月刊商人舎3月号、本日発刊。
特集は、
Retail「DX」
Digital Transformationの小売業的狂騒と瞑想
第9巻第3号、通巻95号。
つまり9年目の3号目、通しで95号。
記念の100号までもう少し。
1号ずつ積み上げてきました。
それも読者の皆さんをはじめ、
取材先の皆さん、
執筆者の皆さん、
厳選された広告スポンサーの皆さん、
デザイナーや印刷・製本の皆さん、
そして編集や校正の皆さんのおかげです。
心から感謝します。
さて、今月号。
[Cover Message]
小売流通業の「デジタルトランスフォーメーション」。新型コロナウイルス感染拡大とともに喧伝され始めた印象がある。きっかけは2004年のA4判6ページの短い論文だった。スウェーデンのウメオ大学エリック・ストルターマン教授。論文タイトルの「INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE」において、教授は情報技術がより良い生活やより良い人生を創出させると主張した。それが巡り巡って、COVID-19パンデミックの影響もあって、今、リテール「DX」狂騒曲となった。しかし本誌は、深く、静かに瞑想しつつ、その本質に迫る。
目次をご覧いただきたい。
小売業のデジタルトランスフォーメーション。
その前に、
「デジタル」とは何か、
デジタルの本質を、
知らねばならない。
そこで[Message of March]
アナログとデジタルを融合させよ。
指折り数える。
それが、
「デジタル」の語源だ。
ラテン語の“digitus”。
ここから派生した英語の“digital”。
どちらにも「指」の意味がある。
デジタルは、
その指で数える「整数」のことだ。
現象を数値化して記録したものだ。
だからデジタルは劣化しにくい。
複製にも、伝送にも適している。
再現性が高い。
一方のアナログは人間的な「知覚」だ。
情報量が多い。
表現も豊かだ。
が、再現性が乏しい。
コピーしにくい。
劣化しやすい。
時計はもともとアナログだった。
温度計もアナログだった。
それがデジタルとなった。
不思議なようだが算盤はデジタルだ。
駒の種類が多い将棋はアナログだが、
黒石白石の囲碁はデジタルだ。
小売りの仕事はアナログだ。
サービスの業務もアナログだ。
近代化はそれをデジタルに変えた。
アナログは次々にデジタルとなった。
そしてデジタルが世の中を高速化させた。
デジタルが世界を爆発的に膨張させた。
アナログのデジタル化はこれからも加速する。
だから逆にデジタルのアナログ化が必須となる。
かくてアナログとデジタルの融合が進む。
それがDXの本質だ。
それがポスト・コロナの仕事の態度だ。
ポスト・モダンの商売の在り方だ。
〈結城義晴〉
DXの本質を私がどう考えるかについては、
明日のブログでちょっとだけ紹介しよう。
さて今日は夕方から、
東京・品川へ。
品川プリンスホテル。
そのメインタワー。
ロビーにはステンドグラス。
そしてモニュメント。
30階の大会議室で、
㈱ロピアの50期決算報告、
51期方針社内発表会。
毎年3月上旬に開催している。
2月末日に締めた決算を、
1週間で全社内に公開し、
次の方針を発表する。
このスピードがロピアの特長でもある。
昨年はコロナ禍のなかで、
報告会・発表会は中止された。
しかし今年は、十二分に、
ソーシャルディスタンシングをとって、
部長以上だけの参集で開催。
午後4時からまず、
高木勇輔代表取締役社長が、
ロピアのビジョンをベースに、
最近考えていることを淡々と語った。
この高木勇輔の発想こそが、
ロピアの原動力とも言えるものだ。
その次に福島道夫取締役営業統括部長。
㈱関西ロピア社長を兼務する。
節目となる50期決算数値を、
会計士のような緻密さで、
わかりやすく解説した。
それから内田貴之取締役管理本部長が、
ロピアの成長戦略を説明した。
そのあと4つの営業本部長、
子会社の社長たちが、
次々に51期の営業方針を説明した。
例外なく自信に満ちている。
最後に結城義晴の講演。
熱を入れて60分。
ロピアのポジションに基づいて、
私が期待するところを語った。
高木さんや福島さん、
そのあとの発表者たちの話を聞いていて、
柳井正さんと岡田元也さんの言葉を思い出した。
そこから入って、
現時点のロピアの幹部が、
大いに気をつけねばならないこと、
陥りやすいあい路を、
私なりに咀嚼して語った。
最後に故田島義博先生の言葉。
「企業の成長は、
革新によってしか
もたらされない」
革新のない拡大は、
膨張に過ぎない。
〈結城義晴〉