結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年11月28日(月曜日)

岩崎高治ライフ社長の「ピュアーな商人」と「享楽円・禁欲円」

Everybody! Good Monday!
[2022vol㊽]

2022年第48週。
11月最終週。
今週の木曜日から12月に入る。

2022年も激動の1年だった。
それも残すところ5週間。

FIFA World Cup 2022は、
予選リーグの第2試合が進行している。
次は第3試合に入る。

日本が属するグループEは、
12月1日28時、つまり2日4時から第3ゲーム。

日本はスペインとの名誉の闘いに挑む。

さて日経新聞にトップが二人、登場。
「月曜経済観測」には、
岩崎高治さん。
㈱ライフコーポレーション社長。
202205_iwasaki3

聞き手は編集委員の田中陽さん。
今、知りたいことのほとんどを、
きちんと聞いてくれた。

はじめに、
食品値上げに関して。
「値上げ前の9月にビール類の販売金額は
前年同月比26%伸びた。
駆け込み需要の反動は10月中旬で収まり、
今はほぼ前年並みとなった」

「食パンや菓子パンは値段が上がっても
前年以上の数字をあげている。
価格支配力が強い寡占市場のマヨネーズは
買い上げ点数が10月に入って1%減だが、
売上高は6%強上がった」

「輸入が大半のサーモン、マグロ、カニなどの
水産品の値上がりが激しく
『値ごろ価格』が外れてしまった。
年末にかけても流れは変わらないだろう」

「消費環境は厳しいが、
値の張るおせち料理の予約は好調だ」

私は「享楽円と禁欲円」で、
説明している。

同じ顧客が享楽円を費やす場合もあれば、
禁欲円をシビアに使う場面もある。

値の張るおせちは享楽円消費だ。

「水産物が値上がりすると
精肉の需要が高まる」

これはスーパーマーケットの特長。
商売としての「強み」と言っていい。

「その精肉は単価の高い牛から豚、
豚から鶏へと下方にシフトしているようだ」

これは禁欲円消費。

「競争が激しいハムなどの加工肉は、
ナショナルブランド(NB)から
プライベートブランド(PB)に切り替わっている」

「健康志向のPBは前年比で2倍に増えている。
低価格一辺倒ではない」

ライフの「ビオラル」は絶好調。
享楽円の分類に入る。
202205_bioral-6

「ライフに来店する顧客の購買行動から
『健康』『品質重視』など9つに分類しているが、
『価格にシビア』な顧客の売り上げは
2%程度落ち込んでいる」

「来店頻度は落ちておらず、
一回の購買金額が下がっているので
他の店舗で買い回りをしているのだろう」

価格にシビアな顧客は、
安い店に流れる。
チェリーピッカーである。
禁欲円消費者である。

「値上げした商品を特売すると
『せっかく、新価格に慣れてきたのに、
特売を見ると損した気分になる』
といった声もある」

「消費は二極化しているとよくいわれるが、
いろいろな二極化があり、
一言では説明できなくなってきている」

これこそ享楽円と禁欲円である。
高所得者層と低所得者層とへの分化ではない。

値上げラッシュは、
「今後1年で収まるとは思っていない」

「今は精査して値札を変えているが、
小売業自体のコストアップは
転嫁されていない」

「電気代は上昇が見込まれ、
価格を抑える自助努力が限界にきている」

その通り。

「物流部門は『2024年問題』という
時間外労働の上限規制が適用され、
明らかにコスト上昇になる」

これもその通り。

「価格感度や生活防衛意識の高い顧客への
対応もしっかりしながら
付加価値を生み出すような
値上げをしていくことになるだろう」

これこそ「トレードオン」である。

最後に政治への要望。
「正社員の賃金も今年は2.88%、
パートの時給は44円アップした。
人への投資は欠かせないが、
税金がかかる『103万円の壁』のために、
パートの時給を上げても
労働時間が減るだけで還元にならず、
人手不足が深刻化するだけだ。
なんとか見直してほしい」

これは産業を挙げて、
政治や行政に要請する問題だ。
ポリティカル・マーチャントの遺志を継ぎたい。

同じく日経新聞、
「複眼――『年収の壁』と向き合う」に、
三枝富博日本チェーンストア協会会長。
㈱イトーヨーカ堂会長。
saegusatomihiro
タイトルは「多様な働き方を阻むな」

岩崎さんの指摘にもある「年収の壁」問題。

日本チェーンストア協会加盟企業は、
パート労働者が従業員全体の8割。

「状況の改善のため、協会としては
所得税がかかる103万円の壁を
200万円まで引き上げることを要望している」

「本人の税負担の改善だけでなく、
103万円という基準以下であることを
配偶者手当の支給要件にしている企業も多い」

これも「就業調整の壁」になっている。

「税の基準が200万円に上がれば
配偶者手当の基準の引き上げにつながる
との期待もある」

「社会保障については
短時間労働者が厚生年金の加入対象となる企業は
従来501人以上だったが、
10月から101人以上になった」

「今後さらに企業規模要件を
撤廃する議論が進んでいる」

「同じ業種でも規模が小さければ
対象にならないのは公平性に欠けるため、
企業規模要件の撤廃そのものは賛成だ」

「多様な働き方を望む要望に
応えられる形になってほしい」

そう、多様な働き方に応える。

最後にライフ岩崎さんの印象的な一言。
「コロナ禍で顧客からの励ましの手紙に涙した」

そのピュアーさが岩崎高治だ。

では、みなさん、今週も、
ピュアーな商人を貫こう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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