スマートフォンの津波警報が、
何度もなんども鳴った。
トンガ沖海底火山が噴火。
世界標準時1月15日午前。
それが日本列島の太平洋沿岸にも、
津波となって押し寄せた。
火山名は、
「フンガトンガ・フンガハーパイ」
噴煙は上空1万6000mを超え、
専門家は「100年に1度の規模」と評した。
首都ヌクアロファでは、
海岸に津波が到達し、道路や建物が浸水。
トンガ王国は約170の島から成る。
人口は約10万7000人。
トンガ沖海底火山の大噴火は、
太平洋岸のアジア、オセアニア、
そしてアメリカ大陸まで、
津波と言う形で影響を及ぼした。
しかし神奈川県の度重なる津波注意報は、
実は誤送信だった。
原因は委託業者の設定作業ミスだった。
それを黒岩祐治神奈川県知事が、
Twitterで何度も謝罪した。
それにしても、
100年に一度の感染症のパンデミック。
100年に一度の海底火山の噴火。
何ごとも過剰な反応は避けるべきだが、
その一方で忘れてはならないのが、
リスクマネジメントだ。
すなわち最悪を覚悟して、
最善を尽くす。
今日は朝から東京・自由が丘。
東急東横線の急行で15分。
いつもの花屋はまだ開店していない。
1時間後、店は開いていた。
小ざっぱりした店頭。
今日の目玉はこれ。
花屋さん、パン屋さん、
豆腐屋さん、牛乳屋さん。
朝の早い商売。
もちろんコンビニエンスストアも、
スーパーマーケットも、
ドラッグストアも、
小売業、サービス業も。
そこには狩猟的な活動よりも、
農耕的な営みがある。
私はそれが大好きだ。
さて日曜日の倉本長治。
「倉本長治 商訓五十抄」から。
第2弾のサブタイトルは、
「損得より先に善悪を考えよう」
当時の商業界主幹・倉本初夫編。
商業界全国連合同友会監修。
2004年2月17日、
発行所は株式会社商業界。
発行人は結城義晴。
500円+税で販売したが、
この冊子もよく売れた。
そのなかの一文。
「厳冬に想う」
「諸君のうちには、
営業の成績は
別に悪化していないのにもかかわらず
不運な経営を続けた人々も、
多々あったことであろう。」
マイケル・ポーターのファイブフォース。
5つの外的競争要因をあげる。
⑴新規参入の脅威
(2)供給業者の変化
(3)顧客の変化
(4)代替するものによる間接競合
(5)競合企業による直接競合
不運はこれら5つの競争要因の、
いずれかを原因としている。
一方、J・バーニーは内部環境を分析する。
内部環境にも不運の源は存在する。
「不健康な人の苦痛は、
病気の味を知った人でないと判らないように、
事業上の苦労もまた、事実、
その立場を嘗めたことのある者でなければ、
真の同情は持ち得ないのであろうと察するが、
実は、逞しく且つ立派な商人というものは、
難関を幾つも幾つも通過してはじめて
鍛え上げられるのだと信じたい。」
私にも何度か訪れた。
しかしそれがあったから、
今の私がある。
そう、思う。
それをもたらした対象を、自分自身を、
許せないと考えていたときもある。
しかしいまは、
それらの試練が、
新しい自分をつくってくれたのだと、
考えている。
「不幸な事態は、
諸君を立派な商人として
育てようとする試練であった、
自然が自分を訓練していたのだ、
こうして自分は
幸福な商人となることができるのだ
――という実感が歯を食いしばって、
苦痛に耐えつつも、
その間に、次第に蓄積され、
そして、やがてそれが沈殿し、
発酵するようになった時、
諸君は、世の中の一切が、
自分を守護し、
育成してくれているのだという事を、
心から自覚するに相違ない。」
苦痛に耐えることによって、
試練は蓄積され、
沈殿し、発酵する。
「そのことは、
厳冬の冬の厳しさに耐えている
木や草の持っている何かと
まったく同じことなのである。」
倉本長治はたびたび、
試練や艱難の重要性を語る。
それは仕事をするうえで、
商売をするうえで、
あるいは経営をするうえで、
試練や艱難が頻発しているからである。
仕事や商売や経営は、
試練や艱難そのものである。
100年に一度の感染症も、
100年に一度の海底噴火も、
人類に対する試練である。
厳冬に耐える草木が持つ「何か」。
それは試練や艱難に耐える経験からしか、
わからないものかもしれない。
〈結城義晴〉