今日の横浜は夕方から、雨。
その夕方から商人舎オフィスに出て、
月刊商人舎4月号の原稿執筆と入稿。
新田間川はもやっている。
仕事の合間の軽食は、
らーめん楓(かえで)。
名物の味噌ラーメン。
明日から大阪出張。
だから今夜、頑張ります。
さて、思わずうなってしまった言葉。
「コロナ・パラドックス」
パラドックスは「逆説」という意味。
見逃していたけれど、
日経新聞の3月22日版の「核心」。
「コロナ人口減くい止めよ」
上級論説委員の大林尚さんの筆。
〈日経新聞電子版より〉
昨年1年間の死亡数は、
一昨年より9300人ほど少なかった。
厚生労働省の人口動態統計。
同省は説明を留保している。
「今の段階では確たる根拠が見いだせない」
死因がわかっている昨年1~10月、
累計値を前年同期と比べると、
呼吸器系と循環器系の疾患で、
死亡数が減少している。
なかでも肺炎死は、
1万3900人減った。
COVID-19感染者は、
新型肺炎と言われるごとく、
重篤化して陥る典型症例が肺炎だ。
ある呼吸器専門医は、
「消毒習慣とマスクの効用」と見る。
また人口学の研究者は、
「多くの人が外出を控えた影響」と考える。
それにしても、
新型コロナウイルス感染拡大で、
2020年の日本の死者数は減った。
この逆説。
コロナ・パラドックス。
小林論説委員。
「日本人の平均寿命は、
この1年間に大きく延びたかもしれない」
「コロナ死の激増で20年上期の平均寿命が
1歳ほど縮んだ米国人とは、明暗をわけた」
だが楽観してはいない。
「この先、消毒やマスクが定着したとしても
死亡数の減少がつづくわけではない」
「コロナはより本質的な
人口減少をもたらしている。
出生数の急減である」
小林論説委員は、
平成年間、経済部記者だった。
人口減少に問題意識をもち、
年金・医療改革など社会保障と
消費税の問題を、
ライフワークに選んだ。
だからこの後は、
人口減問題の対策が挙げられる。
20年の出生数は過去最少の87万2600人だった。
今年は80万人を下回るリスクが濃厚。
政府の将来推計人口は、
2033年に80万割れを見込んでいる。
だから少子化は、
「実に12年も前倒しで進んでいる」。
そこで指摘する。
「コロナは日本の人口動態を
強く下方屈折させる転換点になるのだろうか」
本当に憂うべき問題だ。
「歴史を振り返れば、
戦争、疫病、大災害など
人口を激減させる転換点は幾度となくあった」
中世の欧州を襲った黒死病、
20世紀初頭のスペイン風邪のパンデミック、
そして第2次大戦による人口急減。
それでもこれらの終息後は、
出生数が急増した。
「補償的増加」という。
スペイン風邪のあとは、
20年間の出生数が14%近く増えた。
第2次大戦後は、
「団塊の世代」が出現した。
1949年は約270万人が生を受けた。
「コロナ禍の今年は
その3割に満たない超少子である。
補償的増加は期待できるか」
いや、できまい。
小林さん、あまり結論を書かない。
そして論説委員は最後に語る。
「真の意味で私たちは
コロナに打ち勝てるのか」
コロナに打ち勝つには、
人口が増える手立てを打ち続けることだ。
福岡伸一さんがいう動的平衡のなかで。
そのときに一番大切なのは、
三つのことだ。
ちいさな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。
小売業、サービス業、
消費産業がその一翼を担いたい。
〈結城義晴〉