冬至2022。
昔から言われる。
「冬至冬なか冬はじめ」
二十四節気では、
立冬から始まって、
小雪、大雪、そして冬至となる。
それから小寒、大寒を経て、立春。
だから暦の上では、
冬至は冬の真ん中にある。
つまり冬なかだ。
しかし実際には、
これから本格的な冬の寒さに入る。
だから冬至は、
冬はじめでもある。
いつの間にうしろ暮れゐし冬至かな
〈1997年、角川春樹「存在と時間」より〉
今日も一日、
必死で原稿を仕上げた。
いつの間にか、
日が暮れてしまっていた。
うしろをふり返ると、
一日が終わり、
一年が終わっていく。
冬至の暮れは早い。
帰宅すると、
柚子湯に入って疲れをとる。
古稀迎へけふの柚子湯のやさしけれ
〈小川昭江 「 沖」より〉
今年の私にぴったりの句だ。
さて、2022年は値上げの年だった。
それはもう終わるのか。
いや、そうでもない。
商人舎流通SuperNews。
帝国データバンクNews|
「食品主要105社」23年4月までに7152品目値上げ
帝国データバンクの発表。
「食品主要105社」価格改定動向調査。
2022年の価格改定品目数は、
最終的に2万822品目だった。
値上げ率平均14%。
特に10月。
約6700品目の飲食料品が値上げした。
「記録的な値上げラッシュ」だった。
全食品分野・全品目での一斉値上げが、
短期間に集中した。
ところが、
2023年1月から4月まで、
値上げが決定している品目数は、
7152品目。
品目数は今年と同じ時期比で50%超多い。
昨22年1月~4月は4672品目だった。
つまり値上げペースは1.5倍の加速。
値上げ率平均は18%。
2022年通年比4ポイント高の水準。
2023年の値上げで最も多い食品分野は、
加工食品の3798 品目。
冷凍食品類のほか、
小麦製品や水産缶詰、水産練り製品など。
次いで酒類・飲料の1442品目。
輸入ウイスキーやワイン、焼酎など、
値上げは2月以降に本格化する。
調味料は1343品目。
嗜好性の強い菓子(480品目)は、
再値上げとなる品目が多い。
本体価格の引き上げではなく、
内容量減による価格維持の傾向も目立つ。
つまり「実質値上げ」だ。
値上げは続く。
それを覚悟して、
「値ごろ」を追求しつつ、
商品開発と産地開発に勤しむ1年になる。
朝日新聞「折々のことば」
今日の第2593回。
人生は両極ではない。
悲しいこと、
うれしいことの
絶妙なミックス。
(Rei)
Reiは、今大注目の、
シンガーソングライター。
Rei。
「ブルーノートは、
全音階(ドレミファソラシド)ではなく、
ドミ(♭)ファソ(♭)ソシ(♭)シド。
不思議なことに長調にも短調にも使える」
1800年代の中ごろ、
アフリカから奴隷として、
アメリカに連れてこられた黒人たち。
ヨーロッパ音階のドレミを教えられたが、
それとは異なる耳慣れない音程で歌い始めた。
どことなく物悲しい旋律をもっていた。
そこでその黒人たちの音階は、
「憂鬱」の意味の「ブルー」と名づけられた。
「ブルース」は、
このブルー音階で歌われ、奏でられる音楽だ。
Rei。
「明るい曲調のブルースに
この音階が挟(はさ)まると
“ハッとさせられる”」
「人生、絶望の中に
ほのかな夢が芽吹き、
歓楽の中にも愁いが漂う」。
NHK・Eテレの番組「クラシックTV選」から。
人生は両極ではない。
悲しいこと、
うれしいことの
絶妙なミックス。
1店における品揃えも、
両極ではない。
価格志向のコモディティアイテムと、
価値志向のノンコモディティ品目の、
絶妙のミックスである。
値上げが続くなかで、
「自分の歌を歌う」ことができる店が、
顧客の支持を得るのだ。
〈結城義晴〉