ブチャの惨劇。
長く語り継がれるだろう。
ウクライナのキーフ州から、
ロシア軍が撤退したあと、
州内の解放された街々で、
その残虐な所業が明らかになってきた。
世界史の中でも初めてのことだろう。
映像を通じて世界中の人たちが、
その非人間的な行為の実態を見せつけられた。
ロシア側はセルゲイ・ラブロフ外相が、
「フェイクだ」と返答した。
ドナルド・トランプの常套句。
これもトランプが世界に伝染させた悪習だろう。
しかしロシア軍の悪逆非道は、
隠せるものではない。
人類の歴史が許しはしない。
ウラジーミル・プーチンは、
アドルフ・ヒトラーの如く、
歴史に刻まれるであろう。
ラブロフも同罪だ。
ナチスの外相ヨアヒム・リッベントロップの如く、
裁断されるに違いない。
日本でも新聞全紙が「社説」で、
ロシアを批判した。
日経新聞社説。
ロシア「戦争犯罪」の
真相を徹底究明せよ
「ロシア軍が侵攻したウクライナで、
市民に対する殺害、性的暴行、略奪など
“戦争犯罪”に相当する行為が
次々に明らかになった」
「断固として許すことはできない」
「徹底的に調査し、
真相を明らかにせねばならない。
ロシアへの制裁強化を検討するのは当然だ」
各紙、論調は似ている。
朝日新聞社説。
侵略の惨状
戦争犯罪を非難する
「おぞましい惨劇である」
「この残酷な侵略戦争の結果を
断じて容認できない。
国際機関による真相解明を進め、
責任者を処罰しなければならない」
読売新聞。
露の虐殺疑惑
国連は直ちに調査団派遣せよ
「胸をえぐられるような衝撃的な映像に、
強い怒りを覚える。
国連は直ちに現地調査団を派遣し、
国際法廷による捜査と連携して、
真相の解明を図らねばならない」
「戦争犯罪を扱う国際刑事裁判所は証拠を集め、
責任者を裁きにかける必要がある」
「露軍部隊は侵略の全体像を知らされず、
短期的な軍事作戦や訓練だと
思い込んでいたという指摘もある。
予想外の反撃や統率の乱れが
蛮行につながったのか」
「ブチャでの露軍占拠が続いていた場合、
虐殺の証拠は残らなかっただろう。
こうした惨劇が全土で起きる可能性を踏まえれば、
ロシアが要求するウクライナの”非軍事化”には
到底応じられない」
「日本国内でも、人命尊重の観点からか、
“ゼレンスキー氏は国民の犠牲を減らすために、
ロシアの要求をのむべきだ”といった
論調が見られるのは理解に苦しむ」
これは橋下徹前大阪市長の「降伏論」のことだ。
毎日新聞社説。
ウクライナ侵攻
首都近郊の虐殺
露は独立調査受け入れを
「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中の1995年、
イスラム教徒約8000人が犠牲になる
“スレブレニツァ虐殺”が起きた。
今回はそれ以来の大規模殺害になる
可能性も指摘されている」
「20世紀前半に起きた2度の世界大戦では、
多くの市民が命を落とした」
「その教訓から、国際社会は49年、
ジュネーブ条約を改正し、
戦時であっても民間人を攻撃対象とせず、
捕虜を人道的に扱うことを決めた」
「しかし、ウクライナでは産科病院や、
子どもが避難する劇場が空爆された。
これらの行為は戦争犯罪に当たるとみられる。
今回、組織的に民間人が
大量に殺害されたとすれば、
“人道に対する罪”に該当する疑いも出てくる」
戦争が人間を貶める。
戦争をこそ憎むべきだ。
ドストエフスキーの「罪と罰」
金貸しの老婆を殺した、
主人公のラスコリーニコフは、
信じている。
「1つの罪悪は100の善行によって償われる」
そして自分の思想を語る。
「《非凡》な人間はある障害を……
それも自分の思想の実行が(中略)
それを要求する場合だけ、
ふみこえる権利がある」
プーチンやラブロフには、
このドストエフスキーの言葉が、
間違って理解されているに違いない。
いや、これらの言葉がどこかで、
救いになっているのかもしれない。
戦争の罪悪は、
どれだけの善行によっても
償われるものではないし、
プーチンもラブロフも、
誰であろうと、
自分を《非凡》な人間と思ってはいけない。
私は1日中、横浜商人舎オフィス。
月刊商人舎最終段階。
朝から晩まで、
ひたすら原稿を書き続けた。
そして疲れ果てた。
私は商売について考える。
新しい競争について考察して、
それを文章にする。
それが私の役割だ。
それが私の闘いだ。
〈結城義晴〉