1月15日は小正月(こしょうがつ)。
正月は元旦から始まる。
その元旦から松の内の7日までを、
「大正月」(おおしょうがつ)と呼ぶ。
それに対して、
1月14日の日没から15日の日没までを、
「小正月」という。
江戸時代まで元服の儀があった。
その儀式を小正月にやっていた。
その元服の日が成人の日となった。
だから1999年まで成人の日の祝日は、
小正月の1月15日だった。
2000年からハッピーマンデー制度によって、
第2月曜日に変わった。
私の成人式は1973年1月15日だった。
雪が降っていた。
ラグビーの日本選手権が行われた。
リコー対明治大学。
当時は社会人の1位と大学の1位が、
日本選手権決勝を戦った。
35対9で明治が大敗した。
明治のフッカーは、
盛岡工業から入った1年生の笹田学だった。
スクラムハーフも、
目黒高校出身の1年の松尾雄治だった。
大学生だった私は、
朝から自宅で連絡を待っていた。
成人式には行くつもりなどなかった。
自分の部屋で鬱々としていた。
安吾など読んでいた。
多分、「私は海をだきしめてゐたい」
連絡は来なかった。
そして一日は終った。
悴(かじか)みて別れのことばつながらず
〈朝日俳壇 荒尾市・鶴田幾美〉
あれから50年が過ぎた。
坂口安吾。
「絶望は愚か者の結論である」
さらに安吾。
「優れた魂ほど大きく悩む」
そのころ好きだった歌――。
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
動物園に行ってみて
ゾウの前などすわりこんで
パンでもかじりたくなるのです
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
ゆくさき不明の汽車にのり
荷物のようにがたごとと
はこばれてゆきたいと思うのです
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
世界の平和のために
戦争をなくすために生きてゆこうと
心の底から思うのです
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
ネコと見つめあって
愛をたしかめあうことだって
できるのです
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
〈詩・鈴木順子〉
50年前の今日は雪が舞った。
50年後の今日は雨がすこし降った。
冬なのに暖かい日ではなかった。
新型コロナウイルスが、
日本で最初に感染確認されてから、
ちょうど3年が経過する。
あっという間の3年。
昨年にはウクライナ戦争も起こった。
このコロナ禍が、
人生を変えてしまった人もいるだろう。
何も変わらず、
時間だけが往った人もいるだろう。
どちらも貴重な時間だと思う。
そして50年前には戻れない。
戻りたくはない。
3年前にも帰れない。
帰りたくはない。
でも、今日もあの歌を口ずさむ。
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には♪
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には♫
〈結城義晴〉