結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年03月31日(金曜日)

吉田松陰の「夢なき者に理想なし、夢なき者に成功なし」

2023年3月最後の日。

一月、往ぬる、
二月、逃げる。
三月、去る。

明日から4月だ。

桜も去るように散った。

第95回選抜高校野球。
準決勝を勝ち抜いた2校は、
山梨学院と報徳学園。
山梨県と兵庫県の東西対決。

山梨学院は山梨県初の決勝進出。
報徳は2002年以来21年ぶり。
その2002年は大谷智久投手を擁して、
優勝している。

この大谷はその後、
早稲田大学からトヨタ自動車に進んで、
いずれも優勝を経験してから、
千葉ロッテマリーンズに入団。

10年間、現役を続けて、
2020年に引退して、
二軍の投手コーチ。
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この大谷智久は小学校のころ、
横浜のジュニアソフトボール界では有名だった。
荏田ブランチーズのエースで、
私が監督をしていた竹の子のライバルだった。

リーグ戦でも勝てなかったし、
グリーンカップでは決勝戦で負けた。

身体は大きくなかったが、
凄い小学生だった。

合同チームでは何度も大谷の球を受けた。
一緒に関東大会に行った。

とにかく性格のいい子だった。
そして夢を持ち続けた。

その大谷がプロ投手になったことは、
私たちの誇りだった。

大谷も明日の決勝戦を応援しているだろう。

現役の選手たちもいい試合をするに違いない。

さて日経新聞「大機小機」
コラムニストは墨田川さん。
硬骨漢の学者。

「経済学者もあきれる物価対策」

政府が決めた追加の物価対策を論じる。
財政支出は15兆円に及ぶ。

「筆者が不思議に思うのは、
これだけの大規模な経済政策について、
経済学者の側からほとんど
議論が出ないことだ」

中身は飛ばして、その結論。

「経済学者が
物価対策について議論しないのは、
賛成しているからでも、
意見がないからでもなく、
あまりにも経済原則を無視しているため、
あきれ返っているからではないかと
筆者は想像している」

あ~あ。

政治家になってしまうと、
そして大物政治家になるにしたがって、
原則を忘れてしまうのか。
それとも原則を知らないのか。
はたまた初心や当初の夢が消えていくのか。

同じく日経新聞「私の履歴書」
今月は唐池恒二JR九州相談役だった。
事業構想大学院大学特別招聘教授。
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鉄道マンがマーケティングに目覚める話。
面白かった。

最後は座右の銘の一つ、
吉田松陰の言葉。
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「夢なき者に理想なし、
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし」

「故に、夢なき者に成功なし」

成功するためには、
夢が必要なのだ。

いや成功しなくとも、
生きていくには夢が必須だ。

野球も政治も、
商売も仕事も。

4月はその夢をはっきりと自覚するときだ。

〈結城義晴〉

2023年03月30日(木曜日)

春の甲子園の「敵失ペッパーミル」と真のカッコよさ

12月末決算企業の株主総会の季節。

今日は東京・小平。

第一屋製パン㈱の定時株主総会。
IMG_20923

第81期決算を承認していただいた。
粛々と総会は終わった。

工場敷地内の桜の名木。
今年は散るのが早かった。IMG_20913

私も4度目の非常勤の取締役に選任された。
よろしくお願いします。

総会後の取締役会も終了し、
逆光が眩しい。
自撮り。IMG_E20953
新しい体制で頑張ろう。

新任の取締役に、とくに期待したい。

第95回選抜高校野球大会。
春の甲子園。
img_header_220330

テレビなどではまだ、
WBCのニュースを引っ張っているし、
今週金曜日からプロ野球が始まる。

高校生はちょっと割を食った。

しかし準々決勝の結果が出た。

第1試合:
作新学院(栃木)3-12山梨学院(山梨)
第2試合:
専大松戸(千葉)2-9広陵(広島)
第3試合:
大阪桐蔭(大阪)6-1東海大菅生(東京)
第4試合:
報徳学園(兵庫)5-4仙台育英(宮城)

ベスト4による準決勝は明日の31日。
第1試合:
山梨学院(山梨)-広陵(広島)
第2試合:
大阪桐蔭(大阪)-報徳学園(兵庫)

この中から第2第3の、
大谷翔平や村上宗隆や佐々木朗希が、
出てくるのだろう。
WBCに出場する選手も現れるのだろう。

楽しみだ。

私はリアルの試合は見られないけれど。

このセンバツの第1日目のゲーム。
東北高校(宮城)の選手が敵失で出塁、
「ペッパーミル」のパフォーマンスをした。

WBCのヌートバーの真似だ。

背後にいた塁審がすぐに注意した。

さらに一塁ベンチの佐藤洋監督に駆け寄って、
「させないように」と注意した。

佐藤監督は「明るく楽しく」をモットーとする。
そこで試合後に高野連に反論した。
「日本中盛り上がっているし、
ダメな理由を聞きたい」

高野連は異例のコメントを返した。
「不要なパフォーマンスやジェスチャーは
従来より慎むようにお願いしてきた。
野球を楽しみたい気持ちは理解できるが
プレーで楽しんでほしい」

これに対して、
日経新聞の篠山正幸編集委員。
東北大学出身のスポーツ記者。

「メジャーには本塁打を放っても
ガッツポーズをしない、
というならわしがあった。
相手への侮辱になりかねないからだ」

実にカッコいいね。

「これも他者への気配りの結果、
というのがいいのであって、
ルールで決められたからやらない、では
美しくない」

今回の件に対して。
「これも、選手に任せればいい。
ことの善しあしを自分たちで考える方が、
よほどためになる」

同感だ。

塁審がやめさせるようにと、
ベンチにやって来て注意をするのも、
責任感なのだろうけれど、
どうかと思う。

監督がわざわざ反論するのも、
いかがだろうか。

これだけの騒ぎになったのだから、
当該の選手は多分、
自主的に相手の選手に、
詫びを入れているに違いない。

スマホもあるのだから。

そしてエラーで出塁したカッコ悪さを忘れて、
思わずペッパーミルをしてしまったことを、
恥じているに違いない。

今の若いスポーツマンは、
そんなものだ。

もっと信じてやっていいだろう。

ただしバリバリの大リーガーは、
大ホームランをかっ飛ばしても、
淡々と走ってベンチに戻るだけだ。

実にカッコいい。

若者たちには、
その真のカッコよさを知ってほしい。

〈結城義晴〉

2023年03月29日(水曜日)

亀岡の桜と「徒然草」の「懈怠の心あることを知らんや」

㈱マツモト会長の松本隆文さんから、
また桜の写真をお送りいただきました。IMG_2081

毎朝の散歩コースが、
この桜満開のルートだそうです。IMG_2082

夜桜も見事。
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黒い空に映える。
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朝日を浴びた桜街道。
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川縁の桜も見事。
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大きな一本桜。
IMG_2088
来年はこのシーズンに、
亀岡に行かなくてはならない。
是非とも。

ありがとうございました。

今日も1日、横浜商人舎オフィス。

原稿の入稿。

山本恭広編集長、
亀谷しづえゼネラルマネジャー。
みんなで執筆する。

それを読んでチェックし、
入稿する。

今月もいい雑誌ができそうです。

他に類を見ないMagazine。
それを目指しています。

もちろん実現していると自負しています。

毎月、雑誌をつくることによって、
否応なくモノを考える。

懈怠(けたい)の心を払いのけつつ。

それが価値を生み出す。

今日もとてもいいことを考えついた。
食事の時などにそれを社内で話す。

話しながら、
コミュニケーションをとりながら、
考えを固めていく。

そしてそれを文章に表現する。
それが私たちの仕事です。

最近ちょくちょく拾い読みする「徒然草」。
turedurebue2
その有名な第92段。

ある人、弓射ることを習ふに、
諸矢をたばさみて的に向かふ。

――ある人が、弓を射ることを習うときに、
二本の矢を手に挟み持って的に向かう。

師のいはく、
「初心の人、
二つの矢を持つことなかれ。
のちの矢を頼みて、
初めの矢になほざりの心あり。
毎度ただ得失なく、
この一矢に定むべしと思へ」と言ふ。

――師の言うことには、
「初心者は二本の矢を持ってはいけない。
あとの矢をあてにして、
初めの矢をいい加減に思う気持ちが生まれる。
矢を射るたびに得失を考えずに、
この一本の矢で必ず的を射抜こうと思え」と言う。

わづかに二つの矢、
師の前にて一つを
おろかにせんと思はんや。

――たった二本の矢しかないのに、
師の前で一本を
いい加減に放とうなどと思うだろうか。

懈怠(けたい)の心、
自ら知らずといへども、

師これを知る。
この戒め、
万事にわたるべし。

――それでも怠けおこたる心は、
自分では意識しないうちに生れるもので、
師はこれをわかっている。
この戒めは、
全てのことに通じるものだ。

道を学する人、
夕べには朝あらんことを思ひ、
朝には夕あらんことを思ひて、
重ねてねんごろに修せんことを期す。

――道を学ぶ人、仕事を極めようとする人は、
夕方には翌朝のあることを思い、
朝には夕方があることを思って、
もう一度丁寧にやり直せばよいと先延ばしにしてしまう。

いはんや一刹那のうちにおいて、
懈怠の心あることを知らんや。
なんぞ、ただ今の一念において、
ただちにすることのはなはだ難き。

――まして一瞬のうちに、

怠けおこたる心が生まれることなど知っているだろうか。
この、今の一瞬のうちに、
すぐに実行することのなんと難しいことか。

兼好法師が690年も前に、
日々考え、記したことが、
今日の私たちに当てはまる。

ありがたい。

〈結城義晴〉

2023年03月28日(火曜日)

「学習する組織」のジャズの即興

松本隆文さんから、
桜の写真をお送りいただいた。
㈱マツモト会長。

マツモトは京都・大阪に、
26店舗のスーパーマーケットを展開する。

その本部のある京都府亀岡市。
JR亀岡駅前の枝垂れ桜。IMG_2075
見事だ。

花びらもしっかり開いている。
IMG_2079

松本さんのご自宅の前のお寺の桜。
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こちらも満開。
IMG_2078

マツモトの幹部の皆さんは今日、
横浜に店舗クリニックだったとか。

「学ぶ組織」は強い。

今日の夕方には、
㈱ハローズの佐藤利行社長と、
電話で話した。
久しぶりだった。

お元気そうで、
業績も絶好調。

佐藤社長ご自身も、
会社組織全体も、
実にスピード感がある。
それを感じた。

ハローズもよく学ぶ組織である。

ハローズnews|
第3Q営業収益1283億円5.8増・経常66億円8.7%増

昨年12月27日のニュース。
第3四半期決算は、
営業収益1283億円(前年同期比5.8%増)、
営業利益65億6200万円(7.8%増)、
経常利益66億2500万円(8.7%増)。

増収増益。

営業利益率5.1%、経常利益率5.2%。

地域のライフラインの役割を担うため、
全店24時間営業を継続している。

コロナ禍の3年間、
増収増益を継続したスーパーマーケットは、
東のヤオコーと西のハローズだけだった。

今日も1日、商人舎オフィスで原稿執筆。

自宅のそばの妙蓮寺。
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門前に住職の言葉。
IMG_20613
「逆境ほど偉大な教育者はない」
まったく同感。
私は別の言い方をする。

「艱難は商人を鍛える」
そして私の自宅のそばの夜桜。
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こちらも美しかった。

『学習する組織』
ピーター・センゲ著。
gakusyuusurusosiki
そのまえがきにある。

「学習する組織のツールは、
楽器のようなものだ」

「数時間から数日間使っていれば
音色は出せるようになるが、
上手に曲を奏でるには
もっと練習が必要だ」

学ぶことにも、
訓練が必要だ。
時間が求められる。

つまりは繰り返しである。

「一人で上手に演奏できても
効果は限定的で、めざすのは、
組織として合奏(アンサンブル)ができることだ」

そう、数人でともに学ぶ。
すると効果は高まる。

マツモトのクリニックは、
それだと思う。

ハローズのスピード感も、
繰り返しによって出来上がった。

「とくに変化の激しい環境下においては、
ジャズ・プレイヤーが
その場や他の演奏者の状況を見ながら
適応する『即興』が
協働の質を左右するだろう」

ジャズのアドリブ。

トップマネジメント層が、
ジャズのアドリブができるレベルまで、
ともに学んで、
革新を続ける。

それが会社組織全体に伝播して、
組織風土となる。

ここまでくれば、
会社はどんなに厳しい競争をも、
乗り超えることができる。

そして逆境ほど、
偉大な教育者はない。

難しい課題に挑む。
艱難が商人を鍛える。

逆境や艱難を組織で受け止める。
すると学ぶ組織そのものが、
さらに商人を鍛えることになる。

〈結城義晴〉

2023年03月27日(月曜日)

イトーヨーカ堂の「希望を持つしかないのだよ」

Everybody! Good Monday!
[2023vol⑬]

2023年第13週。
今年も4分の1が過ぎようとしている。

3月第4週で、土曜日から4月。

一月、往ぬる、
二月、逃げる。
三月、去る。

早い、早い。

今週は原稿書きの週。
今日も朝から晩まで原稿書き。

その合間に昼すぎに歯医者に行った。
浅間台歯科医院。

歯医者に行くときに、
いつもの商店街を通る。

ローソンが閉店していた。
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気がつかなかったが1カ月前の閉店。

印刷された用紙に、
日付と店名だけ、
店主が書き込む。
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なんだか、味気ない。
店主にはもっと思いがないのかなぁ。

私だったらぜんぶ自筆で書く。

本部もそれを奨励したほうが、
チェーン全体としての印象はいいと思う。

閉店した店は無残だ。
IMG_E20513

この撤退跡には、
セブン-イレブンが入るのか。
ファミリーマートが出るのか。
それよりもまいばすけっとの可能性が高いか。

商店街を抜けると、
横浜市立宮谷(みやがや)小学校。
私の母校。
IMG_20543

校庭はずっと狭くなった気がする。
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右奥にずらっと銀杏の木が並んでいた。
大車輪ができるほど高い鉄棒もあった。
高学年の児童しか触ることもできなかった。
左側の桜の木はもっと
たくさん花を咲かせていた。

そして溢(あふ)れるほどに、
希望があった。

変わってしまった。

学校の隣の公園。
こちらは桜が満開。
IMG_20553

花壇にはチューリップ。

赤白黄色
どの花見ても
きれいだな♫
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桜も早咲きになったのか。
入学式に咲いていた気がする。IMG_20563
日経新聞の社説。
「ヨーカ堂大量閉店が示す変化対応の遅れ」

読んだ人も多いだろう。

昨日も書いたイトーヨーカ堂のリストラ。

「かつて国内小売りとしては
高収益企業として名をはせたが、
時代の変化への対応が遅れた結果だ」

「ヨーカ堂衰退の経緯を
現在成長中の企業は教訓とすべきだろう」

以下、1982年からの「業革」のことや、
98年度に日本一になったことなどが、
ちょっとずつ記述される。

2000年代からは縮小の一途。
「衣料品や雑貨、食品など総合型スーパーが
消費ニーズからずれてきたからだ」

「デフレ化で低価格・高品質の
ユニクロやニトリに顧客が流れた」

ん~、なんというか、
掘り下げが全然足りない。
的を射ていない。

社説の分析。
「同社の苦境は過去の成功体験が染みつき、
経営革新で後手に回ったことだ」

しかし「過去の成功体験を捨てよ」は、
同社の鈴木敏文前会長自身の言葉だ。

それができなかった本当の理由こそが、
書かれていなければならない。

「ヨーカ堂は小売業界では
優等生と言われてきた。
成長力もさることながら、
時代変化への対応が優れていたからだ」

それがなくなったと社説は言う。

しかし「変化への対応」は、
「基本の徹底」とともに、
同社の社是である。

なぜ、それがなくなったのか。
それには触れられていない。

最後の言葉。
「経営陣と一部株主との認識ギャップは大きく、
多くのステークホルダーを納得させるには
なお時間がかかりそうだ」

ん~、困る。

「教訓とすべき」とは言うものの、
教訓が示されていない。

「変化への対応」の掛け声だけでは、
とても教訓とは言い切れない。

百も承知のセブン&アイの人々自身が、
出来なかったことだからだ。

朝日新聞「折々のことば」
一昨日の第2683回。

「選択の余地はない。……
希望を持つしかないのだよ。」
(ノーム・チョムスキー)

チョムスキーは1928年生まれの、
言語学の世界的権威。
マサチューセッツ工科大学名誉教授。
1950年代に提唱した「普遍文法」理論は、
現代言語学に革命をもたらした。
〈『壊れゆく世界の標(しるべ)』より〉
41KgGglrr5L._SY346_
「多くの人が未来に
希望を持てずにいるなか、
あなたがそれを手放さないのはなぜか」

チョムスキーは問われて、答えた。

「希望を持つことで
不当な抑圧や搾取と闘ってきた人々を
知っているからだ」

そしてつけ加えた。

「希望を手放すのは
“最悪の事態が起こるのに協力しよう”
と言うに等しい」

セブン&アイの人々、
とくにイトーヨーカ堂の若い人たちに、
敢えて言っておこう。

「希望を持つしかないのだよ。
最悪の事態が起こるのに
協力してはならない」

では、みなさん、今週も、
すべてに希望を持つしかないのだ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年03月26日(日曜日)

桜満開の雨のゴルフとセブン&アイ4人への「退任要求」

3月26日、日曜日。
桜満開のとき。
なのに1日中、
雨が降り続けた。

埼玉県東松山市。

名門高坂カントリークラブ。

昨年末から決まっていたゴルフラウンド。
とてもいいメンバー。

大久保恒夫さん(私の隣)、
山本慎一郎さん(その隣)、
中村博さん(右)、
そして結城義晴。
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大久保さんはご存知、㈱西友CEO、
山本さんは㈱カスミ代表取締役社長、
中村さんは中央大学戦略経営研究科教授。

みんなレインウェアが似合ってる。

大久保さんと山本さんは、
昨年11月に、対談していただいて、
そのあと、一緒にラウンドした。

その続き。

あいにくの雨だったけれど、
私はそれなりに楽しんだ。

最後のホールが終わって、
ちょっと安堵した顔つき。
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ありがとうございました。

また、やりましょう。

さて日経新聞の記事。
もうスクープといった感じはない。
日経の報道が断然、早い。

「セブン&アイ井阪社長ら退任要求」

日本最大の小売企業のトップたちに、
退任せよと迫っている。

バリューアクト・キャピタル。
米国の投資ファンド。

セブン&アイの井阪隆一社長ら、
取締役4人の退任を求めている。

バリューアクトは「アクティビスト」だ。
いわゆる「物言う株主」。

セブン&アイ株式の4.4%を保有する大株主。

送付された株主提案では、
取締役14人の「選任」が要求されている。

14人のうち10人は現任の取締役で、
新しい4人には弁護士などが名を連ねる。

この中で井阪隆一社長と後藤克弘副社長、
社外取締役の伊藤邦雄氏と米村敏朗氏に、
事実上の退任要求をしている。

この選任議案が可決されるには、
株主総会で過半数の賛成が必要となる。

22年8月時点のセブン&アイの株主構成は、
⑴金融機関、金融商品取引業者、
その他法人の合計で57.1%。
⑵外国人投資家31.7%。
⑶個人が11.2%。

今年3月9日にグループ戦略を発表した。
これはアクティビストに答える内容だった。

イトーヨーカ堂の店舗閉鎖、
そしてアパレル事業の撤退などを発表。

新しいグループマネジメント体制も発表した。
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それでも足りないというのだろうか。
それどころか、
4人の更迭が求められた。

セブン&アイのコメント。
「取締役会において精査・検討を進める」

ただし株主はバリューアクトだけではない。
同社は4.4%の株主に過ぎない。

その他の株主の賛同が得られれば、
この体制は維持される。

それでも忘れてならないことがある。

顧客と従業員からの信頼である。

アクティビストの方しか見ていないのに、
その物言う株主から退任要求されてしまった。

その状況がいちいち、
顧客と従業員に知らされている。

故人となった伊藤雅俊さんを思い出す。
100周年のときの言葉。

「信用は一朝一夕では生まれません。
あらゆるステークホルダーの皆様と
誠実に向き合い、一歩ずつ
信頼関係を積み重ねることで
信用は生まれます」

誠実に向き合い、
一歩ずつ積み重ねる。

そして、
あらゆるステークホルダーの中で、
最優先されるべきは、
顧客と従業員である。

それを株主たちも見ている。

〈結城義晴〉

2023年03月25日(土曜日)

訃報/ゴードン・ムーア逝去して「ムーアの法則」の夢を残す

ゴードン・ムーアさんが亡くなった。
インテルの共同創業者。
3月24日。
ハワイの自宅。

94歳だった。

幸せな一生だったに違いない。

ゴードンムーア画像

1968年に盟友ロバート・ノイズとともに、
インテルコーポレーションを設立。

インテルを世界最大の半導体メーカーに育てた。

現在は世界最大手の、
中央処理装置と半導体素子のメーカーだ。

私のパソコンにも、
INTEL COREi5と印字されている。

1965年、インテルを創業する前に、
業界専門誌に発表した論文で、
「ムーアの法則」を世に問うた。

「半導体の集積度は1年ごとに倍増する」

1年後が2倍ならば、
2年後は4倍、
3年後は8倍、
4年後は16倍。

ここまでは想像できるが、
5年後は32倍、
6年後は64倍、
7年後は128倍。
ここまでも暗算で計算はできる。
8年後は256倍、
9年後は512倍。

そして10年後は1024倍となる。

その後、1975年に、
「2年ごとに」と修正された。

それでも10年後に32倍、
14年後に128倍。
20年後に1024倍。

この法則はあらゆるIT起業家に影響を与えた。

私もRetail DXを説明するときに、
そのスピード感を表現するために、
「ムーアの法則」を使っている。

その場合、
「1年に2倍」もしくは「2年で2倍」は、
法則ではなくて、
スピード感を表すものだ。

IT機器はこの速さで価格が低下し、
デジタルは加速する。

チェーンストアであれば、
1年で4割ずつ伸びれば、
2年で1.96倍になる。

1年で20%ずつ伸びれば、
2年後は1.44倍、
3年後は1.728倍、
4年後に2.0736倍、
4年で2倍になるには、
20%増が必要になる。

それを続けると、
6年で2.985984倍の約3倍。

8年で4.3倍、
10年で6.19倍となる。

初期のチェーンストアは、
このスピード感で伸びた。

IT産業だけではないのだ。

GAFAの4社。
グーグル、アップル、
フェイスブック、アマゾン。

かれらはムーアの法則を信じた。

そして成長した。

アマゾンは小売業だった。
だからリテールとしては、
異例のスピードだった。

インテルの本社は今も、
カリフォルニアのサンタクララにある。

社名はIntegrated Electronicsからとられた。
「集積されたエレクトロニクス」

インテルは3代目のアンディ・グローブCEOが、
メモリー事業から撤退し、
マイクロプロセッサーに傾斜して、
大きな成果を収めた。

この転換のスピード感も、
ムーアの法則の延長上に位置づけられる。

ゴードン・ムーアさんは、
1997年に名誉会長に退くと、
夫人とともに慈善活動に力を注いだ。
「ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団」

これも多くの成功者たちに影響を与えた。

インテルには「Six Values」がある。
6つの基本ルールである。

ムーアの時代の1974年には、
「Eleven Values」だったが、
それが6つになった。

これがいい。

⑴Customer Orientation(顧客本位)
⑵Discipline(規律)
⑶Quality(品質)
⑷Risk Taking(リスクを負う)
⑸Great Place to Work(労働環境)
⑹Results Orientation(結果本位)

⑴のCustomer Orientationと、
⑶のQualityは、
日本の企業から借用された。

これもいい。

ベンチャー企業にも二つある。
ユニコーンとゼブラ。

ユニコーンは一角獣で、
突出した成長を志向する。

ゼブラはシマウマで、
利益と社会貢献の両利きである。

ユニコーンは、
ムーアの法則を志向する。

両方があっていいと思う。

チェーンストアも、
両方があっていいだろう。

20年で1000倍は、
最初が小さな1店の10億円ならば、
20年で1000倍の1兆円。

これも視野に入るものだ。

ムーアの法則は、
そんな夢を見させてくれる。

〈結城義晴〉

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