12月に入って、寒波がやってきた。
関越道上りは雪で立ち往生。
関東地方では不気味な地震も続く。
商人舎オフィスのそばを流れる新田間川は、
横浜駅西口に近くなると、
幸川と名前を変える。
その川沿いの木立。
葉は枯れて散って、
残った葉はわずか。
パンジーは花を咲かせる。
柚は葉の陰に。
天を衝いて伸びる木々。
こんもりと輪のように茂る木々。
冬の空と木々。
日経MJのダイジェスト記事が、
日本経済新聞本紙に載った。
「4月から総額表示義務」
本体価格表示を認める「特例法」の期限は、
来2021年3月末で切れてしまう。
消費税を含む「総額表示」の義務が生じる。
そこで日経は小売業・外食の47社に、
アンケート調査して32社から回答を得た。
「本体価格をメインに総額を併記する」
この回答をした企業が過半を占めた。
コロナ禍の景気不安によって、
消費者の節約志向は高まっている。
戦争になっても、
天変地異が起こっても、
節約志向は強まる。
日経の分析。
「併記の対応には
総額表示のみに切り替えることで
値上げした印象を持たれることへの
警戒がにじむ」
実際に、普通の営業をしている場合、
本体価格表示を総額表示に変えると、
売上げは落ちる。
総合スーパー、スーパーマーケット、
そしてドラッグストアの12社すべてが
4月以降、本体価格に総額を併記すると回答した。
たとえば首都圏のサミットは現在、
本体価格のみを表記しているが、
総額併記に改める予定だ。
4月からは少なくとも、
総額併記にしなければ、
法律違反となる。
しかし「併記」が全国的な大勢だ。
多分、イオンのコメントだろう。
「コロナ禍の景気不安から
消費者の価格志向が強まっている」
記事による併記が多い理由は、
「総額のみの表記に切り替えると、
値上げの印象を持たれて
消費者の購買行動に影響を与えかねない」
値上げの印象というよりも、
「高売りの印象」だろう。
これは本当に難しいテーマだ。
さて、㈱ヤオコー。
2020年度年末社長記者会見。
川越市の本社を、
ヤオコーではサポートセンターと呼ぶ。
その大会議室。
「密」を避けるように、
2mほどの間隔をあけて
30名ほどの記者が参加。
私は行かなかった。
川野澄人社長。
45歳。
2020年度第3四半期までの政策を振り返り、
そのあとで2021年度の方針を語った。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、
外出自粛要請などがあった。
外食産業も営業中止が相次いで、
巣ごもり消費は一段と高まった。
そこで、内食提供業の業態、
つまりスーパーマーケット各社は絶好調。
ヤオコーの既存店も、
4月から9月までは113.4%。
10月は104.1%、11月も108.0%と、
極めて堅調だ。
「当初計画の取り組みよりも、
コロナ対応を最優先にしました」
「来期はウィズコロナから、
アフターコロナへの移行期」
結城義晴はこの時期を、
「キャズム」と名づけた。
月刊商人舎11月号。
「キャズム」のなかの「トレード・オン」
川野さん。
「若い世帯を中心に、
価格志向はさらに強まります。
一方で、ミドル・シニア世帯は、
ちょっといいものを食べたい
というニーズが強い」
「この2極化への対応が重要になります」
「チェーンストアとしての個店経営が、
ヤオコーの強みです」
この「個店経営」を、
真っ向から否定するコンサルタントも、
まだ、いるけれど。
川野さん。
「個店を強くしていく商売が求められる。
そのためには店長力の引き上げが必要です」
ロピアのように、
店長よりもチーフを、
中核に据える企業もあるが。
「チェーンストアとしては、
デリカ・生鮮センターや物流センターの、
インフラ構築によって、
省人化、省力化をより進めていきたい」
ヤオコーの2020年度は、
新設店5店、改装店10店舗だった。
2021年度の計画は、
10店舗の新設、1店舗の改装。
新店はヤオコー9店舗で、
傘下のエイヴイ1店舗。
改装が少ない気もするが。
2020年3月期は、
ヤオコー単体では31期連続増収増益だった。
2021年3月期も間違いなく、
増収増益をクリアして32期連続となる。
しかし2022年3月期はまた、
その分ハードルが高くなる。
社内目標の増収増益は、
個店力と店長力のアップと、
10店舗の新店に託されることになる。
それでいいと思う。
しかしキャズムのあとは、
ブレイクスルーの政策が求められる。
〈結城義晴〉