2023年のカウントダウン。
あと2日。
小晦日。
「こつごもり」。
朝の東海道新幹線のぞみ。
残念ながら富士の頂は見えず。
今年、何度ここを走っただろう。
富士川の水流は少ない。
名古屋を過ぎて関ヶ原に差し掛かるころ、
山肌に雲が立ってくる。
すぐに京都駅に到着。
駅舎全体をカバーしているのは、
箱型のガラスと金属的な膜。
この空間が古都と対比的な空間をつくっている。
そして京都タワー。
快晴の真っ青な空と白い塔。
歩いて3分ほどで、
京都ヨドバシマルチメディア館。
その地下2階にロピアがある。
29日、30日、31日の3日間、
入場制限をしている。
そのために入口を1カ所にして、
行列を作ってもらう。
最後尾は地上1階にある。
店に降りていくと、
入口まで行列が並んでいるが、
売場は意外に淡々としている。
このほうが顧客も安心してゆっくりと買物できる。
このヨドバシ京都店は、
ロピア関西営業本部で、
一番店となった。
その一番店の実力が、
年末商戦で発揮される。
日常的には大容量のロピアの商品だが、
年末にはちょうどいい。
だから客層と商圏は拡大される。
それから「享楽円」消費は、
年末の際(きわ)の商戦でピークに達する。
「禁欲円」消費は縮小される。
もちろん禁欲円も大事だ。
しかし1年で一度、
享楽的な買い方をして、
享楽的な生活をする。
それが正月だ。
私が言い出した概念だが、
顧客はその享楽的な消費を、
目的として店にやってくる。
だから高額品が飛ぶように売れる。
もちろん野菜や果物は、
ロピア価格だ。
惣菜から魚はワンウェイコントロール。
私はこの店はこのレイアウトが成功していると思う。
年末商材もきちんと品揃えされている。
年越しそば用の海老の天ぷら。
肉はすぐに売れる。
年末向けにさらに単品量販に切り替えている。
しかしそれでも補充が間に合わない。
特にロピアのオリジナルアイテムがよく売れる。
日配食品も冷凍食品も、
よく売れる。
壁面のイラストは雪の京都金閣寺。
店舗の装飾は不要だという議論もある。
しかし享楽円消費にはこれは必須だ。
いいレストランや料亭で食事をする。
そのときに店の雰囲気や佇まいは、
享楽的な消費に貢献する。
コモディティの買物ならば、
それは必要ないかもしれない。
ただしコモディティディスカウントでも、
その店のポジショニングを鮮明にするためには、
それらしい内装、照明、店内サインは必須だ。
よく売れるけれど、
チェックスタンドは混雑も混乱もない。
待ち合わせたわけでもないが、
福島道夫さんに遭遇。
㈱ロピア社長から㈱関西ロピア社長となって、
この京都ヨドバシ店も立ち上げた。
いま㈱ロピアホールディングス取締役営業統括。
ロピア京都店を辞して、
大阪へ。
梅田駅前の百貨店競争。
左が大丸梅田店。
1983年オープン。
それから阪急うめだ本店。
こちらは1920年、白木屋出張所として開業し、
1929年、初のターミナル百貨店に変わった。
2012年、新店舗として増床刷新。
それから阪神梅田本店。
こちらも1925年、
白木屋出張所として開業。
阪神百貨店の本店となって、
何度も増床改造を試み、
今年4月6日に食品館が改装オープンして、
全館の改装が完成した。
食品が百貨店の中核を担う。
地上2階のデッキで、
阪急うめだ本店、大丸梅田店とつながる。
1階食品売場は明るいモダンな売場。
地下1階が生鮮、惣菜から、
酒、菓子、加工食品まで、
日本最高レベルの食品売場となった。
しかしこれも「享楽円消費」である。
青果も肉も魚も、
ショップごとに先頭と最後尾を示して、
行列をつくっている。
入場制限もしていないから、
凄い人出で歩けないほど。
専門店ごとに清算をするから、
余計に時間がかかる。
その鶏肉の「とり鹿」。
百貨店こそ「享楽円消費」の代表だ。
ここで買うときには、
顧客は初めから、
高くても旨いものを目指す。
だから驚くほど高額商品が売れる。
ロピア京都ヨドバシ店も、
その意味では享楽円の店だ。
量が多くて、コストパフォーマンスの高い、
享楽円消費である。
今日はそれを確認するためにやって来た。
そして確認した。
常日頃から、
享楽円マーチャンダイジングをしていないと、
年末も享楽円アイテムは売れない。
それも確認できた。
その享楽円の非日常を、
日常の中にどう取り入れるか。
享楽円商売は、
簡単ではない。
しかしコロナ禍で、
食品の享楽円消費は広がった。
食べることが、
最大の楽しみの一つとなった。
この年末商戦は、
享楽円商売の集大成となる。
それを確認した。
〈結城義晴〉