慈恵大学病院に入院して4日目。
朝、血糖値の検査で目覚める。
そして窓の外を見ると、
東京タワー。
今日もいい天気。
昨日まで2日間絶食だった。
点滴で栄養を摂っていた。
しかし今日から食事が出る。
その朝食。
重湯と塩、
スープだけの味噌汁、
それにストロベリージュース。
不思議なもので、
これだけでも口から胃に入れると、
すぐに腸を通って便が出る。
汚い話で恐縮。
しかし自分の循環器が、
しっかり機能していることを確認できて、
満足感がある。
そのあとは持ってきた本に取り掛かる。
あっという間に昼がやって来て、
またタワーを見あげる。
ランチはこれ。
やはり重湯と塩、
コンソメスープ。
ぶどうのゼリー、
ヨーグルトドリンク。
1品増えた。
重湯には塩が必須だ。
その塩も味わう。
食事は生活のリズムをつくる。
やはり質素であっても、
食事は人間にとって欠かせないものだ。
食事が終わって、
また読書。
太陽がタワーにかかる。
14時37分。
曇り空が背景になると、
タワーの骨組みは、
きれいには透けて見えない。
15時ごろ看護師さんがやって来て、
点滴を外してくれた。
やっと、という感じだ。
点滴の装置をつけていると、
動きに制約がある。
シャワーも浴びられない。
少しずつすこしずつ、
当たり前の生活が戻ってくる。
今日、
月刊商人舎12月号が発刊された。
入院する前に責了してきた。
特集は、
Progressive Presentation
「陳列と演出の技術」はコロナ禍で進化した!!
あえて英語のタイトルにした。
この際、英単語も覚えてほしいから。
Progressiveは「進歩的な」という意味の形容詞。
Progressは「進歩」という名詞。
米国には業界一の専門誌がある。
「Progressive Grocer」。
イギリスには「Grocer」があって、
カナダには「Canadian Grocer」がある。
米国ではそのGrocerに、
Progressiveをつけている。
いずれもGrocerは食品小売業のこと。
Progressiveな陳列・演出。
Cover Message。
アメリカのチェーンストアを、
初めて訪れて感動したことは二つ。
店の大きさ、広さと、
「プレゼンテーション」の
シンプルさ、美しさである。
そして大きさ・広さと
シンプルさ・美しさが、
売れて、利益が上がることにも共感した。
中内㓛も伊藤雅俊も岡田卓也も、
北野祐次も。
この感動は老若男女例外なく、
誰にも共通している。
この店舗の演出と陳列のテクノロジーが、
新型コロナウイルス感染拡大のなかで、
日本でも明らかに進化した。
何故、どのように進化したのか。
コロナはどんな影響を与え、
プレゼンテーション・テクノロジーの
進化を早めたのか。
そしてそれはポストコロナの時代に、
どんな効果を発揮するのか。
「Progressive Presentation」を検証しよう。
その目次。
編集後記に書いたけれど、
1995年に食品商業別冊として、
『陳列と販促の強化書』を発刊した。
当時の鈴木邦雄著。
現在は國朗さん。
大ベストセラーとなった。
私が43歳の編集長のとき。
㈱万代ではそのころ、
山下和孝さんがこの別冊を教科書にして、
徹底的に現場教育をしていた。
山下さんは万代の副社長、副会長、
㈱万代リテールホールディングス社長を歴任。
この別冊号を何度も何度も読んで、
書き込みをし、マーカーを引いて、
自分で徹底的に勉強した。
私が書いた巻頭言も、
ご覧の通り。
その後で、全社員を徹底的に教育した。
それが現在の万代の血となり、肉となった。
私はその前に販売革新で、
やはり技術別冊を編集した。
『プレゼンテーション・テクニクス』
これは島田陽介著で、
ベストセラーだった。
その前は、
『インストアプロモーションのすべて』
すべて商業界のドル箱別冊だった。
鈴木さんの別冊はその後、
『陳列と演出の教科書』となり、
単行本では、
『陳列と演出ハンドブック』
新書では、
『陳列技術入門』となった。
それらをすべて総括して、
最新の技術雑誌にしたのが、
Progressive Presentation。
Progressiveには、
そんな意味が込められている。
だから今回は、
単品販売もしている。
申し込みは☞
店長やチーフはもちろん、
若い人にもおすすめです。
こんなことを書いているうちに、
夕方が訪れる。
部屋のなかは暖かい。
空気は澄んでいる。
そしてイルミネーション。
金曜日の夜の東京タワーです。
慈恵大学病院に入院してよかった。
雑誌もしっかり読んで、
学んでください。
ありがとう。
〈結城義晴〉