日経新聞が一面で取り上げた。
「イオン/ワクチン接種会場290カ所」
イオンのニュースリリースでは、
まだ発信されていない。
だから日経のスクープということになる。
「イオンは新型コロナウイルスの
ワクチン接種会場として
自社の商業施設を
自治体向けに提供する方針を固めた」
対象は全国に約290カ所ある大型商業施設。
つまりイオンモールやイオンタウンだ。
その駐車場や電源設備などを含めて、
地方自治体に有償で貸し出す。
ワクチン接種は決まっているが、
その場所や人材の確保が問題となっている。
「イオンのようなインフラを持つ民間の協力は、
前例のない大規模集団接種の後押しになる」
実に良いニュースだ。
コロナワクチン接種はまず、
1万人以上の医療従事者向けに実施される。
そのあとが65歳以上の高齢者3600万人。
私もこの中に入るが、
優先接種は4月ころから始まる。
しかし通常の医療機関だけでは対応できない。
接種の主体となるのは地方自治体だが、
その自治体が会場の手当てに追われている。
記事はイオンの防災協定は、
「600超の自治体と結んでいる」とされるが、
月刊商人舎2020年1月号の記事、
「イオンBCMの全貌」では、
全国900の地方自治体と、
災害時連携協定が結ばれている。
BCMは、
Business Continuity Managementの略。
イオンにはBCMの歴史がある。
この災害時連携協定先の、
複数の自治体から打診されている。
そこでワクチン接種会場として、
スペースや機能を提供することが決まった。
イオンモールは大型商業施設、
イオンタウンは中型商業施設で、
駐車場や電源設備が備わっている。
まずは4月からの高齢者の集団接種に向けて、
神奈川県のイオンモール座間が決まっている。
接種会場はモール内の多目的ホール、
待機場所は施設内のラウンジ。
ワクチン保管用冷凍庫は、
空きスペースに設置される。
三菱UFJ銀行もワクチン接種場所を提供する。
東名阪の研修所や保養所などだが、
これは数が少ない。
記事にはアメリカのウォルマートや、
イギリスのテスコの例が出ている。
ワクチン接種の官民協力だ。
このブログでも2月3日にそれを書いた。
「全米小売業店舗活用のワクチン接種」
「バイデン政権は、
コロナワクチンの普及を加速するために、
小売業の店舗を活用する」
「まず6500店舗に100万回分を供給する」
そのために、
全米に店舗網を持つ巨大チェーンと組む。
連邦政府が対象とするのが、
ドラッグストアのCVSヘルス。
それからウォルマート、コストコ。
いずれも処方箋薬局を併設する。
ブログ。
「ワクチンに小売業が協力する。
素晴らしい。
日本でもそうなってほしいところだ」
イオンがそれを進めている。
本当に意義のあることだ。
バイデン政権はまず6500店舗から始めているが、
それをやがて4万店に拡大する。
アメリカではドラッグストア併設の店は、
上位14社で4万店に近くなる。
しかもこれらチェーンストアは、
それぞれに独自の物流網を持っている。
連邦政府はワクチンをセンターに運んで、
あとはお任せするだけでいい。
これまでは米国でも各州・地域政府が、
公共施設などでワクチンを接種してきた。
しかしチェーンストアの威力を見せつけて、
そのスピードは急速にアップする。
ブログ。
「日本でも、
イオンやセブン&アイをはじめとして、
ドラッグストア各社が、
協力できないかと思う」
ただしアメリカではほとんどの州で、
薬剤師が注射を打つことができる。
日本ではそれもできないし、
このあたりの法律改正は、
そう簡単ではない。
それでも会場提供だけでもいい。
有償でもいい。
店舗やショッピングセンターは、
社会機能なのだということが実感されて、
とても有意義なニュースだ。
イオンモールやイオンタウンに限らない。
セブン&アイのアリオや、
イズミのゆめタウンでも、
さらに全国のSCや店舗が、
ワクチン接種会場になってほしいところだ。
〈結城義晴〉