今日は横浜商人舎オフィス。
1日中、原稿書きと入稿。
月刊商人舎3月号の責了が迫る。
いつもいつも原稿に追われている。
若いころから私の信条は、
「追い詰められること」
追い詰められると、
予想を超えた強みを発揮する。
いわゆる「火事場の馬鹿力」
しかしそれが私にとっては、
一番、早いし、効率的でもある。
何度か書いているが、
ビル・ゲイツも同じことを言っている。
もちろん、マイクロソフト創業者。
「なんでもギリギリにすると、
一番スピードが上がって効率がいい」
すべての人にお勧めできる方法ではないが。
さて日経新聞東北版の記事。
わざわざ送ってくれた人がある。
ありがたい。
「ヨークベニマル、
子会社のライフフーズと合併」
内容はタイトル通り。
商人舎流通スーパーニュースでも、
ヨークベニマルnews|
ライフフーズを吸収合併/製販一体ビジネスモデルへ
東北の雄㈱ヨークベニマルが、
その惣菜子会社の㈱ライフフーズと合併する。
その合併の日は1年後。
つまり来年2022年3月1日。
ヨークベニマルの真船幸夫社長。
記者会見で合併の狙いを語った。
「デリカッセンの製販一体の体制を強化し、
惣菜をコア事業にするため」
「デリカテッセン」と、
正確に言葉を使うところは、
真船さん、とても好ましい。
私はどうも、
「デリカ」と略すのが好きではない。
「惣菜」あるいは「デリカテッセン」が正式だ。
「デリカ」は日本ローカルの言葉遣いだ。
略すとすればアメリカ流に「デリ」だろうか。
日常的には「デリカ」でもいいかもしれない。
マクドナルドを「マック」と略すか、
「マクド」と言うか。
しかし正式に部署名などに使うときには、
「デリカ」にはどうも違和感がある。
別に批判しているわけではないけれど。
ライフフーズの創業者は、
大高喬樹(きょうじゅ)現会長。
ベニマルの創業者・大高善雄さんの四男。
現ヨークベニマル会長の善興さんは三男。
長男の故善兵衛さんが社長、
次男の故善二郎さんが副社長、
善興さんが専務。
そして喬樹さんが子会社の社長。
この4兄弟態勢は最強と言われた。
それでも善雄さんは物足りず、
㈱イトーヨーカ堂の伊藤雅俊さんに、
後ろ盾になってもらうために、
資本業務提携をした。
ここからヨークベニマルの快進撃が始まった。
ライフフーズも日本一の惣菜会社となった。
生鮮食品とグロサリーのベニマルと、
惣菜のライフフーズとは、
ある意味のグループ内競争をしながら、
絶妙のコンビネーションで、
日本スーパーマーケット業界をリードしてきた。
私は一度、喬樹さんに頼まれて、
幹部とミドルマネジメントに対して、
講演をしたことがある。
実にいい社風の会社だった。
しかしここへきて、
独立色の強かった子会社を、
親会社と合併する。
ライフフーズは、
21年2月期売上高478億円、
営業利益39億円の見込み。
営業利益率8.16%。
ヨークベニマルは、
売上高4641億円、
営業利益160億円の見込み。
営業利益率3.45%。
コロナ禍キャズムの特需で、
日本のスーパーマーケット企業、
とくに大都市圏のチェーンは、
どこも飛躍的に収益性を高めてきた。
㈱ライフコーポレーションをはじめ、
㈱ヤオコーやサミット㈱などなど。
比較すると、
地方にドミナントを築くベニマルは、
もちろん収益性の高さは変わらないが、
普通の会社に近くなってきた。
セブン&アイの中では、
高収益性の存在感は重要だろう。
真船社長は付け加える。
「グループ各社に惣菜やパン類などの供給を
拡大することを計画している」
つまり自分の商勢圏だけでは、
成長の可能性は限られている。
だからイトーヨーカ堂や㈱ヨークにも、
デリカテッセンやパンを提供する。
それにはライフフーズのパワーアップを、
加速させねばならない。
ベニマルとの合併によって、
人財も資金も増強されて、
ライフフーズ部門はおそらく、
日本最強のデリカテッセン部門になるだろう。
そのライフフーズは、
現在の第2工場を刷新して、
ベーカリー中心工場にする。
投資額は60億円。
今年11月に着工し、
来年5月に稼働する予定だ。
それに先立って本社併設の第1工場は、
37億円を投じて増設工事中。
今年6月に稼働する見通しだ。
さらに日経の記事では、
郡山市富久山の東北新幹線沿いに用地を確保して、
新工場を建設する予定らしい。
ヨークベニマルは、
ライフフーズの併合によって、
本格的で圧倒的なデリカテッセン部門を、
このキャズム期間に確立しようとしている。
それは全く正しい意思決定である。
〈結城義晴〉