餅つかずしめかざりせず松たてず
かゝる家にも正月はきつ
一休和尚が詠んだ狂歌。
中日新聞巻頭の「中日春秋」が、
元旦のコラムで取り上げた。
「お金がなくとも、にぎやかに飾らずとも、
やってくる。正月のありがたさよ」
帰省せず初詣せず遠出せず
こんな国にも正月はきた
なんてね。
一休宗純は室町時代の人。
アニメの「一休さん」などでおなじみだが、
臨済宗大徳寺派の僧侶だ。
今日1月3日。
営業する店、
休業する店。
たとえばスーパーマーケットでは、
㈱ライフコーポレーションは、
2日まで正月休業で、
今日の3日に初売りをした。
首都圏の㈱ヤオコーやサミット㈱は、
正月三が日を休業とした。
関西では㈱万代が、
コロナ前からずっと、
三が日休業をしている。
㈱ロピアは1月4日まで休業し、
5日から通常営業をする。
そのライフの今日は、
三密を避けつつ、
ソーシャルディスタンシングを堅持し、
それでも入場制限をした店も多かった。
ピーク時にはレジにも行列ができた。
たとえば東京・東中野では、
総合スーパーのライフ東中野店が、
サミットストア東中野店と、
激しい競争を展開しているが、
今日のライフは入場制限と行列。
初売りの盛り上がりもあるが、
サミットが休業しているからでもある。
川崎市のライフでも入場制限と行列。
1月3日に関しては、
明暗が分かれた。
元旦も営業する店、
元旦は休業して2日から営業する店、
3日から初売りする店。
そして三が日を休業する店。
かつての㈱イトーヨーカ堂グループでは、
グループの業態ごとに、
実に面白い現象が生まれた。
元旦に一番活躍したのが、
24時間365日の業態、
コンビニのセブン‐イレブンだった。
2日はお節料理に飽きた顧客に、
ファミリーレストランのデニーズが、
顧客の人気を博した。
3日はお年玉で買物に来る顧客に、
百貨店のロビンソンや、
ディスカウントストアのダイクマが、
大歓迎された。
ロビンソンはそごう・西武に吸収され、
ダイクマはヤマダ電機に売却されたが。
総合スーパーのイトーヨーカ堂は、
三が日明けの4日あたりから、
主役の座に座った。
そしてスーパーマーケットは、
一番日常生活に密着しているから、
最後に5日くらいから売れ始めた。
ヨークベニマルやヨークマートだ。
業態ごとの社会的機能や役割が、
正月明けの1日ごとに変化して、
それぞれに主役となる業態があった。
イトーヨーカ堂グループ各企業は、
セブン&アイ・ホールディングスの、
事業会社となった。
そしてその圧倒的中核企業は、
イトーヨーカ堂から、
セブン-イレブンに変わった。
そうなるとセブン-イレブンにとって、
一番大切な存在が、
すべての意志決定の基準となった。
コンビニの加盟店である。
加盟店は365日24時間仕事をしている。
だからセブン&アイ各社も、
それに準じることとなった。
ほとんどすべての業態が、
限りなく365日営業に近づき、
そのため元旦営業となった。
新型コロナウイルス感染拡大が、
このセブン&アイの全体像を変えている。
イトーヨーカドーは、
16店舗が1月1日に休業したが、
残りの店舗は営業した。
百貨店のそごう・西武は、
例年通り、元日から営業する。
コンビニのセブン-イレブンは、
昨年は都内直営50店舗で元日休業したが、
今年は通常営業した。
スーパーマーケットでは、
ヨークベニマルは7店舗だけ、
元日休業し、あとは全店営業した。
ヨークマートも35店舗が元日休業し、
他は営業した。
ライフやヤオコー、サミット、万代とは、
セブン&アイのスーパーマーケットは、
違う方針を持っている。
総合スーパーでは、
イオンが原則的に元日も営業した。
仙台市内の5店舗だけが、
条例に基づいて元日休業した。
イオンモールも営業した。
これはイトーヨーカ堂と同じだ。
百貨店は三越伊勢丹や高島屋、
大丸松坂屋百貨店、松屋、東武百貨店が、
例年通り全店で元日に休業した。
そごう・西武と同じ。
コンビニでは、
ローソンが原則的に元日も営業したが、
個店の事情に応じて休業した。
ファミリーマートは、
「店長ヘルプ制度」を運用した。
休暇を取得したいオーナーの代わりに、
本部社員が業務を代行する。
正月元旦、2日、三が日の営業は、
それぞれの業態のなかでも、
様々に変容している。
それはむしろいいことだと思う。
そしてロピアのように、
4日まで休業する企業もあっていい。
ただしライフとサミットのように、
目の前で大繁盛を見せつけられると、
検討課題として上げってくるかもしれない。
働き方改革と売上げや利益。
商人舎11月号。
特別企画「コロナ禍の2021Marketing」
その結城義晴の提言。
「キャズム」のなかの「トレード・オン」
正月の働き方と売上げ・利益においても、
二律背反の問題解決の「トレード・オン」が、
必要となってくる。
〈結城義晴〉