定宿はシェラトン都ホテル大阪。
部屋のデスクが気に入っている。
仕事しやすい。
朝、そのシェラトンからタクシーで、
東大阪の㈱万代本社へ。
帰りもタクシーで新大阪へ。
それからグリーン車で帰ってくる。
三密を徹底して避ける。
会議棟が私たちの校舎。
万代知識商人大学第6期。
スーパーマーケット業界最初の企業内大学。
今月のテーマは、
フィナンシャルマネジメント。
両サイドの扉を開けて換気し、
十分にソーシャルディスタンスを取る。
司会進行は津田睦さん。
万代人事部マネジャーで、
万代大学第1期生の級長。
この講義の冒頭はいつも、
「数字は好きですか?」
あなたは数字が好きですか。
実は私は大好きなのです。
数字の向う側の世界を、
数字を通して垣間見る。
そして前向きに、肯定的に、
モノを考える。
数字に媒介してもらうことによって、
雑念やしがらみや怨念が消える。
ゲーム感覚で、むしろ純粋な気分で、
状況が見えてくる。
数字はそういった浄化の機能を
持っているのです。
想像力を刺激する要素を
そなえているのです。
ただし、数字で人を
縛ってはいけません。
せっかくの浄化作用や想像の力が、
いっぺんにかき消されてしまいます。
いちじく
にんじん
さんしょに
しいたけ
ごぼうに
むくろじゅ
ななくさ
はつたけ
きゅうりに
とうがん
数字と商品を素直に結びつけて、
商業ビジネスにかかわる私たちは、
毎日、毎日、
夢を追いつづけています。
数字は清くて、正しくて、美しくて、
しかしも現実的です。
数字と商品を愛でることこそ、
私たちの仕事なのです。
さあ、あなたは
数字が好きになりましたか。
私と同じように
大好きになりましたか。
〈結城義晴著『Message』より〉
それから「簿記と会計と財務の違い」。
「伊藤雅俊と岡田卓也」。
お二人ともフィナンシャルマネジメントを、
本当に重視した経営者だ。
次の講師は田縁(たぶち)仁平取締役。
財務経理・秘書・品質管理部門担当。
田縁さんの時間は120分。
社内の決算書や他社のデータを比べて、
実にわかりやすい講義だった。
田縁さんは三井住友銀行出身。
現在は万代に転籍して取締役。
だから銀行でたたき込まれた財務の見方を、
徹底的に教育してくれた。
たとえば、
「PLは下から見よ!」
損益計算書は、
一番上の売上高からではなく、
一番下の純利益から見ていく。
そうすれば損益がよく理解できる。
豊富な資料を提示して、
万代のフィナンシャルの現実を、
的確に示してくれた。
田縁さんの講義のあとは、
結城義晴の1時間。
損益計算書と貸借対照表の、
基本的な意味と関係性と、
その両者の構造を、
私独自の解釈で明らかにしていく。
さらに「実地棚卸し」に関しての講義。
私はとても重要だと考えている。
ランチは、
いつも万代渋川店で購入。
一丁目一番地は、
農産部門の「徳用フェア」
桃がきれいに並ぶ。
水産部門は鮮度が命。
今日の売りの一つは、
「真鯛お造り用」
そして惣菜部門。
よりどり1パック580円。
ボリュームがあって旨い。
ランチが終わると、
また結城義晴の講義2時間。
スーパーマーケットの計数の、
カギを握るエッセンスを解説し、
上場企業の決算を分析していく。
それでも脱線が多くて、
あっという間に時間は過ぎた。
そして三人目の講師は、
小宮秀友さん。
万代八尾曙川店店長。
「フラッグショップ店長」の位置づけ。
小宮さんも万代大学第3期生。
「店長は店舗経営者」というスタンスで、
「数字を変えよう!」と呼び掛けた。
万代の店長が実際に使う計数をもとに、
そのなかでいかに実績の改善をするか、
いかに成果を上げるか。
自分の経験をもとに、
丁寧に、詳細に、講義してくれた。
小宮さんとツーショット。
阿部秀行社長も聴講していて、
小宮さんの講義をほめてくれた。
最後にまた結城義晴の講義。
フィナンシャルマネジメントを総括し、
シンプルな経営の在り方を提言した。
最後の最後はデジタル情報革命。
やがてフィナンシャルは、
デジタルにとってかわられる。
しかしAI(人工知能)ができないことを、
知っておかねばならない。
そして人間らしさによって、
意思決定しなければならない。
AIにできないことは8つある。
指折り数えながら講義した。
AIにないもの。
⑴意思がない
⑵人間のように知覚できない
⑶事例が少ないと対応できない
⑷問いを生み出せない
⑸枠組みのデザインができない
⑹閃きがない
⑺常識的判断ができない
⑻人を動かす力・リーダーシップがない
「常識的判断ができない」というのが、
実にユーモラスだ。
そして「小売りの神は細部に宿る」。
Retail is Detail.
その仕事を数字が後押ししてくれる。
講義が終わると一同礼。
ご清聴を感謝したい。
最後の最後は、
阿部秀行社長の講話。
6期生全員が集中して聴く。
1日の講義を短く総括し、
いちばん重要なことを1点、
絞り込んで講話してくれる。
これが実にいい。
その阿部さんと並んで写真。
長い長い「計数」の講義。
終わってホッとした。
商人は数字が好きでなければいけない。
数字が応援してくれるまで、
数字になじまねばならない。
そして数字に縛られてはいけない。
数字が難しい、面倒だと逃げると、
逆に数字に縛られてしまう。
これでは本末転倒だ。
あなたは数字が好きですか?
〈結城義晴〉