6月2日。
横浜開港記念日。
新型コロナワクチン。
1回以上接種した国民は、
1000万人を超えた。
医療従事者が465万3566人、
65歳以上の高齢者が573万4023人。
合計で1038万7589人。
6月21日からは、
12~64歳の国民への接種が始まる。
国際的に見れば、
少しは遅れを取り戻したか。
私も6月6日に接種が決まっている。
今日はいい天気。
横浜商人舎オフィス裏の遊歩道。
緑が生き生きとしている。
一日中、オフィスで原稿書きと入稿。
月刊商人舎6月号の締め切りが迫る。
夕方の7時を過ぎて、
「ドン、ドン」と音がする。
オフィスビルの10階に上がってみると、
横浜港の方から花火が打ち上げられている。
ビル群の合間から、
それが見える。
「ああ、今日は、開港記念日だ」
やっとそれに気がついた。
意外に近くに見える。
しかし密を避けねばならない今、
遠くから見るのが今年の花火だろう。
8時きっかりに盛大に打ちあがって、
これが最後かと思った。
やはり、これで「キャズム」の花火は終わった。
それでも開港記念日の花火。
見ることができて満足だ。
ちょうど一年前の今日、
横浜市特別定額給付金の封筒が届いた。
昨年4月28日の国会衆議院予算委員会で、
当時の安倍晋三首相が表明した。
全国民への一律現金10万円支給。
令和2年度補正予算で計上された事業費は、
12兆8802億9300万円だった。
給付事業費が12兆7344億1400万円で、
事務費が1458億7900万円。
国家予算一般会計の12%強。
私は書いている。
「生活に困窮している人たちに、
半分くらいは素早く給付して、
残った予算をPCR検査などに、
投資したらいいとは思う」
国産ワクチンの開発にも、
惜しみなく投資したらよかった。
超低金利は去年も同じ。
普通預金で年率0.01%など、
預金者にメリットは全くない。
それでも将来が不安であるから、
預金に回したり、
箪笥預金にしたり。
これが日本国民のジレンマであり、
アベノミクスの矛盾だった。
菅義偉政権もその矛盾を認めるからこそ、
今年、特別定額給付金は支給されない。
今年も配れ、というのではない。
昨年もそれはわかっていたのに、
アベノマスクにしろ、
10万円支給にしろ、
人気取りのためにやってしまった。
〈アベノマスク〉
日経新聞「大機小機」
タイトルは、
「コロナ禍が示す国民の行動様式」
コラムニストは一直さん。
2021年1~3月期の実質国内総生産(GDP)。
成長率は年率換算でマイナス5.1%。
米国の6.4%とは対照的である。
昨年1年間の成長率も、
日本がマイナス4.7%、
米国はマイナス3.5%。
日本の落ち込みが激しかった。
国際通貨基金(IMF)の4月の世界経済見通し。
日本の成長率は3.3%、米国は6.4%。
日本経済の復元力は弱い。
半面、新型コロナによる死亡者数は、
日本は4月末に1万人を超えた。
しかし米国は足元で59万人、
イタリアやフランスは10万人以上。
「日本は人的被害に比べて、
経済的損失があまりにも大きい」
原因は何か。
コラムニストの推測。
「基本的にはリスク回避的な日本人の
行動特性から説明できるのではないか」
行動経済学や社会心理学の分野に、
面白い実験がある。
「独裁者ゲーム」
「2人でペアを組み、
そのペアは主催者からお金をもらう。
1人はお金を”分ける”役割、
もう1人は”分けてもらう”役割を分担する」
故山岸俊男北海道大学名誉教授。
2018年に70歳で亡くなった社会心理学者。
日本人の性向を分析するが、
「分けてもらう」役を選ぶ人が多いという。
分けることには責任が伴う。
日本人はそれを嫌う傾向が強い。
「自立心をもって
自己責任で行動することが苦手で、
用心深く自己防衛的」
「最初の緊急事態宣言が出た昨年4月以降、
欧米のロックダウン(都市封鎖)のような
強制措置がなくても
日本国民は町から姿を消した」
他国に比べて人的被害が少ないのに
経済的損失が大きい理由は、
「ここにあるような気がする」
「広く社会的、公共的な課題より
目先の自分の問題に目が行き、
長期的で戦略的な発想に乏しい」
困ったことだ。
「新型コロナワクチンの開発の遅れや
接種体制の不備の根本原因は
ここにあるのではないか」
政治ばかりの責任ではない、と、
コラムニストは暗に言っている。
「今回のコロナ禍は、
政策決定や長期戦略に向けた
企画立案のありかたを考えるには、
日本人の行動原理への理解が
不可欠であることを教えてくれている」
日本人のポイント好きにも、
それは表れている。
行動原理や統計心理学。
鈴木敏文さんが言い続けたこと。
セブン&アイ・ホールディングス前会長。
ニューノーマルや新常態といっても、
日本人全体の行動原理が、
社会的・公共的でなく、
長期的・戦略的でないとしたら、
それを商売に適応させることも、
ある程度は必要だ。
ただし経営者やリーダーは、
この日本人の行動傾向から離れたところに、
自分を置かねばならない。
そしてそれができる限り、
競争優位に立てるということになる。
〈結城義晴〉