米国メジャーリーグ。
プロフェッショナルのベースボール。
プレイヤーだけではなく、
その機構も先進的(?)
今期からバッテリー間のサイン伝達に、
電子機器の使用を認める。
バッテリーとは、
ピッチャーとキャッチャーのことだ。
捕手は送信機の付いたリストバンドを着装。
投手も機器を携えていて、
音声で球種とコースが伝えられる。
メジャーリーグでは、
サイン盗みが横行している。
それへの対策として、
電子機器は期待される。
2017年のワールドシリーズ勝者のアストロズ、
18年のレッドソックス。
どちらもサイン盗みで、
監督らが処分されている。
今春のオープン戦で導入実験が行われて、
どうやら成果が出たようだ。
しかし先進的とは言ったが、
どこがどう先進的なのかは、
わからない。
さて今日は午後4時から、
㈱セブン&アイ・ホールディングス、
決算発表。
電話会議方式で行われた。
商人舎流通スーパーニュース。
セブン&アイnews|
年商8兆7598億円51%増・米コンビニ事業が牽引
2022年2月期の営業収益は、
8兆7497億5200万円。
51.7%増。
昨2021年5月14日に、
米国のコンビニ「Speedway」を買収した。
220億ドルの投資だった。
それがこの決算で貢献した。
私はこのブログの3月5日版で書いた。
「ああ、もったいない」
一度、買収をすると発表したが、
3月初旬にそれを断念するという報道が出た。
日経新聞のスクープだった。
そこで私は思ったことを書いた。
「ああ、もったいない」
そうしたら5月14日、
紆余曲折の末、逆転して、
買収が成立した。
米国のジョセフ・デピントCEOが活躍した。
私は書いた。
「源になければならないのは、
勇気ある決断だ」
そして続けた。
「セブン&アイ・ホールディングスは、
ますますコンビニ主体の企業となり、
本格的に世界を視野に入れていくだろう」
この言葉の通り、
2022年2月期決算で成果が現れた。
それが8兆7498億円の年商だ。
51.7%の前年比増。
一気にイオンに追いついた。
コンビニ加盟店を含めた「グループ売上げ」は、
14兆2433億万円で前年同期比29.0%増。
営業利益は3876億5300万円、
これは前年同期比5.8%増。
経常利益3585億7100万円で0.3%増。
営業利益率は4.4%、経常利益率4.1%。
セブン‐イレブン・ジャパンは、
微増収減益。
海外の7-Eleven, Inc.は、
チェーン全店売上6兆4639億円で89.7%増。
営業利益2248億6400万円で88.6%増。
営業利益はイトーヨーカ堂が、
16億2000万円の79.2%減。
ヨークベニマルが147億0400万円で11.1%減。
さらにそごう・西武は、
81億5300万円の営業損失。
電話の向こうの井坂隆一社長の声。
「事業のポートフォリオの見直し」をして、
そごう・西武は売却する。
「構造改革を進めながら、
ベストオーナーを探す」
米国のアクティビストは、
祖業イトーヨーカ堂の切り離しを求めている。
アクティビストは物言う株主のことで、
セブンの場合、「バリューアクト・キャピタル」。
その意見を聞く必要は全くない。
井阪社長の発言。
「同じグループにあることが、
将来の成長に資する」
けれど電話会議を通じて感じられるのは、
セブン&アイのトップたちが、
株主ばかりを気にしている点だ。
電話会議は16時から始まった。
会社側の説明があって、
まず証券アナリストの質問を受けた。
それが終わったのが17時39分。
なんと1時間39分もかかった。
そのあとにやっとマスコミからの質問。
日経新聞、読売新聞、朝日新聞、
そしてNHKなどとの質疑応答。
業界マスコミからは、
「国際商業出版」だけ受け付けられた。
その時間は30分足らず。
私は端(はな)から質問する気はなかった。
この電話会見全体が、
「株主」と証券業界の方しか、
見ていない印象を強く受けた。
マスコミも大新聞やテレビ中心。
つまりは株価が一番の関心事のような印象。
小売業は顧客が大事だ。
さらに従業員、取引先が、
株主よりも重要なステークホルダーだ。
顧客と従業員、取引先は、
成果を生み出す過程に貢献してくれる。
そこから離れたら、
小売業の成長はない。
株主や株価は、
その成果の結果を問題視している。
言うことを聞いて、
成果が出なかったら、
責任をとってくれるわけではない。
45年もこの産業を見ていると、
経営者がそこから離れているか否かは、
わかるものだ。
セブン&アイにとって、
今、一番心配なのは、
そのことだ。
電話会議という方式も、
オンライン会議と比べると、
ずいぶん遅れている。
その電話会議で気になったのは、
今、セブン&アイのトップマネジメントには、
口では何度も社是を強調するものの、
真の拠り所とするものがないことだ。
あるいはそれが薄れていることだ。
そしてその「拠り所」は、
株主や株価ではない。
〈結城義晴〉