結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年11月12日(土曜日)

「大久保恒夫&山本慎一郎」対談と「たそがれの流通2強時代」??

つくばエクスプレスに乗って、
研究学園へ。

そしてタクシーで、
㈱カスミ本社へ。

6階の応接室をお借りして、
今日は月刊商人舎の対談。IMG_6920 (002)2

カスミ社長の山本慎一郎さんと、
㈱西友社長の大久保恒夫さん。
司会は結城義晴。

午後2時から始まって、
司会が必要ないほどの、
お二人の怒涛の対談。

私も鼎談のごとく、
情報を提供したり、
意見を言ったりした。

エキサイティングなディスカッションは、
2時間近くにわたって展開された。IMG_6916 (002)2
代わる代わる自分の会社のことなどを話す、
という形ではない。

大久保さんが考え方を述べると、
それに対して山本さんが話を展開させる。
その山本さんの見解に、
大久保さんが反応する。

そんな話し合いの中に私も加わる。

化学反応が起こり、テーマは深まっていく。
真理に近づいていく。

本来のディスカッションである。

ここでその一端を紹介したいところだが、
それは月刊商人舎新年号誌上にて。

最近はこういったトップ同士の対談は、
ほとんどない。

かつての販売革新や食品商業では、
頻繁に企画し、実現させた。

1998年9月号。

中内功さんと伊藤雅俊さん、
そして岡田卓也さんの座談会を、
田島義博先生の司会で、
食品商業誌上に掲載したことがある。

キッコーマン米国工場25周年記念。
そのイベントがウィスコンシンで開催された。
私はこのイベントに参加して、
それを食品商業誌上にページを割いて、
ノンフィクションのような形で書いた。

タイトルは「革命者たちの述懐」だったと思う。

今回もそのときのように、
ドキドキワクワクした。

ありがとうございました。
IMG_7015 (002)2
楽しみにしてください。

カスミの幹部のお二人とも写真。
私の隣は塚田英明常務取締役上席執行役員、
そして新井敦之執行役員経営企画室マネジャー。IMG_6913 (002)2
塚田さんはコーネル・ジャパン伝説の一期生、
新井さんはその七期生。

対談が終了すると、
大久保さんのカブリオレで、
夕食会場に向かった。

快適だ。IMG_7019 (002)2
さて、今日の日経新聞本誌の記事。
「たそがれの流通2強時代」

タイトル自体、ちょっと失礼だ。

上半期決算が発表されたばかりだが、
両者ともに過去最高を記録した。

「今回のそごう・西武の売却劇は、
国内流通史の転換点を象徴している」

私は、そうは思わない。
「転換点」などではない。

セブン&アイにとっては、
ジャンピングボードの役を果たす。

イオンには何の関係もない。

記事は「カリスマ経営者」をテーマにする。

セゾングループの堤清二さん、
そごうの水島広雄さん。
セブン&アイの鈴木敏文さん。

「一時代を築いたそごうと西武百を取り込み、
次の豊かさを描こうとしたセブンだったが、
デフレとデジタル化が進む消費社会を前に
付加価値を生み出すことはかなわなかった」

この問題は昨日書いたが、
百貨店を業態の盛衰という視点から、
再分析するべきだろう。

「戦後のカリスマ経営者がつなげてきた
リアル時代の豊かさの象徴は、
ファンドとデジタル時代の”勝者”である
ヨドバシカメラによって再編集される」

ヨドバシカメラが、
「ファンドとデジタル時代の勝者」と言う。
これにも違和感がある。

賛同する人はどれだけいるのだろう。
別にヨドバシカメラを貶めるつもりはない。

「そごう、西武百、ダイエー、マイカルと
有力小売りが表舞台から去り、
1990年代から2000年代にかけて
国内小売りはセブンとイオンの
2強が取り仕切った」

細かいところだがこれはあいまいな表現だ。
「1990年代から2000年代」と言えば、
「2000年代」は2000年から2010年のことか。

ならば2010年から2022年の現在までも、
2社がトップを走っている。

「スーパー、専門店、百貨店は
総合型小売業の完成を目指す二大勢力に
集約されていくというのが
大方の見方だったが、
そんなシナリオは今回のセブンによる
そごう・西武の売却で見事に崩れた」

これも「二大勢力」と言ってはいけない。
イオンは都市百貨店を統合してはいない。

「スーパー、専門店、百貨店」に、
専門店が加わっているのも理解不能。

専門店チェーンと言えば、
ユニクロやニトリなどが代表だが、
二大勢力に集約されるとの見方は、
どこを探しても、一度もない。

「ショッピングセンターを展開するイオンは
事業リストラには踏み込んでいないが、
かつてのように多数のM&Aを駆使して
総合型戦略を進める余裕はない」

イオンは事業の再編を続けている。
リージョナルシフトはその典型の戦略である。
それは事業のリストラクチャリングそのものである。

それにイオンのM&Aは、
これからも継続されるだろうし、
これからがむしろ本番である。
実際に昨年にはフジと経営統合している。

アメリカでは、
クローガーとアルバートソンが合併する。
それが日本の経営者に、
意識として与える影響は大きい。

イオンに「総合型戦略を進める余裕」が…
ないはずはない。

再度、言おう。
イオンもセブン&アイも、
この上半期に過去最高益を出している。

「デジタル&グローバル化の
流れを前に

2強の成長力は衰え、
新時代を切り開く存在とは
言えなくなった」

デジタルに対しても、
グローバル化に対しても、
「2強」の成長力は衰えるものではない。

特に「グローバル化」に関しては、
セブンが米国スピードウェイを買収して、
グローバル10に名乗りを上げる。
グローバル最大のコンビニチェーンだ。

アセアン戦略においては、
ウォルマートやテスコ、カルフールが、
揃って失敗しているにもかかわらず、
イオンは順調に成長している。

最後に「カリスマどもが夢の跡」
これは極めて失礼な言い方だ。

「カリスマ」に対して、
「ども」という言い回しを使う。

尊敬のかけらもない。

とても日経新聞とは信じられない。

毎日、この新聞を丁寧に読む読者の一人として、
この記事に対しては異議を唱えておきたい。

〈結城義晴〉

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