河北新報。
宮城県仙台市に本拠を置く、
東北地方のブロック新聞。
「白河以北一山百文」
福島県白河市の「白河の関」より北の地方は、
「ひと山100文の価値しかない」と、
貶められていた。
1897年(明治30年)、
一力健治郎によって、
その「河北」を冠にして創刊。
第104回全国高校野球選手権で、
仙台育英学院高校は、
「河北」で初の全国制覇を果たした。
河北新報の報道は、
全国断トツの加熱ぶりだ。
「社説」は興奮気味に語る。
東北の高校球児がついに、
深紅の優勝旗を手にした」
夏の甲子園は、
「第1回大会の決勝で、
秋田中が京都二中に敗れて以降、
東北の高校は夏9回、春3回、
決勝に進んだものの、
ことごとく厚い壁に阻まれてきた」
「2004、05年の夏の大会を、
駒大苫小牧(北海道)が連覇し、
優勝旗は既に津軽海峡を渡っている」
だからこそ東北の高校野球関係者は、
過度に「白河の関越え」を意識してきた観がある。
仙台育英の選手たちはその呪縛を解いた。
巻頭コラムの「河北春秋」も熱い。
「その瞬間が訪れた。
高校野球甲子園大会の優勝旗を
東北で初めて仙台育英が勝ち取った」
「太田幸司、田村隆寿、大越基、
ダルビッシュ有、菊池雄星、吉田輝星―」
「高校球史に残る決勝の主役も
届かなかった全国の頂点である」
仙台育英の須江航(すえ・わたる)監督。
「100年開かなかった扉が開いた」
朝日新聞と毎日新聞が、
両紙ともに「人」欄で紹介した。
今年の球児たちは新型コロナに翻弄された。
部活動も学校生活も、制約ばかりだった。
監督はその球児たちに思いをはせる。
「青春って、密なので」
「でも全国の高校生が
苦しい中でもあきらめず、努力してきた。
みんなに拍手してください」
その通り。
いい選手といい監督と、
いい優勝だった。
東北のための勝利だった。
今日は一日、横浜商人舎オフィス。
午後、片山隆さん来社。
2015年1月に、
㈱寺岡精工代表取締役社長兼CEO。
その後、退任してから今年5月に、
㈱ライフコーポレーション社外取締役に就任。
今日はヨーロッパの小売業について、
最新情報を提供してくれた。
月刊商人舎9月号で、
その内容を報告する。
ご期待いただきたい。
さて商人舎流通SuperNews。
8月17日の報道。
セブン&アイnews|
「セブンプレミアム」15周年、累計販売金額13兆円超
㈱セブン&アイホールディングスのPB。
「セブンプレミアム」が15周年を迎えた。
もっと長い期間であるような気もするが、
商人舎の設立と同じころだ。
累計販売金額は13兆円を超えた。
2007年5月、49品目からスタートし、
現在は5ブランドで約3500アイテム。
「チームマーチャンダイジング」手法は、
メーカーをはじめ関連企業を巻き込んで、
総合的に展開される。
商品開発にはそんな事業会社から、
約300名が参画する。
この開発の仕組みは、
そう簡単にはレベルダウンしない。
15周年を機に、
さらに品質と価値の向上を目指す。
今期は3月から7月末時点までに、
約560アイテムがリニューアルされた。
ただし、
その15周年の売り方には、
疑問符が投げかけられる。
商人舎特任研究員からの報告。
「変化に首を傾げる某オーナーより」
「セブン-イレブンは今年の旧盆商戦で、
客数減を客単価アップでカバーする傾向が、
顕著に現れてきました」
「売場も販促企画も、
これまでのセブンにはあまり見られなかった、
なりふり構わぬ価格訴求です」
セブンプレミアムゴールドを、
2個買えば50円引き。
さらには「安心価格」の100円販売、
100円台の低価格の単品アピール。
それらをガンガンやる。
「客単価を上げるためなら、
なんでもやる」
それでも今のところ、
顧客の反応は高い。
「しかし、これが1年経過し、
前年比が一巡した頃には、
薄利多売の商売から抜けられなくなる」
「安ければ売れるとばかりに、
アイテムの絞り込みができなくなる」
セブン-イレブンの強みは、
「斬新で説得力のある商品開発、
ドラスティックに繰り返される商品改廃、
わかりやすく絞り込まれたアイテム数」
その強みが薄れていく。
『鈴木敏文 商売の原点』より。
「私は安売りをもっとも、
否定している人間の一人です」
「値段と引き換えに質を落としたと、
とらえかねないからです」
「私たちの基本はあくまでも、
どれだけ価値のある商品を店頭に
並べることができるかということです」
鈴木さんの考えとは異なって、
セブンの強みが変容しかけている。
「安売りに慣れると、
商人は頭を使わなくなる」
それが一番恐ろしい。
〈結城義晴〉