3が日は、年賀状でご挨拶。
「一陽来復」は、
冬が去って春が来ること。
転じて、
よくないことが続いたあとに、
良いことが巡ってくること。
考えてみると21世紀に入って、
それほどいいことはなかった。
一陽来復を祈念した。
2010年代はずっと一陽来復だった。
そして2020年代も一陽来復のようだ。
新型コロナウイルス・パンデミック。
それからウクライナ危機。
米中による新しい冷戦。
けれど2023年は一陽来復を信じたい。
この言葉の由来は、
中国「易経」だとされる。
儒教には基本書籍が5冊ある。
この5経典を「五経」という。
その筆頭にあるのが「易経」だ。
易経の本来の名称は「易」だった。
それが儒教の経典と位置づけられて、
「易経」と呼ばれるようになった。
「易」という字は、
「日」と「月」から成っている。
日は太陽、月は太陰。
陰と陽。
だから易は陰陽を表す。
ひとつの説だが、
妙に説得力がある。
その「易」の陰が深まると、
陽に変わる。
一つの陽が復びやって来る。
それが一陽来復。
「易」を代表する考え方のひとつだ。
そんな年にしたいものだ。
そして商人舎1月のメッセージ。
「両利きの歌」
右利き? 左利き?
いいえ、両利き。
もともと左利きの人が、
両利きになりやすい。
コロナ感染拡大を抑えて、
経済と営業の活性化を図る。
ディスタンシングを堅持しつつ、
ホスピタリティを高める。
経費上昇要因に事欠かず、
利益増加要因は一本足打法。
コスト削減と粗利益増加。
その両立をあなたは求められる。
Ambidexterityは、
双面性、両利きの経営。
Compatibilityは、
両立性。
あちらを立てて、
こちらも立てる。
こちらを立てて、
あちらも立てる。
トレードオフは、
気楽で呑気な20世紀人。
トレードオンは、
強靭で思慮深い21世紀人。
右手のイトーヨーカ堂、
左手はセブン-イレブン。
左手を使って右手を叱咤するがごとし。
鈴木敏文の両利き経営。
成熟事業と新規事業。
リアル店舗とネット販売。
人間力経営とデジタル改革。
矛盾を包含し、かつ尊重する態度。
両利き経営の最大の課題は、
リーダーシップである。
トレードオンの最大の課題は、
胆力と論理性である。
あちらを立てて、
こちらも立てよ。
こちらを立てて、
あちらも立てよ。〈結城義晴〉
陰が去って、陽が来る。
しかし陽はふたたび、
陰に向かう。
だから両利きができなければならない。
私たちは両利きにならねばならない。
それはトレードオンを意味する。
あちらを立てて、
こちらも立てよ。
保守だ革新だ、は終わった。
両利きの中道の時代だ。
労使の対立も終わった。
どちらの主張も正しくて、
それらを両立させる「トレードオン」の時代だ。
経営も商売も、
どちらかを切り捨てれば済む時代は、
もうやって来ない。
顧客は、消費者は、
「禁欲円」と「享楽円」を使い分ける。
どちらにも対応した商売を、
あるいはどちらにも応える経営を、
模索しなければならない。
今年1年、
両利きの歌を歌おう。
〈結城義晴〉