結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年09月14日(火曜日)

ヤオコーと㈱せんどう(千葉県・25店・490億円)の資本業務提携

商人舎流通スーパーニュース。
商人舎流通スーパーニュース。
ヤオコーnews|
千葉県のスーパーマーケット「せんどう」と資本業務提携

㈱ヤオコーが資本・業務提携を発表。
相手は千葉県の㈱せんどう。

せんどうは千葉県市原市を中心に、
25店舗でドミナントエリアを形成。
スーパーマーケットが24店舗、
ドラッグストアが1店舗。

ヤオコーのニュースリリースには、
「少子高齢化、Eコマースの脅威など、
食品スーパーマーケット業界を取り巻く
事業環境がますます厳しくなることが
想定されます」と書かれている。

「両社は、
スーパーマーケットの事業を通じて、
“地域のお客さまの食生活を
より豊かにしたい”という
経営が目指す方向性が
合致していることから、
互いに切磋琢磨して、
さらなる成長を目指すことを決断し、
資本・業務提携を行うことにしました」

とくに、せんどうにとっては、
これから競争も厳しくなる。

せんどうの2021年3月期。
売上高489億9200万円(前年比5.4%増)、
営業利益18億6300万円(108.4%増)、
経常利益20億1000万円(64.3%増)、
純利益15億0100万円(53.0%増)。

コロナ特需もあって、
増収大幅増益。

せんどう経営陣は、
いい判断をしたと思う。

ヤオコーはせんどうの株式8636株、
43.18%を譲り受ける。
そしてせんどうは、
ヤオコーの持分法適用会社となる予定。

取得価額は非開示だが、
年商500億円に届きそうな会社で、
増収増益。

ヤオコーもきちんと評価したに違いない。

幹部や社員、従業員も、
ヤオコーのグループに入ることに、
ほとんど抵抗はないだろうと思う。

ヤオコーは株式を取得した後、
業務提携の具体的な内容を検討していくが、
すでに深澤雄輔経営企画室長が、
せんどうに出向する人事が発表されている。

このことからもヤオコーの本気度が伝わる。

例によって、
【結城義晴の述懐】を書いた。

せんどうは日本セルコグループに加盟。
千葉県のリーダー企業だ。

㈱千葉セルコの有力メンバーでもあって、
私も何度か訪れたことがある。
故杉山昭次郎先生が指導していたからだ。
杉山昭次郎(著者近影)
典型的な地場スーパーマーケットだが、
とにかくみんな、一所懸命に仕事する。
そして生鮮食品の鮮度を生命線とする。

最近も、月刊商人舎2020年8月号で、
せんどうをちょっとだけ取り上げている。商人舎202008号
[クリニック&徹底議論]
食を核に業態地殻変動が起こった!!
月刊商人舎2020年8月号

[亀谷しづえ]お客も多くて、
健闘していたと思いますが、
ローカルスーパーマーケットの
せんどう長沼店はどうでしたか。

[鈴木國朗]地域密着の品揃えで、
温かみのある店舗でした。

[結城]「せんどうもやし」など
オリジナル商品も数多くあって、
地元に支持されているのがわかりました。
ワンズモールのすぐそばの店ですから、
ロピアが出店する際には
リニューアルして対抗したのだと思います。
大事なことはロピアのような
競合店が出店したときに、
どう対処するかということです。
対抗手段としてロピアの真似をするのか、
ロピアとの違いを出すのか。
せんどうは一部メガ盛り風の
商品化をしていました。
あまりロピアに影響を受けない方が
いいでしょうね。

[鈴木]ゴンドラアイルのカテゴリーサインは
大きい文字で、お年寄りに優しい店でした。

[結城]地域密着で長い間、
親しまれてきた店でしょうから、
ぜひせんどうには頑張ってほしいですね――。

これからのせんどうは、
違いを出すときには、
ヤオコーの政策を採用することになる。

それはポジショニングの獲得を意味する。

発刊したばかりの月刊商人舎9月号。
月刊商人舎9月号表紙

緊急の「流通時評」を書いた。
そのタイトルは、
「コロナは経営統合を早める」

私は予言者ではないし、
それを目指しもしない。
しかし最近はピタリ、ピタリ。

せんどうは490億円の売上高規模を、
千葉県中央部に集中している。

ヤオコーの千葉ドミナント強化には
うってつけの資本業務提携相手だ。

いいM&Aだが、これがさらに、
全国の食品スーパーマーケットの
経営統合を早めることになる。

この記事の中には、
岡田元也イオン㈱会長の発言がある。
㈱フジとの経営統合記者会見で語った。
IMG_64991
しかし紙数の関係で、
割愛した箇所がある。

それを再現しておこう。

[岡田]「小売業の全体的な規模感は
スーパーマーケットを除いて、
すでに相当変わってきています」

「専門店にしても、
ドラッグストアにしても、
あるいは100均ストアにしても、
いろいろなほかの業種業態が大企業化し、
集約化・寡占化が進んでいます」

「スーパーマーケットは
まだそうではありません」

私は15年も前に、
㈱商業界社長のころに書いた。
このブログにその原稿が残っている。

「スーパーマーケットは
ローカルチェーン天国だ」

[岡田]「スーパーマーケット以外で
大きくなった企業が今、
食品を扱うようになっていて、
スーパーマーケット業界にしてみると、
競合相手が非常に
大型化していることになります。
加えて、アマゾンや楽天など
オンラインストアがあります」

「しかし、これも急速に
変わっていくのではないか」

同感。

「現在では5000億円を超えるような
スーパーマーケットはまだ
数えるほどですが、
直近でもH2Oさんの話がありましたが、
これはコロナ後の対応と軌を一にして、
進むのではないかと見ています」

ヤオコーはその5000億級の一社だ。

つまり岡田さんが言いたいことは、
「コロナは
スーパーマーケットの経営統合を早める」

とてもいい資本業務提携だが、
いつものように、
せんどうの皆さんに言っておこう。

「商人の本籍地と現住所」
忘れないでほしい。
誇りをもってほしい。

本籍地せんどう、
現住所ヤオコーグループ。

頑張れ!

せんどうの幹部や店長、バイヤーもぜひ、
月刊商人舎を、読んでください。

〈結城義晴〉

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