「感染者の数、
数えてばかり」
パオロ・ジョルダーノが言う通り。
その著作『コロナの時代の僕ら』。
1982年生まれのイタリア人気作家。
第六波のオミクロン株。
日本全国の新規陽性判明者は、
5万4576人。
東京は1万人を超えて、1万1227人。
大阪も7375人。
朝日新聞のコラム「経済気象台」
タイトルは、
「事業継続計画の策定」
コラムニストは経営者の喜菓さん。
菓子メーカーのトップかもしれない。
「今回のオミクロン株は
感染力は高いが重症化率は低いため、
以前に比べ人々の危機感は
薄れているようである」
「個人として捉えれば
その通りなのであろうが、
組織として捉えると
見える景色は全く異なる」
同感だ。
「社会インフラの維持はもちろんのこと、
企業経営の観点からしても
人員不足により事業の継続が
難しくなる可能性は膨れ上がっている」
そこで経団連が会員企業に呼び掛けた。
社会経済活動を継続できるよう、
事業継続計画(BCP)を点検せよ。
小池百合子東京都知事も、
1割を超える従業員が欠勤した場合を
想定するようにと要請した。
喜菓さん。
「急に1割減にて継続すべく
準備するようにというのであるから
むちゃな話である」
みなさんの店や会社を考えれば、
わかるだろう。
「どうしたものかと思案に暮れつつ、
東京都が公開している
BCP対応チェックリストをのぞいてみる」
「優先業務の洗い出し」
「OB・OG等への声掛けなど応援要員の確保」
いろいろと手順が紹介されていた。
「具体的な事例を目にすると
不思議なことに
自社に応じた様々な考えが
浮かび始めるものである」
最後に提案。
「今こそ各企業は、
机上の空論ではない、
現実味のあるBCP策定に取り組む
絶好の機会なのではないだろうか」
ビジネス・コンティニュイティ・プラン。
ウォルマートやイオンは、
もう立派なプランを持って、
実際に活動している。
中小企業だけでなく、
中堅企業にも必要だ。
日経新聞に「外食二重苦」の記事。
一つは「まん延防止で客足減」、
もう一つは「感染広がりで人手不足」。
個人として見れば、
オミクロン株はインフルエンザや風邪と、
あまり変わらないかもしれないが、
組織として見れば、
飲食店をはじめとして、
客数減と人手不足が深刻化する。
つまりお客という人と、
働いてくれる人の問題。
サービス業も小売業も、
人間産業であるからこそ、
新型コロナ第六波に戦々恐々とする。
ロボットやAIに置き換えることはできない。
そのことに対する決定的な解決策は、
残念ながら、ない。
しかしそれが去ったら、
人間産業の人間産業らしさを、
謳歌することができる。
月刊商人舎2018年1月号。
特集は「2018真の人間産業へ」
この新年号の[Message of January]は、
高らかに宣言する。
人間の、
人間による、
人間のための産業。
それが小売流通サービス業だ。
そしてこの号の巻頭で私は、
「真の人間産業構築を決意する」と題して、
特集の「まえがき」を書いた。
そのまえがきの最後の文章は、
『あしあと』という本からの引用だ。
イオン名誉顧問の小嶋千鶴子さんの著書。
「人事は人間を知ることから始まる。
人間を知ることは
人間を愛することから始まる」
「愛することは理解することである。
よりよく知ることである」
「個々人は個々に違う。
違うことを知ることである」
「一人一人について、
過去どのように生きてきたかを知り、
今後どのように生きていきたいか
という希望を知り、
今どうしているかを知り、
目標をもたせることである」
そして小嶋さんは言い切る。
「人事担当者は知ることから始める。
そのためには、聞くことから始める。
注意深く見ることから始める。
基本は、愛情である」
凄い。
人事担当者だけではない。
経営者も部長も店長も。
結城義晴のまえがきの最後の文。
「人間の、人間による、
人間のための産業は、
ここから始まる。
すなわち一人ひとりを注意深く
見、聞き、知ることから始まる」
「真の人間産業の基本は、
愛情である」
いま、第六波最高潮のとき、
最も必要なものは愛情である。
〈結城義晴〉