勤労感謝の日。
「日本の再建の基礎は労働と生産にある。
勤労をもっと尊重しなければならない」
戦後まもない「祝日法」の国会審議での発言。
毎日新聞「余禄」が取り上げた。
「生産感謝の日」や「感謝の日」などの案が議論され、
「勤労感謝の日」で決着した。
よかった。
戦前は「新嘗祭」(にいなめさい)の祭日だった。
新穀を神にささげる宮中行事。
島崎藤村の言葉。
「汗は人生の報酬」
同感だ。
コラムニスト。
「勤勉を美徳と考えてきたのが日本である。
一方、汗を流して働く国民は
警察官やスポーツ選手ぐらいという国もある」
カタールである。
「四半世紀前までは日本の援助を受けたが、
天然ガス開発で高層ビルが林立する
超近代的国家に変身した」
そのQatarでは、
「汗をかく仕事の大半は
人口の9割を占める、
出稼ぎの外国人労働者が担う」
この過酷な労働環境や人権侵害を、
欧米諸国は批判している。
もちろんQatarでも、
労働法の改正など改善の動きもある。
「だが、国民の間では福祉が充実しすぎて
若者の肥満や労働意欲の減退が
社会問題化していると聞く」
これはよろしくない。
労働意欲こそが、
国の根幹となる。
北海道新聞の「卓上四季」
タイトルは「エンヤコーラー」
「授業参観の教室で着飾った母親の中に
汚れた法被にもんぺ姿の人がいた」
「誰の親だ?」
ざわつく空気。
「駆け寄ったのは
貧しさゆえにいじめられていた児童」
「母は周囲の目も気にせず子の身なりを整え、
垂れた鼻水を口にふくみ取り除いた」
「ある日の下校途中、
建設現場で働くその人を見た」
「網に入れた重しを木組みで引き上げて落とす
地ならし作業」
「息子に友達ができたことが
うれしかったのだろう。
薄汚れた姿を隠すでもなく掛け声を上げた」
「ヨシオのためならエンヤコーラー」
美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」の
モデルとなった話。
その著『愛の大売り出し』に載っている。
小学2年生だった美輪さんは思った。
「こういう思いやりの愛情が
たっぷりあるひとが一番偉いんだ」
「心に届く歌が洗練されたものとは限らない。
初めて披露した時、とっぴな労働歌に
最初は爆笑したお客が
最後はみな涙ぐみおえつした」
そんな名曲が1965年、
放送されなくなった。
「建設作業や貧しさを差別している」とされた。
肉体労働や貧しさの現実を知らない「有識者」こそ、
差別意識があるのではないかという反論は
かき消された。
美輪さん。
「言葉はハサミと同じ。
道具になるか凶器になるかは使う人次第」
コラムニスト。
「どんな仕事も必ず
誰かが必要としているもの。
その思いに自然と頭が下がる
勤労感謝の日である」
働くことの意義をかみしめ、
感謝する日としたい。
日本の「勤労感謝の日」の祝日が水曜日。
木曜日は欧米の「感謝祭」。
そして金曜日はBlackFriday。
商売にとっても、
感謝、感謝の1週間だ。
その日本の感謝の日の1日の最後に、
FIFA World Cup Qatar。
歴史的偉業。
日本代表がドイツ代表に逆転勝ちした。
試合前から、ドキドキしていた。
ゲームの最中は集中した。
点が入ると、
思わず大声を出して、
飛び上がった。
昨日のこのブログで書いた。
「何かが、大きく、変わっている。」
「サウジの大金星は、
もしかしたら金星ではなく、
大異変の始まりを告げる予兆なかもしれない」
その通りだった。
FIFAランキング24位の日本。
同11位だがWカップを4度制覇したドイツ。
前半はPKで先制を許した。
アルゼンチン対サウジアラビアの展開と同じ。
森保一監督は後半に、
守備のシステムを、
4バックから3バックに変え、
次々と攻撃的な選手を投入した。
途中出場の堂安律が75分に左足でゴール。
83分にはこれも途中出場の浅野拓磨が、
長い山なりの縦パスをうまく受けて、
ディフェンダーと並走しながら、
右足で見事なゴール。
E組の日本は勝ち点3。
27日にコスタリカ、
12月1日にスペインと対戦する。
何かが、大きく、変わった。
私の予想は的中した。
それでも汗は人生の報酬である。
これは変わらない。
〈結城義晴〉