ロピア寝屋川島忠ホームズ店や、
平和堂アル・プラザ香里園の、
現場の若い人たちは、
すごい成長をしているに違いない。
だから激しい競争をしていても、
みんな、どこか愉快そうだし、
充実している風である。
しかもそれは、
自分らしさを追求する競争だし、
ポジショニング競争である。
楽しいに違いない。
充実しているに相違ない。
今日も月刊商人舎10月号、
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最後に再び、
ブレーズ・パスカル。
鹿島茂編著『パンセ抄』
「人は精神が豊かになるにつれて
自分の周りに独創的な人間が
より多くいることに気がつく。
しかし、凡庸な人というのは
人々の間に差異があることに
気づかない」
(断章七より)
精神が豊かにならねば、
独創的な人間に気づかない。
自分が独創的にもなれない。
ポジショニング戦略のパワーは、
人間の精神を豊かにするところにこそ、
存在するのだと思う。
〈結城義晴〉