結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年05月12日(水曜日)

発刊の辞「知識商人に寄す」とロピア ミ・ナーラ店の「知恵と知識」

朝の東海道新幹線のぞみに乗った。

南九州は梅雨入りして、
東日本も曇り空。

小田原のあたりで一瞬、
富士の頂が垣間見えた。

しかし全容は見えない。
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富士川を渡っても、
姿は見えない。
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名古屋を通過して、伊吹山。
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京都までずっと仕事。
手紙を書き続けた。

朗報です。

新著『コロナは時間を早める』
tannkoubonnhyousi
二刷が、3日早まって14日夕方、
刷り上がる。

印刷製本は三永印刷㈱。
お世話になった。

感謝します。

この本の最後の—ページにメッセージを書いた。

「知識商人に寄す」 
――発刊の辞

商人に学問は必要ない、と言われた。商人に難しい理論や論理は無用である、とも喧伝された。しかし「商人の技術」は客観化されて、高等学校に商業科が誕生した。最高学府においては、その「商人の学問」が確立されて、大学や大学院に商学部が生まれた。商売のためのマーケティングが誕生し、マネジメントが構築され、イノベーションが追究された。
商人とは小売り商いをする者に限らない。製造業、卸売業、サービス業、その他の関連産業やIT産業において、営業と販売とマーケティングに従事する者たちすべてを、商人と呼ぼう。
商売の知恵や知識は、それらすべての商人から求められ、深められることを、自ら欲している。商売の精神と技術は、すべての商人から愛され、高められることを、自ら望んでいる。かつても、現在も、商売に関する言葉と論理は、多くの人々によって高められ、深められてきた。
ここにわたしたちは、商人の知恵と知識、精神と技術、言葉と論理とを、時代のメルクマールのごとく総括し、集大成し、上梓することを決意する。現場・現物・現実に即して、Practice Comes First! を貫徹し、難しいことを易しく、易しいことを面白く、面白いことをより深く、考察、分析、論述、表現してゆくことを宣言する。
しかしながら、多くの商人を煽り、貶める甘言はなくならない。あまたの商人を迷わせ、道を外させる詭弁はふえるばかりだ。昭和の時代に起こった商業の近代化が、平成の時代を通して、商業の現代化へと、わたしたちを誘う。さらに次の元号の時代へ向けて、わたしたちは甘言や詭弁を排し、それらを見分けることのできる知識商人をこそ同志と考え、真の商売を探求するものである。それら知識商人の総力によって、商業の現代化を志すものである。その達成のため、世の知識商人との喜ばしき連帯を期待する。
読む、知る、考える、行う。検証する。再び実行する。顧客のために。再び、読む、知る、考える、行う。顧客のために。それが知識商人の尊い態度である。

2018年11月 結城義晴――

鈴木哲男先生の著書にも、
この発刊の辞を入れた。
『流通RE戦略』
EC時代の店舗と売場を科学する
鈴木哲男RE戦略
鈴木先生のこの本、
中国の出版社から
翻訳本が刊行される。

目出度い。

岩波文庫の岩波茂雄は昭和2年5月、
角川文庫の角川源義は1949年5月、
そして講談社文庫の野間省一は1971年7月。
それぞれに格調高い文章で、
発刊の辞、刊行の辞を記している。

結城義晴もそれに倣った。

さて東海道新幹線、
京都駅に着いたら、
JR奈良線で奈良駅へ。

それから車で10分。

「ミ・ナーラ」IMG_31601

1989年(平成元年)10月2日に、
奈良そごうとしてオープン。
そごうの第24号店だった。

しかしそごうが民事再生法を申請して倒産。
2000年12月にこの店も閉店。

2003年7月、イトーヨーカドー奈良店開業。
しかし2017年9月閉店。

さらに2018年4月、ミ・ナーラとして再出発。
核テナントはイオン傘下の「光洋」だった。
中型のスーパーマーケットを出店した。

しかし光洋も今年1月に撤退。

そのあとに4月29日、
関西ロピアが開業した。
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この土地は、
奈良時代の権力者・長屋王の邸宅跡である。

そごう、イトーヨーカドーが、
出店、撤退をしたあたりで、
地元では「長屋王の呪い」と言われ始めた。

そのあとにミ・ナーラと光洋が開業したが、
光洋も3年足らずで退店し、
その「呪い」は信ぴょう性を帯びてきた。

しかしオープン前の4月14日に、
私はこの地を訪れ、この物件を見て、
大丈夫だと思った。

「奈良県中から顧客が来る」
そう、断言した。

1階の広い売場の半分以上は、
現在、フードコートになっている。
IMG_31551

話題(?)の「スギ薬局」が入店している。IMG_31571

1階フロアの奥にロピアの関西5号店。
店頭にはデジタルサイネージが9基。IMG_31521

青果部門は単品量販の売り方が、
一段と拡充された。
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八百物屋あづまの壁面のイラストも、
さらに洗練された。

よく見ると、高木秀雄さんが、
座っていらっしゃる。
㈱ロピア創業者にして名誉会長。IMG_31161

雨の平日にもかかわらず、
この顧客の数。
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壁面には奈良の大仏。
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これはロピアのアーティストたちによる、
直描きの作品。

ウェグマンズ張りの汽車の模型が走る。IMG_31431

リカー売場の上段には、
小野田酒専門店の暖簾。
IMG_31451
バイヤーの名前がショップ名になる。

売場では奈良県の顧客たちが、
嬉しそうに話し合っている。IMG_31381

㈱関西ロピア社長の福島道夫さんと、
執行役員営業本部長の佐藤博和さん。
わざわざ出迎えてくれて、
店内とバックヤードを案内してくれた。IMG_31101
ありがとうございました。

いつも必ず、イノベーションがある。
それがロピアの新店だ。

福島さんも佐藤さんも、
いつもいつも、
商売のイノベーションを考えている。

「商売の知恵や知識は、
すべての商人から求められ、
深められることを、自ら欲している」

「商売の精神と技術は、
すべての商人から愛され、
高められることを、自ら望んでいる」

ロピアの店と売場と商人たちには今、
この商売の「知恵と知識」「精神と技術」が、
確かに宿っている。

私は、世の知識商人との、
喜ばしき連帯を期待するものである。

〈結城義晴〉

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