ウクライナは耐えている。
首都キエフは陥落寸前だが、
士気は高い。
世界はロシアに対して、
もっとも厳しい措置を、
断行しなければならない。
それは西側にとっても大きな痛手となる。
しかしその痛手を正面から受け止めて、
戦争は人類に大きな痛手をもたらすことを、
自覚しなければならない。
早急にロシアを、
SWIFT(国際銀行間通信協会)から排除する。
これは民主主義世界の痛手ともなる。
しかしそれをすることが、
戦争を終わらせるのならば、
世界が喜んで痛手を受けるべきだ。
両側の首脳たちが、
顔を出し、発言しつつ、
戦争は進む。
その間に兵士たちも、
民間人も、
子どもまで、
死んでいる。
不思議な戦争だが、
一刻も早く止めさせねばならない。
朝日新聞「折々のことば」
第2304回。
何といっても
本当に面白い点は
事実の羅列にあるのであって、
議論にあるのではない
(“雪博士”と呼ばれた物理学者・中谷宇吉郎)
「科学の先端的なトピックに飛びつき、
それをもとに
“高遠な”思想を語るのではなく、
問いと探究を地道に重ね、
何がどこまで明確になったかを淡々と語る。
そのほうが心も躍る」
「良い絵は見て感心するだけで充分。
それと同じだ」
事実が羅列されたものは、
良い絵と同じだ。
ノンフィクションの良さは、
ここにある。
私もモノを書くときに、
理想とするのは事実の羅列だ。
そのことで体系が見えてくるのがいい。
『コロナは時間を早める』も、
そんな本を目指した。
「情報が錯綜(さくそう)する中で、
何より重要なのは、
物語ではなく事実の正確な描写だ」
物語が先にあるのではなくて、
事実の正確な描写が物語となる。
それが一番いいと思う。
ロシアによるウクライナ侵攻も、
正確な事実の描写によって、
真実を明らかにしなければならない。
さて今日は夕方から銀座。
数寄屋橋交差点の東急プラザ。
ソニーパークの隣のエルメス。
有楽町の駅の方角に、
丸の内ピカデリー。
平和だし、自由だ。
㈱ロピア社長の高木勇輔さん。
今日は石原靖曠先生と食事して、
ノンフーズのレクチャーを受けた。
勉強になった。
中日新聞の巻頭コラム、
「中日春秋」
ウクライナの国民的詩人タラス・シェフチェンコ。
19世紀の帝政ロシア時代の人。
そのころウクライナは、
ロシア帝国の一部だった。
農奴の子に生まれ、
政治犯として流刑もされた。
その詩「遺言」。
わたしが死んだら、
なつかしいウクライナの
ひろびろとした草原にいだかれた
高き塚の上に 葬ってほしい。
果てしない野の連なりと
ドニエプル、切り立つ崖が
見渡せるように。
ウクライナ、
キエフ、
ドニエプル川。
美しいところだ。
わたしを葬り、
立ちあがってほしい。
鎖を断ち切り、
凶悪な敵の血潮で
われらの自由に
洗礼を授けてほしい。
ウクライナは立ちあがっている。
彼らの自由は洗礼を授けられている。
それを信じたい。
〈結城義晴〉