日本の紅葉。
松本隆文さんから、
メールでお送りいただいた。
㈱マツモト代表取締役会長。
40年前の藪下コントローラーゼミの同級生。
ありがとうございます。
なんと言っても金閣寺。
東福寺の回廊。
朝日が当たって美しい。
自然のグラデーション。
紅葉の間から、
集まる人々が見える。
最後はライトアップされた二条城。
NYのセントラルパークの紅葉もいい。
パリのブーローニュの森もいい。
けれど日本の京都に勝るものはない。
ありがとうございました。
これまで観光とはあまり縁がなかったけれど、
これからは少しゆっくりしたいものだ。
それにしても、
岸田文雄政権の経済対策。
新聞各紙の「社説」がそろって批判する。
読売新聞社説。
「経済対策55兆円
効果乏しいバラマキでは困る」
朝日新聞。
「経済対策 今なぜ過去最大なのか」
毎日新聞は社説では取り上げていないが、
中日新聞社説。
「経済対策決定
効果は行き渡るのか」
そして日本経済新聞社説。
「これが賢明な経済対策とは言い難い」
見出しは「中道」の日経が、
一番手厳しい。
経済新聞だから、
「経済対策」に対してはシビアだ。
「愚鈍な経済対策」と言っている。
その日経社説。
「財政支出で56兆円近く、
事業規模で79兆円近くに膨らんだ」
「大盤振る舞いがすぎるのではないか。
これが賢明な経済対策とは言い難い」
同感だ。
最大の柱は個人向けの支援。
「所得制限を設けたうえで、
18歳以下の子どもに1人あたり
10万円を配る」
安倍晋三政権では、
「国民1人一律10万円」を配った。
「安倍一強の空洞化」と批判された。
まったく馬鹿な政策だった。
今回も同じだ。
住民税が課税されない低所得層には、
1世帯あたり10万円を支給する。
マイナンバーカード保有者への
ポイント付与も盛り込んだ。
日経。
「日々の生活に困る低所得層への
配慮は欠かせない。
そのための給付金は
一刻も早く届けるべきだ」
これには同感。
「しかし子ども向けの給付金を
広く配る必要があるのか。
年収960万円の所得制限を設けても、
かなりの世帯に行き渡る」
これは全体の9割にあたる。
税金を集めておいて、
国民の多くに金を配る。
これはまったくの無駄だ。
金を使っても、
経済が拡大再生産されればいい。
ただ配って、貯蓄に回るのは、
愚策中の愚策である。
観光や外食の需要喚起策も再開。
「Go To キャンペーン」
〈官邸ホームページより。岸田首相は11月20日、観光関係者と車座対話をした〉
日経社説。
「首をかしげたくなる」
「行動制限の緩和で
自律的な回復が見込まれる消費まで、
政府が無理に支える必要はなかろう」
京都の紅葉には、
Go Toのキャンぺーンがなくとも、
多くの人が訪れる。
紅葉はその力を持っている。
岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」は、
成長と分配の好循環を目指す。
「だが今回の施策をみる限り、
安易なばらまきに傾いていると
いわざるを得ない」
2021年の日本経済は、
1~3月期と7~9月期の2度、
マイナス成長に沈んだ。
「大規模な財政出動に踏み切っても、
効果的な感染症対策や
医療体制の拡充につながらず、
緊急事態宣言を連発してきた結果だ」
日経が言う「肝心の景気刺激策」は、
「規模ばかりが膨らみ、
予算の使い残しや不適切な執行が相次ぐ」
そして怒る。
「国民の血税を無駄にするにも
ほどがある」
岸田文雄さん、
あなたのお金じゃない。
国民のお金です。
日経。
「岸田政権はもっと骨太の経済政策を
練り直すべきだ」
「何より足りないのは
成長戦略の踏み込みである」
「産業の新陳代謝」。
そして「労働者の移動を促す施策」。
それらを深掘りし、
技術革新や生産性の向上につなげる。
Message of September。
「新陳代謝せよ」
――「エントロピーの法則」
「物質とエネルギーは、
混沌と荒廃に向かってのみ変化していく」
でき上がった瞬間に陳腐化を始める。
コロナはこのエントロピーを早める。
だからドラッカーは教える。
自ら陳腐化せよ。
自ら新陳代謝せよ――。
日経社説。
「非効率な給付を排し、
グリーン化やデジタル化に資する事業に
集中投資してほしい」
なぞ、それができないのだろうか。
「分配戦略も小手先では困る。
保育士や介護職員、看護師らの
収入増や賃上げ促進の政策減税にとどまらず、
税制・社会保障改革も含めた
総合的な施策が必要だ」
宏池会の大先輩・故大平正芳総理なら、
どう考察し、どう行動しただろう。
深く考えぬリーダーを、
社会は必要としない。
〈結城義晴〉