今宵は十五夜。
中秋の名月。
晴れ渡った夜空に満月が浮かんだ。
2週間、働き詰めだった。
昨日はすべてが終わって、
商人舎社内でゴルフに興じた。
疲れ切ってはいたが90をちょっと切って、
私自身は満足。
今日は8時間以上も眠りこけた。
そのあとも映画を見たり、
本を読んだりしながら、
休養に努めた。
詩人の田村隆一。
1923年、東京生まれ、
’98年没。
早川書房で責任編集長を務める。
「ハヤカワ・ポケット・ミステリー」は、
田村の企画、編集だった。
アガサ・クリスティなどの翻訳もやった。
「ゴルフ場殺人事件」などは、
知らずに読んでいたが、
田村の翻訳だった。
その「語り」を伝える本。
第十話は「健康」
型破りなダンディズムの詩人。
健康について述べるなど、
ちょっと恥ずかしかったに違いない。
「まあ、この歳まで生きてきて言えるのは……。」
「健康のためには、まず、
あまり金持ちにならないこと」
「もうちょっと欲しい、
そのぐらいが丁度いいんだよ」
「そして、あまり貧乏にはならぬこと。
他人に迷惑をかけないぐらいが丁度いい」
「要は、単純な生活さ。
過剰も過少も避ける」
「欲ばれば、健康は遠のいていく」
私もこれがいいと思う。
金持ちでもないし、
貧乏でもないし。
過剰も過少も避けよう。
ありがとう。
さて、イギリスの新国王、
チャールズ三世のスピーチ。
美しい英語、
堂々とした話しぶり、
素晴らしい内容だった。
「女王の人生は元気で充実したものでした。
その運命との約束は見事に守られました。
生涯にわたる奉仕の約束を今日、
私も再びみなさん全員に誓います」
「女王が揺るぎない献身をされたように、
私もまた神が私に与えて下さった
残りの時間を通して、
わが国の中心にある憲法の原則を
守り抜くことを今、厳粛に誓います」
最後には女王に語りかけた。
「愛するママへ。
亡きパパのもとへ、
最後の素晴らしい旅を始めるときに、
ただ一言、ありがとう」
「私たちの家族のために、
あなたが奉仕してきたこの国の家族のために、
あなたが捧げた愛と献身に感謝します」
グレートブリテンと、
北アイルランド連合王国は、
これからの世界のためにも、
極めて重要な役割がある。
エリザベス二世も、
チャールズ三世も、
途方もない金持ちだが、
健康だったし、
健康そうだ。
それは本質的に、
欲張らないからだろう。
金持ちでも欲張らない。
貧乏でも欲張らない。
人に迷惑をかけるのは、
ちょっと避けたい。
自立していたい。
それに、
あまりに貧乏であると、
貧すれば鈍すになってしまって、
これは具合がよくない。
今日はそんなことを考えて、
身体と心を休ませた。
ありがたい。
〈結城義晴〉