結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年02月16日(水曜日)

カスミ「BLANDE」研究学園店プレオープンと「不可逆性の原理」

朝から㈱True Dataの取締役会。

マザーズに株式上場してから、
役員会を頻繁に開催する。

確認すること、
承認すること。
それが極めて多くなる。

会社がどんどん動いている。
生まれたばかりの赤ん坊が、
見る見る成長していくように。

株式公開はそのあとが大事だ。
上場してからの成長。

役員、執行役員、社員。
一丸となってそれを目指す。

私がいつも強調するのは、
半ば公的な存在となること。

「パブリック」という言葉をよく使う。

True Dataは、
流通産業と消費産業のなかで、
そんな公的な機能を果たすことができる。

だからこそ、これからだ。

今日は、その役員会の最中に、
カスミBLANDE研究学園店のプレオープン。

カスミnews|
食に特化した新フォーマット「BLANDE研究学園店」2/17開設IMG_11992

その朝礼。
IMG_08792

Food Specialty Storeとして、
食に特化した新フォーマットだ。
IMG_11082
フォーマットは、
「業態」が分化した独自の店舗スタイル。
これは田村正紀神戸大学名誉教授の考え方。

たとえばウォルマートの主力業態は、
欧米の学会用語の「ハイパーマーケット」だ。

サム・ウォルトン存命の1987年、
そのハイパーマーケットに挑戦して、
「ハイパーマートUSA」を実験した。
フランスのカルフールを模倣したフォーマットだ。

そして翌1988年に大幅な修正を加えて、
「スーパーセンター」というバナーをつけて、
強力なフォーマットを開発した。

それが主力のフォーマットとなった。

その後、
ターゲットは「スーパーターゲット」を、
Kマートは「スーパーKマート」を、
それぞれにつくった。

だから「スーパーセンター」という「業態」は、
厳密に言えば存在しない。

カスミはスーパーマーケットの業態から、
「BLANDE」というフォーマットをつくって、
今、2店舗を展開する。

レギュラーのカスミとも、
フードスクエアとも、
FOOD OFFストッカーとも異なる。

カスミはマルチフォーマット戦略を採用する。

本格的な飲食スペース「Cafe & Dine」を併設。
IMG_08822
期待の持てるフォーマットだ。

ショートタイムショッピングも必要。
しかしロングタイムショッピングを、
提供する店があっていい。

とても難しいだろうけれど。

さて今日は午後、
スーパーマーケットトレードショーに行く予定だった。
幕張メッセで3日間の開催。

しかし急遽、
社内で突発的なことが起こって、
それを中止した。

明日、行くことになった。

夕方から東京の恵比寿。
駅を降りて歩いていたら、
おもしろいものを見つけた。
IMG_09092

近づくとマネキン。
IMG_09072

遠くから見ると人が座っているみたいだ。IMG_09082

恵比寿の焼き肉レストラン。
㈱ロピア代表取締役の高木勇輔さんと、
久しぶりの食事。
IMG_12132
優れものの焼肉と、
上質のワインを堪能。

近況や事業展開のことを、
ずいぶん話し込んだ。

焼き肉を散々食べて、
最後の締めはサンドイッチ。IMG_12142

これは絶品。
IMG_12182
ロピアは株式を公開していないし、
当面、する意志はない。

それでいい。

しかし上場企業と同じくらいの、
成長のスピードをもっている。

毎年15%ずつ伸びれば、
5年で2倍に成長する。

毎年20%ならば4年で2倍を超え、
9年で5倍になる。

毎年30%ならば3年で2倍を突破し、
9年で10倍となる。

「ムーアの法則」のように、
毎年2倍の成長をすれば、
10年で1024倍となる。

そんなことは口にしないが、
高木さんと話していて、
私は勝手に想像していた。

さて、日経新聞「真相深層」
編集委員の田中陽さんが書いている。
「大衆百貨店、運命の落日」

セブン&アイ・ホールディングスが、
2006年に2000億円超で買収した百貨店。
当時はミレニアムリテイリングと称したが、
いま、そごう・西武。

セブン&アイが売却する。

その理由を構造的に解明する。
的確な分析だ。

詳細は日経新聞を読んでいただきたいが、
タイトルもいいし、
最後の言葉もいい。

「そごう・西武の売却へと至る決断時期を
コロナが早めたに違いない」

ありがとう。同感だ。

「百貨店やスーパーの業界では、
こんなジンクスがある」

「いちど日本一から転がり落ちた企業は、
二度と返り咲くことがない」

その通り。

これを「不可逆性」という。

日本一になること自体、
たいへんな偉業だが、
それを維持するのもすごいことだ。

世界一の小売業は、
長らくシアーズ・ローバックだった。

そのあとは1990年から、
ウォルマート。

そしてもうすぐアマゾンとなる。

シアーズは2018年10月15日、
連邦破産法11条を適用申請した。
〈その2018年10月16日の朝のシアーズ〉
??????????
ウォルマートはどうなっていくのだろうか。

[Message of February]
AがWを超えるごとく!

確かに時代は変わる。
コロナが時代を変える。
WからX、Y、Zと進んで、
再びAへと戻る。

AはZまでをも包含すると、
嘯(うそぶ)く。

アマゾン・コムは22%伸びて年商47兆円。
ウォルマートは56兆円から4%伸びるか。
このまま何もなければ来年度中に、
アマゾンがウォルマートを抜き去る。

その原動力は、
インターネットにある。
だからAは店舗をもたない。
商圏の制限もない。

品揃えも在庫も、
店舗への搬送も、
店舗での人員も、
必要としない。

だからAは、
Zまでも包含すると嘯く。

ネットスーパー・エイジが始まる。
コロナ禍の閉塞された生活が、
時代の歯車をギシリと回した。
そしてここに不可逆性の原理が横たわる。

しかし新しい地平においても、
店舗の優位性が減じることはないだろう。
店舗の存在価値がさらに問われるだけである。
そのポジショニングが練磨されるだけである。

そして磨かれた店々はますます輝く。
だからこそ店と売場を変えよう。
人を育てよう。
組織をつくりかえよう。

AがWを超えるときに、
AにもWにもできない店をつくろう。

 〈結城義晴〉

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