プロ野球日本シリーズ。
東京ヤクルトスワローズと、
オリックスバファローズ。
面白い。
バファローズのエース山本由伸。
第1戦で打たれて、
4失点5回途中降板。
不思議な印象だった。
その理由を「Number Web」が明かした。
「プロ野球亭日乗」というコラム。
その理由とは、
「マウンドの硬さ」
ピッチャーが投球する場所は、
球場の中で唯一、
盛り上がった小山のようになっている。
それをマウンドという。
第1戦と第2戦は、
スワローズの本拠地神宮球場で行われる。
その神宮球場のマウンドは、
2020年の開幕前に改造された。
いわゆる「メジャー仕様」への変更である。
粘土の割合を多くして、
見違えるほどに硬く改良された。
神宮はアマチュア野球と併用される。
東京六大学、首都大学などの連盟が、
リーグ戦で使う。
だから昼間に大学野球をやった後、
夜、プロ野球が行われたりする。
だからマウンドが荒れないように、
ハード仕様につくられている。
「神宮のマウンドは硬過ぎる。
足元がまったく掘れなくて
滑るので投げにくい」
セ・リーグの投手の声。
スワローズの投手でも、
力投派の左腕・高橋奎二投手らは、
この本拠地のマウンドを苦手としている。
日本一の投手・山本由伸が、
このマウンドに悩まされた。
昨年の日本シリーズも、
スワローズ対バファローズだった。
しかしコロナの影響で、
東京ドームで行われた。
そして山本は好投した。
その山本が神宮球場のマウンドに立つのは、
18年6月8日以来2度目で、
そのときも1イニングしか投げていない。
偉大な投手も、
微妙なマウンドの違いで、
どこかが狂ってしまう。
そして実力を発揮できない。
しかし山本はこのあと、
必ず活躍すると思う。
それが絶対的なエースである。
次の登板のときの、
山本の顔つきや投球態度が楽しみだ。
日本シリーズ第2戦は、
9回までバファローズが3対0でリードしていた。
その9回裏、スワローズ高津臣吾監督は、
ランナー1、2塁のチャンスで、
内山壮真を代打に送った。
内山は石川県の星稜高等学校から、
ドラフト3位で入団した2年目の捕手。
171センチ71キロと小柄な選手だ。
プロ野球選手で、
身長171センチと登録されていると、
大抵の場合、160センチ台である。
その小柄な内山の6球目。
高めに浮いた阿部翔太投手の直球は、
一閃、レフトスタンドに飛び込んだ。
土壇場の同点弾。
日本シリーズ初出場初打席の、
初安打、初打点、初本塁打。
内山のコメント。
「打ったのはストレートです。
自分の仕事は山田(哲人)さんと村上(宗隆)さんに
良いカタチで繋ぐことだったので
簡単に追い込まれてしまいましたが
食らいついて打ちました」
「良い角度であがってくれました」
謙虚に繋ぐ気持ちで、
「食らいついた」。
それがホームランとなった。
そのまま延長戦に入って12回。
試合は引き分けとなった。
プロ野球の試合には、
どんな場合にも裏の物語がある。
それが面白い。
それでも山本由伸、
必ず活躍する。
私は確信している。
バファローズを応援しているわけではない。
スワローズのファンというわけでもない。
けれど実力のあるチーム同士の勝負は、
本当に面白い。
面白くないのは、
中国の共産党大会。
習近平は憲法を改正してまで、
3期目の国家主席となった。
中国は政治局常務委員7人が、
国の最高指導部を形成するが、
6人が習近平派である。
序列24位以内の政治局員においても、
約7割が習近平派である。
この共産党大会の閉幕式で、
突如、胡錦濤前国家主席が、
無理やり退席させられた。
世界中にその映像が流れた。
最前列の習近平の隣に座っていた胡錦涛は、
職員に腕をつかまれると、それを振り払ったが、
脇の下に両手を入れられて立たされ、
半ば力づくで会場の外に連れ去られた。
明らかに胡錦涛前国家主席の支持者たちを、
恫喝し、萎えさせる行為である。
中国版Twitterの微博(ウェイボー、Weibo)で、
「胡錦濤」と検索しても、
以前のものしか表示されていないという。
中国共産党の今回の組織体制では、
女性活用の流れも後退した。
ダイバーシティ(多様性)に逆行する、
独裁者への権力集中。
まったく面白くない。
けれど、
面白くないものは衰える。
面白くないものは滅びる。
商売もビジネスも、
面白くないものは衰える。
面白くないものは滅びる。
〈結城義晴〉