安倍晋三元首相の国葬の日。
弔意は表するけれど、
私は献花には行かない。
商人舎オフィスに出社して、
午後から社内会議。
月刊誌の企画の検討から始めて、
2023年の事業計画まで、
認識を一致させ、意見を出し合った。
夕方、東海道線で上野へ。
伊豆栄(いずえい)梅川亭。
伊豆榮は八代将軍吉宗公の時代、
上野池之端で創業。
江戸前の鰻屋。
当時、上野界隈では良質な鰻が獲れ、
簡易な造りの蒲焼屋が建ち並んでいた。
その中の一店が、
今も歴史を繋ぐ。
九代目女将は土肥好美さん。
梅川亭の最上階の一室で、
山本慎一郎さんと懇親。
㈱カスミ代表取締役者社長。
そして㈱U.S.M.H代表取締役副社長。
日本酒をたしなみながら、
伊豆栄のフルコースと鰻を堪能した。
もちろんスーパーマーケット産業について、
突っ込んだ意見交換をした。
「刈り取られ産業」を脱して、
正当な社会的機能を果たしたい。
山本さんはリベラルな経営者だ。
そして極めて論理的、科学的。
筋が通っている。
以前は「リテールDX」に関して質問し、
見解を聞くことが多かったが、
今夜はそれ以外の話題に飛躍しつつ、
小売業の本質を語り合った。
酒を飲める人は、
その酒を酌み交わしつつ、
議論をするのがいい。
飲めない人に無理強いはしない。
けれど飲みながら語り合うのは、
格別のものがある。
議論がどんどん展開する。
そんな気がする。
実に有意義な秋の一夜だった。
途中で浅草振袖の椿さん登場。
この伊豆栄のサービスで、
全室を10分ずつ巡ってくれる。
「京に舞妓はん、浅草は振袖さん」
㈱浅草振袖に所属する芸者さん。
白塗りに日本髪、華やかな振袖姿。
島倉千代子の「すみだ川」を一曲、
優雅に踊ってくれた。
楽しい夜だった。
山本慎一郎さん。
産業を背負って立つ人だ。
さて商人舎流通スーパーニュース。
絶好調で今日は24本のニュースが挙がった。
カスミnews |
茨城県石岡市で10/3「移動スーパー開始」・49台体制
山本さんも今日、話していたが、
カスミはすべて直営で展開する。
ただし行政協働型だ。
それで十分に採算に乗るし、
地域への貢献は大きいという。
それが50台体制間近となった。
もう一つ。
セブン&アイnews |
価格訴求ブランド「セブン・ザ・プライス」発売
グループPB「セブンプレミアム」に、
『セブン・ザ・プライス』が加わる。
イトーヨーカ堂が2021年7月に、
「ザ・プライス」の価格訴求ブランドを発売した。
食品、日用品中心に、
シンプルな商品スペックにし、
コスト削減の工夫をした。
現在の取り扱いアイテム数は約190品目、
累計販売金額は39億円を突破。
このブランドを、
新ブランドに変更した。
イトーヨーカドー、ヨークなどはもとより、
コンビニのセブン-イレブンでも販売する。
商人舎の分類でいえば、
コンペティティブブランド。
あるいはファイターブランド。
イオンのトップバリュの中では、
「ベストプライス」に該当する。
感慨深い。
とうとうセブン&アイも、
コンペティティブブランドを開発し、
それをセブン-イレブンで売る。
鈴木敏文さんは、
何と言うだろう。
是非、聞いてみたいものだ。
コンビニエンスストアのコンセプトと、
ファイターブランドは合わない。
フランチャイジーの加盟店から、
発注が上がってくるか。
粗利益率はどうなっているか。
それが問題だ。
売れて儲かるならば、
発注も増えるだろう。
売れてもごくごく薄利ならば、
加盟店には魅力的な商品ではない。
しかし価格競争に巻き込まれないのが、
本来のセブン-イレブンである。
価格訴求ブランドを並べるのは、
ポジショニングの齟齬を来しはしないか。
このあたりインタビューしたり、
議論したりしたいところだが、
最近はこういった取材は受けつけられない。
山本慎一郎さんとの今宵のように、
産業全体を良くする質疑応答をしたいのだが、
なかなかそれができなくなっている。
残念なことだ。
Retail is Detail.
小売りの神は細部に宿る。
そのDetailに関して、
当事者、当該者と議論する。
それが産業の発展につながる。
私はそう信じている。
〈結城義晴〉