ウクライナ共和国の状況。
どんどん悪くなっている。
首都キエフの陥落は、
もう目前に迫っている。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領。
キエフ国立経済大学を出て、
俳優・コメディアンになった。
主演の政治風刺ドラマ「国民の僕」は、
普通の歴史教師がひょんなことから、
素人政治家として大統領に当選する物語。
その役どころの通りに、
2019年の大統領選挙で、
7割の票を獲得して勝利してしまった。
44歳。
そのゼレンスキー大統領が、
国民総動員令に署名した。
18歳から60歳の男性市民を、
90日以内に兵士として動員する。
ここまで来ても誰も直接、
軍隊を送る気配はない。
私はウクライナ人ではないし、
もうこの動員の年齢枠を超えているが、
いつでも人々の盾になる覚悟はある。
臆病者ではあるし、
体が強いわけでもないが、
その決意はある。
日経新聞電子版に、
ライオネル・バーバー氏が書いている。
英国フィナンシャル・タイムズ前編集長。
「ウクライナに全てを賭けるプーチン大統領」
実にクールな分析だ。
2019年夏、モスクワのクレムリン。
「時計の針が午前0時を回ろうとしていたころ、
私はロシアのプーチン大統領に、
“権力を握る期間が長くなるにつれて、
リスクを取ることへの欲望も
高まっているのではないか”と問うた」
バーバー氏はウラジーミル・プーチンに、
直接インタビューをしたのだ。
プーチンの答え。
「リスクへの欲望は増えるものでも、
減るものでもない。
リスクは常に正当化されるべきだ」
そしてロシアのことわざを言った。
「リスクを取らない者は
シャンパンを飲むことはできない」
バーバー氏。
「権力を握ってから20年以上が経過し、
プーチン氏はウクライナ侵攻という
最大の賭けに出た」
なぜ、プーチンは大きな賭けに出たのか。
多くの専門家の推理。
①北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大
②米国主導で行われたイラク戦争や
リビアのカダフィ政権崩壊
③将来的に隣国のジョージアやウクライナが
NATOに加盟し、独裁国家のロシアが
欧米型の民主主義に囲まれる
いずれも妥当だ。
しかしバーバー氏は、
もう一つ大事な視点を指摘する。
「プーチン氏は
“西側の衰退”という物語を
信じているのだ」
ん~。
つまり民主主義の衰退を信じている。
プーチンが一番恐れているのは、
「ウクライナにNATOが拡大することでない」
バーバー氏。
「本当に恐れているのは、
民主主義が自国の玄関先にまで迫ることだ」
「だから、ウクライナが独立国家として
自らの意志で選ぶ権利を
否定したいと考えている」
「これこそが、プーチン氏が
ウクライナの征服を命じた理由だ」
民主主義の衰退を信じていながら、
それが玄関先まで迫ることも恐れている。
「プーチン氏は、
西側の民主主義諸国が長期間の対峙に備えた
胆力を持ち合わせていないことに賭けている」
だから西側の作戦は簡単である。
長時間の対峙に備える胆力を持つことだ。
「現時点でプーチン氏は
批判や理性には動じないようにみえる」
「大写しになると身も凍るような
プーチン氏の目は、
ロシアの歴史によって訓練されてきた」
「彼は19世紀の古い帝国時代の
領土の一部と”偉大さ”を復元した
21世紀の皇帝になりたいと願っている」
21世紀の皇帝。
習近平と同じだ。
結語は祈り。
「過去の多くの侵略者のように、
彼が致命的に行き過ぎたことを
我々は願うのみだ」
これでは解決策にならないけれど、
「勝利とは
自ら勝ち取るものではない。
敵から恵んでもらうものだ」
(塩野七生『ローマ人の物語』より)
今日は朝早くから、
つくばエクスプレスに乗って、
研究学園へ。
商人舎流通スーパーニュース。
カスミnews|
食に特化した「BLANDE研究学園店」2/17開設
この店の取材とインタビュー。
塚田英明常務取締役上席執行役員。
営業統括本部マネジャー、
兼 商品開発本部(管掌)、
兼 新業態開発プロジェクトリーダー、
兼 組織人事プロジェクトリーダー。
10時前に到着すると、
待っていてくれた。
ざっと一巡りして、
中2階のカフェへ。
外を向いたソファに、
二人で腰かけて話した。
目の前の光景の遠景には筑波山。
1時間半もたっぷり話してもらって、
塚田さんの意図が実によくわかった。
新しいフォーマットだが、
それは店の形や商品だけではない。
店舗コンセプトが、
組織やオペレーションと、
密接に絡みついている。
その体系そのものが新しい。
塚田さんは、
コーネル大学RMPジャパン伝説の一期生。
わがことのようにうれしくなって、
話を聞き終えたあたりで涙が出てきた。
新著「新店ドラ」にサインしてプレゼント。
そのあと写真撮影をしていたら、
ベーカリーで男の子を見つけた。
カレーパンの前に座って、
じっと見ていた。
いい店です。
そして、
高野康詔(やすのり)ストアマネジャー。
月刊商人舎3月号に、
塚田英明インタビューとともに、
紹介する。
そのあとブランデ1号店へ。
カスミnews|
Food&Drugの「BLANDEつくば並木店」1/28開設
こちらはカスミ&ウエルシア。
中央にドラッグストアがデンと構えている。
周辺をスーパーマーケットが取り囲む形。
1号店、2号店が全く異なる性格をもつ。
これもいい試みだ。
橋本明ストアマネジャーに、
丁寧に案内してもらって、大満足。
この店も商人舎で紹介したい。
ありがとうございました。
期待の大きな新フォーマット。
やはりコロナが時間を早めて、
このフォーマット開発を後押しした。
コロナは衰退も早めるけれど、
イノベーションも早める。
全部終わって、
つくば駅までタクシー。
ちょっとだけ、
ロピアつくば店を覗いた。
駅前の西武百貨店跡への出店。
ロピアの得意のパターンではないが、
まあまあのレベルだった。
ウクライナはどうなるのか。
私は民主主義の停滞は感じるが、
衰退を信じたりはしない。
〈結城義晴〉