一月、往ぬる、
二月、逃げる。
その2月に入った。
私たちの㈱商人舎は、
今日から15年目に入った。
15周年だ。
「無私と利他」を掲げてスタートしたが、
それは貫くことができたと思う。
すべての皆さんに、
感謝したい。
石原慎太郎さんが、
亡くなった。
89歳。
作家でありながら、
政治家となった。
一橋大学の学生のころ、
『太陽の季節』で芥川賞を受賞。
人気作家となって、
以後、華々しい活躍をした。
先日、島田陽介先生と話したら、
あの頃の文学青年はみんな、
石原ができたのならば自分も、と、
小説を書くことに励んだという。
島田陽介も早稲田の文学青年だった。
石原にとって作家は、
世に出るための手段だった。
挙句、政治家になった。
ただし石原は両者のあり方に、
どう整合性をつけたのだろう。
それは上手くはいきにくいはずで、
実際、作家としては、
最高の域には達しなかったと思う。
政治家がモノを書いて、
優れた作品になることはある。
ユリウス・カエサルがそれだ。
経営者が作家を兼ねて、
これも秀作を残すことがある。
辻井喬こと堤清二だ。
しかし作家として世に出て、
政治家として世に尽くすことができるのか。
作家は自己完結させることができるが、
政治家は自分だけでは完結しないからだ。
注目される点では、
ひどく似ているようで、
全然似ていないのが、
作家と政治家だと思う。
若くして作家としての脚光を浴びた者は、
政治家としても脚光を浴びることに、
快感を覚えてしまう場面が多くて、
それは国民や都民への貢献とは、
必ずしも直結しない。
それでも必死に生き抜いた89年。
自分に忠実であったことは確かだろう。
ご冥福を祈ろう。
今日は東京・六本木。
テレビ東京。
「SURVIVE2030」
テレビ東京のYouTubeチャンネルで、
隔週火曜日に配信されるトーク番組。
司会は入山章栄さん。
早稲田大学大学院経営管理研究科教授。
ワールドビジネスサテライトの、
コメンテーターなどで活躍中。
昨日、このブログで紹介した本。
『両利きの経営』の翻訳者の一人で、
著書は『世界標準の経営理論』が、
ベストセラーになっている。
パネラーは山本慎一郎さんと、
齋藤宏さん、結城義晴。
山本さんは㈱カスミ代表取締役社長。
齊藤さんはコニカミノルタマーケティングサービス㈱執行役員。
ショッパーデータプラットフォーム担当。
午後2時から簡単なリハーサルをして、
それからスタジオ入り。
緑色の幕の前に椅子が4脚。
一人ずつマイクをつけてもらう。
私も背広の襟にマイクをつける。
4台のカメラが一人ずつを捉える。
ディレクターが司会と打ち合わせ。
テーマは「最前線から考える小売りのDX推進」
45分ほどのセッションで、
山本さんは滔々と持論を語った。
私は存分に楽しんだ。
コロナによって時間が早まること。
DXは「技術の問題ではなく、
経営イシューの問題」であること。
オンラインvsオフラインにしてはならず、
ネットとリアルが融合すべきこと。
アマゾンとウォルマートのこと。
DXはそれに貢献すること。
最後には「禁欲円と享楽円」の話をした。
終わってから記念写真。
3月21日に配信されるらしい。
楽しみにしてください。
さて最後に 日経新聞一面トップ。
「セブン、そごう・西武売却へ」
商人舎流通スーパーニュース。
セブン&アイnews|
百貨店「そごう・西武」売却を検討/コンビニ事業に集中か
セブン&アイ・ホールディングスは、
未発表だから日経のスクープだろう。
だから一面トップに持ってきた。
つまり誰かが喋ったということだ。
売却先は最終的には決まっていないが、
2月中に価格などの条件交渉に入る。
2000億円以上の売値を想定している。
2006年にミレニアムリテイリングから、
現金と株式交換で2000億円超で子会社化した。
だから2000億円超では売りたいだろう。
そごうと西武百貨店が統合して、
最盛期の2007年には28店舗となった。
私はそのずっと前から、
百貨店は全国で120店まで、
半減していくと書いていた。
もっと減るだろう。
そごう・西武は現在10店舗。
セブン&アイは、
コンビニと銀行事業の会社になり始めている。
もちろんヨークベニマルは、
スーパーマーケットとして、
依然、エクセレントカンパニーだ。
しかしそれ以外は、
失礼ながらイトーヨーカ堂も苦戦が続く。
とりわけ百貨店事業は赤字の垂れ流し。
売却も、さもありなん。
驚くことではない。
一つだけはっきりさせておかねばならないのは、
これはマネジメントの問題に起因するということだ。
「そごう・西武」と中黒のついた社名は、
いまだ融合がなされていないことを示す。
三越伊勢丹ですら、
中黒はついていない。
それが16年を経ていまだにできていない。
百貨店業態そのものが低調で、
業態地殻変動の波に揉まれている。
世界的な傾向だ。
しかし百貨店のすべてが、
社会の中で機能しなくなるのではない。
店舗数が過多な業態なのだ。
イギリスのハロッズは、
たった1店だが、
世界に冠たる百貨店だ。
そごうも西武百貨店も、
それを目指すべきだ。
ネットの社会へと変貌するなかで、
新たにつくることのできないブランドは、
これからさらに輝き始める。
西武には堤清二以来のファンもいる。
そごうと西武百貨店。
もったいない。
私は業態を否定しない。
業態のなかでポジショニングを確立し、
他にないフォーマットを構築すれば、
十分に社会貢献できる。
収益も戻ってくる。
西武百貨店のない池袋は考えられない。
高島屋だけでそごうのない横浜は、
横浜ではない。
百貨店事業を丹念に改革する経営力と胆力が、
セブン&アイから喪失された。
それがこの問題の根本にある。
もちろん世界企業の軌道を進むには、
売却したほうが手っ取り早い。
それも間違いではない。
〈結城義晴〉