日経新聞総合一面の記事。
「最高益、国内3社に1社」
上場企業の決算発表がピークを迎えた。
2022年3月期に最高益となった企業は、
全体の30%で、
約30年ぶりの高水準になった。
3月期決算の約1890社。
純利益では7割の企業が前の期より増えた。
最高益となった企業は3割で、
1991年3月期以来の多さだった。
追い風は資源高と円安。
鉄鉱石や石炭の高騰。
為替相場は3月で1ドル112円程度、
1ユーロ131円程度。
円安が進んだ。
新型コロナウイルス禍の影響も和らいだ。
小売業では、
㈱ヤオコーが33期連続の増収増益。
もちろん最高益だ。
そのヤオコー川越美術館。
2011年竣工。
設計は伊東豊雄建築設計事務所。
ヤオコーの本社は、
サポートセンターと呼ばれるが、
その設計も伊藤豊雄さんだ。
2013年にプリツカー賞を受賞。
建築界のノーベル賞と言われる。
若いころは菊竹清訓事務所に所属した。
菊竹さんはセゾンの堤清二さんと親しくて、
小売業にも理解が深かった。
シンプルでユニークなデザインだ。
私は美術館巡りが好きで、
海外でも国内でも機会を見つけて訪れる。
このヤオコー川越美術館は、
三栖右嗣記念館と称して、
洋画家・故三栖右嗣(みすゆうじ)の作品だけを展示する。
三栖右嗣は1927年、神奈川県厚木に生まれ、
2010年、埼玉県嵐山に没した。
米国のアンドリュー・ワイエスに師事し、
日本現代リアリズムの巨匠と称される。
ワイエスはアメリカン・リアリズムの代表的画家だ。
ヤオコー美術館は、
敷地面積1824㎡、建築面積471㎡。
展示室1は印象的だ。
ここに20点の作品が飾られていた。
比較的に小品が多く、
欲しいと思わせる絵画もある。
「冬の静物」60号。
鳥の描写が素晴らしい。
第2展示室は真ん中にソファーがあって、
ゆっくり休みながら鑑賞することができる。
そして大作が多く展示されている。
「爛漫」150号。
500号の「麦秋一風」
1997年の「光る海」120号。
そして衝撃的な「老いる」
1974年の習作で30号。
1976年、第19回安井賞受賞作品。
老いた母親の裸像。
さらに「生きる」
これも74年作の100号。
カフェラウンジには、
作家のアトリエの写真と、
愛用の筆や絵の具、
パレットなどが展示されている。
入口のところでビデオが流されている。
作家が「老いる」を製作した心境を語る。
いい美術館で、いい作品を観た。
満足した。
展示は24点だったが、
200点の所蔵があり、
春夏秋冬、テーマごとに入れ替える。
ヤオコーの店のようだと思った。
スーパーマーケット業態の専門店を志向する。
それがヤオコーである。
ヤオコー川越美術館は、
ペインティングの三栖右嗣専門店である。
四季折々に企画を変える。
そして四季折々、楽しめる。
ヤオコー30期連続増収増益と、
まったく同じコンセプトが、
この美術館だ。
ありがとうございました。
〈結城義晴〉