6月4日。土曜日。
私は横浜商人舎オフィスに出社。
月刊商人舎6月号の最後の詰め。
大量に原稿を執筆して、
デザイナーの七海真理さんに送る。
すぐにデザインが仕上がってくる。
これを「初校」という。
それを2人以上で校正する。
ダブルチェックだ。
それを再び七海さんに送る。
赤字が入ったところを直してくれて、
また送られてくる。
これを「再校」という。
この再校をやはりダブルチェックして、
直しがあればそれを送る。
直しがなければ、
「責了」する。
雑誌や本をつくることは、
手間がかかります。
それでもいい雑誌が出来上がれば、
これ以上の喜びはない。
さて、今日は様々なニュースがあった。
それを短くダイジェストしよう。
まず第1に、
夏の参議院選挙。
自民党の茂木敏充幹事長が発言。
「間違いなく6月22日公示になる」
投開票日は7月10日になる。
今、通常国会が開かれている。
第208回常会。
今年1月17日に始まって、
会期は150日間。
ロシアのウクライナ侵攻は、
この208回通常国会開催中のことだった。
だから日本政府や行政の対応は早かった。
その通常国会は、
6月15日に会期末を迎える。
参議院選はそのあとだ。
17日間の恒例の選挙期間を想定すると、
投開票日は7月10日の日曜日となり、
公示は6月23日になる。
ただしこの日は「沖縄慰霊の日」だ。
そこで公示日は、
1日前倒しされる。
梅雨の選挙となる。
そしてそれが日本の趨勢を決める。
第2のニュースは、
「出生率6年連続低下」
日経新聞は一面トップで取り上げた。
厚生労働省の発表。
2021年の合計特殊出生率は、
1.30だった。
1人の女性が生涯に産む子どもの数を、
合計特殊出生率という。
これは6年連続で低下。
出生数は81万1604人で過去最低。
前年比より2万9231人も減った。
出生率の過去最低は、
2005年の1.26だが、
21年の1.30は過去4番目に低い。
前年より0.03ポイント低下した。
出生率1.5未満を「超少子化」と呼ぶ。
1.3未満はもう言葉にならないくらい深刻な状態だ。
厚労省は何とも無責任な見解を出す。
「15~49歳の女性人口の減少と
20代の出生率低下」
世界的にコロナ禍によって出生数が減っている。
しかし米国は21年に約366万人の出生。
7年ぶりに増加。
出生率は1.66。
前年の1.64から上昇。
フランスは21年出生率1.83。
20年は1.82だったから0.01ポイントの上昇。
ドイツも21年の出生数は増加する見通しだが、
手厚い少子化対策が素早い回復を促した。
出生数から死亡数を差し引いた自然減は、
62万8205人で、過去最大。
「商売は人口動態の通りにせよ」
故渥美俊一先生の言葉を思い出す。
その通りにするならば、
日本全体の小売業や商業は、
商売を縮小していかねばならない。
政治の最大の責任は、
この出生率の減少を食い止めることだ。
参議院選挙でも、
この点に言及する候補がいるか。
注目したい。
第3のニュースは、
将棋の棋聖戦第1局。
棋聖位についているのは今、
藤井聡太五冠、19歳。
挑戦者は永瀬拓矢王座、29歳。
二人は、
「VS」と呼ばれる練習対局のパートナーだ。
手の内を知り尽くしている。
長瀬がデビュー直後の藤井に呼びかけて、
練習対局を繰り返し、
自分も強くなった。
なかなかに切れる男だ。
その二人の第一局。
なんと千日手となった。
局面が行き詰って、
両者が同じ手順を繰り返す。
千日も続くのではないかという手順。
そこで千日手というが、
こうなったら差し直しされる。
つまりやり直し。
こういったタイトル戦で千日手となることは、
多くはない。
しかし差し直した2局目も、
千日手となった。
つまり「二千日手」
そこでさらに差し直し。
この対局を永瀬が制して、
藤井は初戦を落とした。
粘りの永瀬と言われるが、
珍しく藤井がそれに屈した。
しかし「二千日手」とは、
凄いことだ。
第4のニュースは、
「セルコレポート」到着。
日本セルコチェーンは、
60周年を迎えた。
その記念号だ。
おめでたい。
私は連載の2回目を書いた。
「艱難は商人を鍛える」
これが連載タイトルだが、
今回は「値上げラッシュに知恵を出せ」
主人公は故中内功さん。
そう、ダイエー創業者。
中内さんは「内臓逆位」だった。
つまり心臓が右についていた。
その話を書いた。
その艱難を乗り越えて、
日本一のダイエーをつくった。
艱難は商人を鍛える。
日々、進んで、
鍛えられましょう。
人口減少もなんとか止めましょう。
二千日手も何のその。
人生は艱難の中にある。
〈結城義晴〉