結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年09月29日(水曜日)

自民党総裁選の岸田完勝と芳野連合女性会長誕生の「顔と魂」

自民党総裁選挙。
岸田文雄候補の圧勝。
岸田文雄
河野太郎候補は惨敗。
高市早苗候補は躍進。
野田聖子候補は存在感を示した。

かくて、自民党らしい決着のつき方で、
新総裁が決まった。

岸田候補が派閥の長を務める宏池会は、
池田勇人第58代総理が旗揚げし、
前尾繁三郎の前尾派、
大平正芳の大平派、
鈴木善幸の鈴木派、
宮澤喜一の宮澤派と続いた。

自民党の名門派閥だ。
いずれも正式名称は「宏池政策研究会」

その後、河野洋平の河野グループ、
加藤紘一の加藤派となって、
「加藤の乱」の後、分裂。
分裂後、堀内光雄の堀内派、
古賀誠の古賀派、
そして岸田文雄の岸田派という系譜だ。

このなかで池田勇人はもちろん、
大平正芳、鈴木善幸、宮澤喜一と、
4人の総理総裁を輩出している。
岸田文雄は5人目の総裁である。

池田勇人は「所得倍増計画」で有名。
大平正芳は哲学者のような政治家だった。

代々、政策面では保守を堅持し、
安全保障ではハト派だ。

その伝統は岸田総裁によって、
繋がれるのか。

どうなるかはわからないが、
決まったからには期待しよう。

ただし衆議院議員選挙が本番だ。

この本番では、
与野党の真剣な議論が望まれる。

できればコロナ禍のなか、
中道による挙国一致くらいの意気込みで、
日本の未来のグランドデザインを、
叩き合いながら描きなおしてもらいたい。

ドイツのごとき「大連立」もいい。
そうもいかないだろうが。

しかしここで、
国民の真意が示されねばならない。

ところで驚かされたのは、
連合だ。
「日本労働組合総連合会」

労働組合の名称はやたらと長い。
だからよく略称が使われる。

この連合の次期会長に、
芳野友子副会長が就任する。
初の女性会長、55歳。

連合の役員推薦委員会が、
芳野さんを会長に推薦すると発表。

10月の定期大会で正式に選出される。

「連合」は日本最大の労働組合である。
ナショナルセンターと呼ばれる全国中央組織だ。

1989年11月21日、紆余曲折を経て、
ナショナルセンターが大同団結。

日本労働組合総評議会の「総評」、
全日本労働総同盟の「同盟」。

総評は官公労と中小民間の組合。
同盟は大企業、中堅企業の組合。

日本の2大ナショナルセンターだった。

総評が政治的には旧社会党系、
同盟は旧民社党系を支援した。

この大連立を核に、
中立労働組合連絡会議の「中立労連」、
全国産業別労働組合連合(新産別)が合流。

日本の労働4団体が統一された。

初代会長は山岸章。
情報通信産業労働組合連合会会長。
二代会長はゼンセン同盟の芦田甚之助。
三代会長は鷲尾悦也鉄鋼労連会長。
四代は笹森清電力総連会長。
そして五代会長は高木剛UIゼンセン同盟会長。

高木剛さんは、
商人舎発足の会の発起人になってくれた。

小売流通や消費財の労組出身は、
芦田さんと高木さん。

第六代は古賀伸明電機連合会長。
第七代現会長は神津里季生基幹労連会長

この錚々たる歴代会長の後を、
ミシンメーカーのJUKI㈱の労組出身で、
しかも女性の芳野友子さんが担う。

産別は中小メーカー中心のJAM。
「ものづくり産業労働組合」と称する。

「性別を強調するべきではないが、
名実ともにジェンダー平等の歩みを進める」
役員推薦委員会のコメント。

芳野新会長は、
女性が抱える賃金や働く環境の課題に、
熱心に取り組んできた。

現在は連合傘下の旧総評系が立憲民主党を、
民間労組中心の旧同盟系は国民民主党を、
それぞれ支持している。

衆院選は神津現会長のもとで、
「大きなかたまり」をつくって、
野党の結集を目指す。

「中道」のコンセプトを見直すべきだ。

神津会長の次に控えて、
新しい時代をつくるのは、
芳野友子連合会長である。

男たちの画策であってもそれを利用しよう。

こちらにも期待したい。

自民党総裁選では、
初めて2人の女性候補者が出馬した。
高市早苗候補も野田聖子候補も、
残念ながら当選はできなかったが。

それでも、
コロナは時間を早める。

政界も労働界も、
素早く変わりつつある。

さて今日は朝一番で、
東京・御成門。

慈恵大学病院。
IMG_69851

昨2020年1月4日、
新外来棟と母子医療センターを、
リニューアルオープンした。
IMG_69901
今日は内視鏡の専門家・炭山和毅先生の診察。

待合ロビーには、
ディーン&デルーカが入っている。IMG_69841

その慈恵大学病院から歩いて7分。
11時15分に㈱True Dataへ。

越尾由紀執行役とツーショット。
IMG_69961

月刊商人舎10月号のディスカッション。IMG_69911

オンライン参加のメンバーもいて、
私はいい視点を発見した。
IMG_69941
メンバーは大半が女性。
消費マーケティングは女性が強い。

そのあと、午後1時から、
西友のオンライン記者会見。IMG_6997

プライベートブランドがリニューアル。
「みなさまのお墨付き」
そして西友のコンセプト体系。
IMG_69981

質疑応答には女性バイヤーも登場。IMG_7004

ありがとうございました。IMG_7008
まったく同じ時間に、
「てっちゃん」の無料ウェビナーがあった。
「ファイブマネジメントセミナー」。

申し込んでいたけれど、
視聴することができなかった。
申し訳なかったし、残念だった。

3時過ぎに横浜商人舎オフィスに戻って、
執筆、入稿。

今日の朝日新聞「折々のことば」
第2159回。

顔は、からだの魂である。
(ヴィトゲンシュタイン『反哲学的断章』から)
ヴィトゲンシュタイン

「顔は、魂の現(あら)われ、
心の表面ではなく、あくまで、
“からだの魂”なのだ」

ウィーン生まれの英国の哲学者。
名前からわかるようにユダヤ人。

編著者の鷲田清一さん。
「ときに口は腸の先端だと言われるように、
魂も臓腑(ぞうふ)の底から湧き上がってくる。
だから表情や言葉から”腹を探る”ともいう」

「その”腹”(=魂)は
本人ですらつかめない。
だから繕うなど、
たやすくできるものではない」

自民党総裁選でも、
それがよくわかった。

本人ですらつかめない。
だから繕うことなどできない。

顔は魂の現れである。

しかし内視鏡は臓腑をも見てしまう。

恐ろしや。

〈結城義晴〉

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