11月22日は、
二十四節気の小雪。
雪が降りはじめるころ。
まだ、積もるほど降らないから、
「小雪」(しょうせつ)と名づけられた。
小雪の次は、「大雪」(たいせつ)、
大雪が降る季節。
そしてその次が「冬至」(とうじ)。
小雪の前が「立冬」。
そして「冬至」から「立春」まで。
寒い季節だが、
この流れはとてもいい。
立冬、
小雪、
大雪、
冬至。
冬至、
小寒、
大寒、
立春。
その小寒も三つに分けられる。
二十四節気がほぼ15日間区切りで、
それがさらに三つに分けられる。
「初候」「次候」「末候」。
それぞれほぼ5日区切りとなる。
「七十二候」(しちじゅうにこう)と呼ばれる。
小雪の初候は「虹蔵不見」。
「にじ かくれて みえず」。
虹が見られなくなる。
次候は「朔風払葉」。
「きたかぜ このはを はらう」
北風が落下した木の葉を払いのける。
真っ向は「橘始黄」。
「たちばな はじめて きばむ」。
橘の実が黄色くなり始める。
西洋にはない繊細な季節の区切り方で、
私はとても気に入っている。
さてそんな季節感はまったくないカタール。
FIFAワールドカップ。
8グループごとに、
4チームで1次リーグが行われ、
その1回戦が展開されている。
日本はグループEで、
ドイツ、スペイン、コスタリカの組。
そのグループC。
3度目の優勝を狙うアルゼンチン。
対戦相手はサウジアラビア。
アルゼンチンは前半開始10分に、
世界のエースともいうべきリオネル・メッシが、
ペナルティキック。
ゴールキーパーと1対1。
キーパーの予測を完全にはずした。
そして余裕のゴロゴロシュートを入れた。
メッシはそのあとも縦パスから抜け出して、
見事なシュートを決めたが、
これはサウジの巧みな守備にあってノーゴール。
サウジはハイラインのオフサイドトラップをかけた。
それでもアルゼンチン代表チーム全体に、
「与し易し」の感、ありあり。
前半、サウジアラビアは、
1本もシュートを打てずに終わった。
しかし後半、サウジアラビアは怒涛の反撃。
後半3分、縦パスを受けたサレー・アル・シェフリ。
俊足のミッドフィルダー。
ペナルティエリアを左側に、
回り込むようにドリブルで進んで、
左足シュート。
ツーバウンドでゴール右隅に決まって、同点。
さらに後半7分、
ペナルティエリア左側で、
こぼれ球を拾ったサレム・アル・ドサリ。
背番号10のエース。
マーカーをかわして、得意の右足シュート。
かすかにゴールキーパーの手に触れたが、
カーブをかけた一撃はゴール右隅に決まった。
スタジアムは熱狂。
アラーの神も応援したに違いない。
残り時間、アルゼンチンは猛攻をかけたが、
ゴールキーパーが立て続けにスーパーセーブ。
31歳のモハンメド・アルオワイス。
サウジはイエローカード6枚を受け、
サイドバックのヤーセル・アル・シャハラニは、
味方のアルオワイスのジャンプした膝が、
同じく飛び上がった顔面に入って、
担架で運び出された。
死力を尽くした防御で、
歴史的勝利を収めた。
アルゼンチンはFIFAランキング3位、
サウジアラビアは同51位。
番狂わせ。
何かが、大きく、変わっている。
アルゼンチンのメッシは、
ワールドカップ5度目の出場の35歳。
おそらく最後の大舞台になるだろう。
これまでメッシが唯一手にしていないのが、
ワールドカップ優勝。
それだけ、思いが深いはずだ。
そのメッシのコメント。
「このような形でスタートするとは
思いもしなかった。
非常に辛い打撃だ。
今、僕たちは
本当のグループであることを
示さなければならない」
サウジアラビアのアジア予選は、
日本と同じBグループだった。
その予選を勝点23の首位で通過した。
7勝1敗2分け。
この1敗は日本に2対0で負けたもの。
日本は同22の次点だった。
7勝2敗1分け。
2敗はサウジとオマーンに負けた試合。
だからサウジは強い。
しかし「アジア勢弱し」の風評も根強くあって、
それをひっくり返してくれた。
ドイツは意外かもしれないが、
最新FIFAランキングでは11位だ。
1位 ブラジル
2位 ベルギー
3位 アルゼンチン
4位 フランス
5位 イングランド
6位 イタリア
7位 スペイン
8位 オランダ
9位 ポルトガル
10位 デンマーク
11位 ドイツ
そのドイツに挑むジャパンは24位。
アジア・オセアニア勢のランキングは、
20位 イラン
24位 日本
28位 韓国
38位 オーストラリア
50位 カタール
51位 サウジアラビア
ドイツ代表が優勝候補の一角であることは確かだが、
日本代表にもチャンスはある。
今月の月刊商人舎特集は、
何かが、大きく、変わる。
業態トップ企業たちの「成長フォーマット」開発スタディズ
[Cover Message]
偶然の出来事が重なる。
それが人間の想像力を刺激する。
本号がそれだった。
「何かが、大きく、変わる」
イスラム圏でのWカップ開催もあって、
世界が大きく変わっている気がする。
イギリスのBBCは開会式を放映しなかった。
イングランドチームは、
開幕戦で片足をついて抗議した。
ウクライナ戦争が展開されている中で、
世界中がサッカーゲームに湧いている。
それでも、
何かが、大きく、変わっている。
サウジの大金星は、
もしかしたら金星ではなく、
大異変の始まりを告げる予兆なかもしれない。
期待は膨らむ。
いざ、ドイツ戦へ。
〈結城義晴〉