朝から㈱True Dataの取締役会。
マザーズに株式上場してから、
役員会を頻繁に開催する。
確認すること、
承認すること。
それが極めて多くなる。
会社がどんどん動いている。
生まれたばかりの赤ん坊が、
見る見る成長していくように。
株式公開はそのあとが大事だ。
上場してからの成長。
役員、執行役員、社員。
一丸となってそれを目指す。
私がいつも強調するのは、
半ば公的な存在となること。
「パブリック」という言葉をよく使う。
True Dataは、
流通産業と消費産業のなかで、
そんな公的な機能を果たすことができる。
だからこそ、これからだ。
今日は、その役員会の最中に、
カスミBLANDE研究学園店のプレオープン。
カスミnews|
食に特化した新フォーマット「BLANDE研究学園店」2/17開設
その朝礼。
Food Specialty Storeとして、
食に特化した新フォーマットだ。
フォーマットは、
「業態」が分化した独自の店舗スタイル。
これは田村正紀神戸大学名誉教授の考え方。
たとえばウォルマートの主力業態は、
欧米の学会用語の「ハイパーマーケット」だ。
サム・ウォルトン存命の1987年、
そのハイパーマーケットに挑戦して、
「ハイパーマートUSA」を実験した。
フランスのカルフールを模倣したフォーマットだ。
そして翌1988年に大幅な修正を加えて、
「スーパーセンター」というバナーをつけて、
強力なフォーマットを開発した。
それが主力のフォーマットとなった。
その後、
ターゲットは「スーパーターゲット」を、
Kマートは「スーパーKマート」を、
それぞれにつくった。
だから「スーパーセンター」という「業態」は、
厳密に言えば存在しない。
カスミはスーパーマーケットの業態から、
「BLANDE」というフォーマットをつくって、
今、2店舗を展開する。
レギュラーのカスミとも、
フードスクエアとも、
FOOD OFFストッカーとも異なる。
カスミはマルチフォーマット戦略を採用する。
本格的な飲食スペース「Cafe & Dine」を併設。
期待の持てるフォーマットだ。
ショートタイムショッピングも必要。
しかしロングタイムショッピングを、
提供する店があっていい。
とても難しいだろうけれど。
さて今日は午後、
スーパーマーケットトレードショーに行く予定だった。
幕張メッセで3日間の開催。
しかし急遽、
社内で突発的なことが起こって、
それを中止した。
明日、行くことになった。
夕方から東京の恵比寿。
駅を降りて歩いていたら、
おもしろいものを見つけた。
近づくとマネキン。
遠くから見ると人が座っているみたいだ。
恵比寿の焼き肉レストラン。
㈱ロピア代表取締役の高木勇輔さんと、
久しぶりの食事。
優れものの焼肉と、
上質のワインを堪能。
近況や事業展開のことを、
ずいぶん話し込んだ。
焼き肉を散々食べて、
最後の締めはサンドイッチ。
これは絶品。
ロピアは株式を公開していないし、
当面、する意志はない。
それでいい。
しかし上場企業と同じくらいの、
成長のスピードをもっている。
毎年15%ずつ伸びれば、
5年で2倍に成長する。
毎年20%ならば4年で2倍を超え、
9年で5倍になる。
毎年30%ならば3年で2倍を突破し、
9年で10倍となる。
「ムーアの法則」のように、
毎年2倍の成長をすれば、
10年で1024倍となる。
そんなことは口にしないが、
高木さんと話していて、
私は勝手に想像していた。
さて、日経新聞「真相深層」
編集委員の田中陽さんが書いている。
「大衆百貨店、運命の落日」
セブン&アイ・ホールディングスが、
2006年に2000億円超で買収した百貨店。
当時はミレニアムリテイリングと称したが、
いま、そごう・西武。
セブン&アイが売却する。
その理由を構造的に解明する。
的確な分析だ。
詳細は日経新聞を読んでいただきたいが、
タイトルもいいし、
最後の言葉もいい。
「そごう・西武の売却へと至る決断時期を
コロナが早めたに違いない」
ありがとう。同感だ。
「百貨店やスーパーの業界では、
こんなジンクスがある」
「いちど日本一から転がり落ちた企業は、
二度と返り咲くことがない」
その通り。
これを「不可逆性」という。
日本一になること自体、
たいへんな偉業だが、
それを維持するのもすごいことだ。
世界一の小売業は、
長らくシアーズ・ローバックだった。
そのあとは1990年から、
ウォルマート。
そしてもうすぐアマゾンとなる。
シアーズは2018年10月15日、
連邦破産法11条を適用申請した。
〈その2018年10月16日の朝のシアーズ〉
ウォルマートはどうなっていくのだろうか。
[Message of February]
AがWを超えるごとく!
確かに時代は変わる。
コロナが時代を変える。
WからX、Y、Zと進んで、
再びAへと戻る。
AはZまでをも包含すると、
嘯(うそぶ)く。
アマゾン・コムは22%伸びて年商47兆円。
ウォルマートは56兆円から4%伸びるか。
このまま何もなければ来年度中に、
アマゾンがウォルマートを抜き去る。
その原動力は、
インターネットにある。
だからAは店舗をもたない。
商圏の制限もない。
品揃えも在庫も、
店舗への搬送も、
店舗での人員も、
必要としない。
だからAは、
Zまでも包含すると嘯く。
ネットスーパー・エイジが始まる。
コロナ禍の閉塞された生活が、
時代の歯車をギシリと回した。
そしてここに不可逆性の原理が横たわる。
しかし新しい地平においても、
店舗の優位性が減じることはないだろう。
店舗の存在価値がさらに問われるだけである。
そのポジショニングが練磨されるだけである。
そして磨かれた店々はますます輝く。
だからこそ店と売場を変えよう。
人を育てよう。
組織をつくりかえよう。
AがWを超えるときに、
AにもWにもできない店をつくろう。
〈結城義晴〉