Everybody! Good Monday!
[2022vol㊷]
2022年第42週。
10月中旬に入って、
秋本番。
しかし秋の長雨。
「秋雨」(あきさめ)という。
東日本では初夏の梅雨よりも、
秋のほうが雨の季節である。
商人舎流通スーパーニュース。
クローガーnews|
米国2位食品スーパー「アルバートソン」を3.6兆円で買収
ちょっと驚いた。
クローガーは、
米国スーパーマーケット1位。
チェーンストアランキング5位。
アルバートソンは、
スーパーマーケット2位で、
チェーンストア10位。
その米国スーパーマーケットの、
1位と2位が合併で合意した。
クローガーの2022年1月期売上高は1379億ドル。
米国内35州に2726店を展開する。
アルバートソンは719億ドル、
34州に2276店を有する。
1990年代のアルバートソンは、
エクセレントカンパニーと呼ばれた。
しかし2000年代に入ると、
経営は悪化した。
その根本原因は合併にあった。
1998年、ウォルマートが、
スーパーマーケットの実験を始めた。
「ネイバーフッドマーケット」と名づけられた。
1990年に米国一の小売業となったウォルマート。
創業時代からウォルマートはノンフード小売業で、
食品専業の業態を展開してはいなかった。
伝統のディスカウントストア「ウォルマート」、
最強のハイパーマーケット「スーパーセンター」。
しかし食品市場の大きさを知らぬはずはない。
そこでスーパーマーケット専業業態の実験に入った。
既存の食品産業は大騒ぎ。
第4位だったアルバートソンが、
第3位アメリカンストアーズを傘下に入れて、
2位に躍り出た。
第1位クローガーはフレッドメイヤーを合併した。
第2位のセーフウェイはなんと、
クローガーの買収を画策したが、
それに失敗して、ドミニクスを買った。
この相次ぐ合併によって、
チェーンストアとしてのマネジメント力が問われた。
アルバートソンの合併は失敗して、
経営が悪化していった。
2006年には卸売業のスーパーバリューに買収され、
企業分割されてしまった。
さらに2013年には、
投資会社サーベラスに売却された。
一方のクローガーは合併に成功して、
さらに繁栄していった。
セーフウェイは停滞した。
その後、2015年1月、
サーベラスはセーフウェイを傘下に入れた。
当時はそのセーフウェイが2位のチェーンだった。
社名はアルバートソンとなった。
そのアルバートソンが今、
クローガーと合併しようとしている。
今回の合併で両者を単純計算すれば、
売上高2097億7500万ドル、
店舗数は合計5002店となる。
1ドル100円で換算して20兆9775億円。
150円で換算すれば31兆円を超える。
重複エリアの店舗は売却されたりするから、
それらを除くと4996店舗。
チェーンストア1位はウォルマート、
2位はアマゾン・コム。
3位コストコホールセール、
4位ホームデポだが、
クローガーは3位に躍り出る。
クローガー、セーフウェイ、アルバートソン、
その連合軍となって、
ウォルマートとアマゾンに対抗する。
世界最大のウォルマートの米国部門は、
売上高3932億ドルで、米国内店舗数5342店。
全世界のウォルマート合計は5678億ドル、
サムズクラブが736億ドル、
国際部門が1010億ドル。
業態の概念で考えると、
独禁法に抵触するかもしれない。
だから米国連邦取引委員会(FTC)が調査して、
買収の承認が下りない可能性もある。
しかし食品販売企業として見れば、
上位にウォルマートがいるので、
独占禁止法には引っかからないかもしれない。
米国スーパーマーケット業態は、
現在、「複占」の状態にある。
クローガーとアルバートソン。
その両者が合併すると、
年商2098億ドルの圧倒的なトップである。
2位はロイヤル・アホールド・デレーズUSA。
オランダの国際企業の米国事業は年商537億ドル。
3位はパブリックスで、
リージョナルチェーンながら480億ドル。
つまり業態の「複占」による拮抗が大きく崩れる。
しかし業態の枠を超えた食品小売業で見れば、
ウォルマートが米国内シェア18%、
新生クローガーが13%。
そして3位のコストコが、
1404億ドルで9%。
クローガー/アルバートソンの2000億ドルは、
日本のスーパーマーケット全体の規模に匹敵する。
コロナは米国食品小売産業において、
規模の集中を早めたか。
合併の繰り返しで、
巨大な企業が出来上がった。
高いマネジメントレベルと、
チェーンオペレーションによって、
規模の威力が発揮され、
「成長」につながればいいけれど、
単なる「膨張」であってはならない。
故田島義博学習院大学院長の言葉。
「規模が大きくなるほど、
経営は難しくなる」
では、みなさん、今週も、
高いマネジメントレベルを目指そう。
Good Monday!
〈結城義晴〉