結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年04月24日(土曜日)

20年前の「販売革新」特集「イトーヨーカ堂vsイオン」

新型コロナウイルス新規感染者。
今日の大阪府は1097人。
5日続けて1000人を超えた。

東京都は876人。
1週間前の土曜日から117人増えた。

兵庫県は635人。
2日連続で過去最多を更新。

この3都府県と京都府に、
緊急事態宣言が発令された。
その京都府は174人。

さらに愛知県339人、福岡県321人。
埼玉県229人、神奈川県216人、
千葉県147人。

この5県は京都府より多かった。

なんだかこの5県にも、
遅れて発令されそうだ。

そしてまた「遅い」と批判を受けるのだろうか。

さて、一昨日、
イトーヨーカドー大和鶴間店に行った。

この店に隣接して、
イオンモール大和がある。

両店ともにオープンは2001年。
イトーヨーカ堂が11月、
イオンのやまとオークシティは12月。

私は㈱商業界取締役編集統括で、
「販売革新」編集長を兼務していた。

そこで、
販売革新2002年1月号で、
両者の対峙を全面特集した。IMG_28761
真っ赤な表紙に、
銀色の特色文字を使った。

このころは表紙に内容を書き込んでいた。
マガジンハウスの『ダカーポ』の影響で、
一種の流行りだった。

[本誌総戦力投入特集]
イトーヨーカ堂vsイオン

このころはイトーヨーカ堂が、
イオンより前に来た。

目次を開くと、
[新春特別企画]
日本流通業ナレッジマネジメント宣言IMG_28771
野中郁次郎と渥美俊一。

そして特別インタビューは、
ユニクロ柳井正。

私はこのころから、
「ナレッジ」を重視していた。

目次右側は片開きになっていて、
イトーヨーカ堂vsイオンIMG_28861
第1部は、
やまとオークシティ
「立地法対策共同出店」
直接対決の全貌

私は「イ・イ戦争」と名づけた。
20年前はまだ48歳。
若かったですね。

第2部は、
両中核企業の
「店舗・商品・物流・財務」
経営力全比較
執筆陣は、
小島健輔、島田陽介、鈴木哲男各氏が並ぶ。
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第3部が、
「イ・イ戦争」
グループ総合力コンパリズン
こちらの執筆陣は、
故高山邦輔、石原靖曠、故宗像守、
故伊藤大作。
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Epilogueは故緒方知行。
「伊藤雅俊と岡田卓也」

みなさん鬼籍に入られた。
石原先生だけご存命。

それにしても今、
どの雑誌にもこのパワーはない。

月刊商人舎はこれらすべてを、
私自身が書いている。

巻頭言は伝統の「Editor’s Voice」
寡占は進み、複占に走る
IMG_28881
この文章はのちに、
拙著『Message』に使った。

野中郁次郎先生のインタビューは、
故辻和成さんにお願いした。
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渥美先生はもちろん、
私がインタビューした。
「チェーンストアの知的武装」
三つの危惧
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渥美先生にはこういう風に日頃、
持論として語っていないテーマをぶつける。
それが「渥美俊一」の使い方のコツだ。

それから柳井正さんのインタビュー。
これももちろん、聞き手は結城義晴。
「現代の商売力」三つの力点
今読んでも十分、役立つ内容だ。IMG_28911
柳井さんも若い。

そしてイトーヨーカ堂vsイオン
その特集の表紙。
IMG_28921
お手元にある方は、
もう一度、取りだして、
読んでみてください。

懐かしがっている場合ではない。
20年後の今でも役立つ。

巻頭言を再現しよう。
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寡占は進み、複占に至る

最後にお客は、二つのものから一つを選ぶ。
だからこそ、その二つのものに価値が実在する。
マーケットは、二つのものをつくり、運び、
お客の前に提示する、
二つの異なる機能を選択する。

かくして、さまざまなジャンルごとに
二強時代、あるいは二良時代がやってくる。
きわだった対極をなす二者が、
無個性の三番手を振り落とす。
巴戦の中から、中途半端な一極が自滅していく。
これが「寡占」から「複占」への移行である。

ただし、不思議なことに、
「独占」は許されない。
独占の禁止・禁欲は経済の公平原則ではなく、
人類の生存原理なのである。

アメリカのGMSは、
シアーズとペニーだけになった。
DSはウォルマートとターゲットが、
Kマートをふるいにかけている。
イギリスの消費者はすでに、
テスコ派とセインズベリー派に
二分されていたが、
外資ウォルマート&アズダが
世界レベルの二強として、
イギリスをローカルと見立てた場合の
セインズベリーを抜きつつある。

日本の「総合=ゼネラル」と呼ばれる分類は
イトーヨーカ堂とイオンに。
だからダイエーも西友も、
GMSからの変身を意図し始めている。
すなわち商売変えである。
あらゆる製造業、卸売業において、
寡占が進み、複占が現れる。
カルロス・ゴーンですら、
複占化のはざまでもがいている。

ボランタリーチェーンにも
フランチャイズチェーンにも、
それぞれの業種・業態ごとに
寡占化から複占化への推移が見られる。
さらにすべての商圏、すべての商勢圏で、
チェーンのサイズや売上げ規模の
大小に関わらない二者による複占化が進捗する。

お客たちは、
その分かりやすい豊かさを喜んでいる。
マーケットも、
そのシンプルな構造改革を望んでいる。
二神教時代の神の手が、
それを導いていく。
全体最適への引力が、
多くの産業分類のなかで
「複占への淘汰」を促している。

耐久性のあるフォーマットでは、
しばし、二者による
「競争と協調」の調和が生まれる。
しかし複占の次にはやがて、
周期的に、「小売りの輪」のごとき
業態フォーマット自体のビッグバンがやって来る。

二十一世紀の今、
私たちはこの歴史的転換の
主体者になろうとしている。
私たちはこの歴史的現象の
証人になろうとしている。〈結城義晴〉
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シアーズもペニーも、
ここで指摘したビッグバンによって、
連邦破産法11条を適用申請して倒産した。
Kマートはシアーズに吸収されて、
これも市場から退場した。

アズダとセインズベリーは、
結局のところ経営統合して、
ウォルマートはイギリスから撤退した。

私は寡占(かせん)と複占(ふくせん)の間に、
「鼎占(ていせん)」の概念を見つけ出した。
鼎(てい)は三又のこと。
鼎占は三者によって、
市場のほとんどが占有されること。

当時は元気いっぱいだった。
しかしもう一度この時に戻って、
やり直したいかと問われれば、
私は「御免被りたい」と言うだろう。

この前の20年も、
この後の20年も、
私にとってきつい日々だった。
ひどく充実してはいたけれど。

やり直していいとなったら、
もっとのほほんと、
勉強したい気がする。

しかし私たちはたった一度の人生を、
いつもいつも真剣勝負で、
乗り越えていかねばならない。

その一度だけの真剣勝負ならば、
なぜか今でも気力十分だ。

〈結城義晴〉

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