うれしいことがあった。
第1に1日で1万2848歩、歩いた。
ゴルフ以外ラウンドをするとき、
アメリカや日本の店舗視察をするとき、
それ以外にはない。
朝、東京・小平の第一屋製パン㈱へ。
毎月の取締役会。
このところはずっと、
オンライン方式で参加していたが、
モデルナのワクチンも接種したし、
東横線・南武線・武蔵野線を乗り継いで、
小平の本社を訪れた。
そして発言した。
それから横浜にもどって、
皮膚科へ。
尾骶骨の褥瘡(じょくそう)になった。
いわゆる床ずれ。
座るときの姿勢が悪い。
深く腰掛けねばいけない。
年を取るとこの症状が出やすい。
それを診察、治療してもらった。
こちらは軽傷だ。
さらに今度は東京駅へ。
東京オリンピック開催まで31日。
1カ月となった。
皇居側の景色。
10分ほど歩いて大手町プレイスタワー。
このビルの大手町プレイス内科。
血液検査をして、その結果が出た。
これが第2の良かったこと。
ヘモグロビン(H)A1cは6.6%まで下がった。
これは赤血球の中にあるヘモグロビンに、
ブドウ糖が結合した割合。
日常的に血糖値が高い人は、
HbA1c値が高くなる。
この基準値は4.6~6.2とされる。
ただし「高齢者は6.2では低すぎます」と、
私の主治医の田嶼尚子先生。
理想は6.4から6.5だが、
このところ7を超えていたので、
すごくいい結果がでたことになる。
中性脂肪は154。
こちらの基準値は50~150。
1カ月の努力の結晶がこの数値だ。
病院巡りをすること自体が、
運動となって体調がよくなる。
不思議な現象ではある。
このところ私の機運は、
上り調子だ。
さて毎日新聞の巻頭コラム、
「余禄」
諫言(かんげん)がテーマ。
君主の非を臣下がいさめること。
社長の非、上司の非などを、
勇気をもっていさめるのも諫言だ。
孔子曰く、「諫に五あり」
一、正面からいさめるのが「正諫(せいかん)」
二、いったんは君主に従った上での諫言は「降諫(こうかん)」
三、真心をもっていさめるのが「忠諫(ちゅうかん)」
四、愚直にいさめるのが「戇諫(とうかん)」
五、遠回しになされるのが「諷諫(ふうかん)」
いずれもその場その場、
ケースバイケースで使い分ける。
コラム。
「君主の機嫌次第で命も奪われる諫言だから、
いさめる方も正面作戦だけではなく、
迂回(うかい)作戦やからめ手からの攻め、
泣き落としなどあの手この手を用いたようだ」
そして毎日新聞だけに、
「こちらの方の“諫言”――」
「無観客が望ましい」
五輪の専門家の提言は、
受け入れられなかった。
「当初予想された五輪中止の提言を避け、
首相の主要国首脳への五輪開催公約をふまえての
“降諫”もむなしかった」
「五輪の観客上限を定める組織委や政府、
国際オリンピック委(IOC)などの5者協議は
“定員の50%で、最大1万人”との
政府の国内基準に準じる方針を決めた」
「”1万人”基準と五輪とは別という
専門家への約束もほごとなった」
つまり専門家の諫言は通じなかった。
「たださすがにまん延防止等重点措置や
緊急事態宣言が再発令された時など、
感染状況次第で”無観客”も検討する」
コラムは怒りつつ指摘する。
「こちらは専門家が示したような
リスク評価にもとづく措置ではなく、
すべては成り行き次第ということらしい」
成り行き任せ、ご都合主義。
「開会式では1万人の観客に加え、
スポンサー枠などで
関係者の入場も多数見込まれる」
丸川珠代五輪担当大臣が、
「ステークホルダー」という言葉を使った。
“stakeholder”は「利害関係者」のことで、
もともとは「競馬の馬主の集まり」を意味する。
「馬主」が悪いわけではないが、
この場合、適切な言葉ではないだろう。
いや的確過ぎて露骨だ。
「五輪は金で動いている」と言ったのだから。
そうすると、
アスリートたちは馬ということになる。
金で動く五輪は、
「公衆衛生上のリスクなど
超越した特別枠か」とコラム。
「五輪の実相を次々に浮き彫りにする
専門知による諫言である」
会社でも組織でも、
諫言は極めて重要だ。
しかしその前に、
コミュニケーションが取れた組織では、
「降諫」や「戇諫」「諷諫」は必要ない。
とくに「諷諫」を繰り返していると、
組織は腐っていく。
「正諫」と「忠諫」でよろしい。
尾身茂先生をはじめ専門家たちも、
「諷諫」や「降諫」だった。
それが最後には「正諫」「忠諫」となり、
「戇諫」となった。
しかし初めから、
ステークホルダーありきでは、
諫言は聞き入れられない。
こちらの案件は残念ながら、
上り調子ではない。
〈結城義晴〉